第447話:CLプログラムをクラブ全体で起動する一方法

先日のディビジョンB役員研修会であがったクラブ運営の問題点の一つに「CLマニュアルがうまく活用されていない」というのがありました。


良く聞くクラブの悩みです。もちろん悩んでいないクラブ、すでにどんどんやっているクラブもたくさんあります。

私もCL誕生から昨年6月までクラブでどう使って良いかわからずにいましたが、昨年川崎TMCを訪問したこと、さらにFacebookのリーダーシップ勉強会でCLマニュアルを眺めたことでひらめくものがあり、現在はTokyo ESS Toastmasters ClubのVPEとして下記の方法で進めています。

ただこの方法は正直言ってVPEに負荷がかかるやり方です。しかしこの負荷はあるものを軌道に乗せるための初期エネルギーあるいは対価だと割り切ってやっています。

★Tokyo ESS Toastmasters Clubでのやり方

以下のやり方です。

① CLの進捗管理はすべてVPEが一元的にやる。メンバー任せにしない。
② 例会の前に何度も「例会にはCLマニュアルを持ってくるように」と連呼する。
③ 例会開始五分前に役割を持った人はCL論評者にCLマニュアルを渡します。

以上この三つを徹底的にやります。

★① CLの進捗管理はすべてVPEが一元的にやる。メンバー任せにしない。

最初にやることは、VPEは各メンバーのCLマニュアルの進捗を正確に把握することです。どのプロジェクトが終わってどのプロジェクトで何が残っているかの一覧表を作ります。国際本部でもチャートを売っていますが、正確に把握できるのであればそれはExcelでもGoogleスプレッドシートでもeasy-speak.orgでも何でもかまいません。

さて、現状把握ができたら、役割のアサインです。VPEは、役割を決めるときにその人のCLの進捗を見て、たとえば「あと一つでCL3が終了するからGrammarianをやって貰おう」のように役割を決めていきます。ただ、それはいつも思っているようにいくとは限りませんから、役割を見ながらプロジェクトに当て込んでいくこともやります。

同時にCLの論評者も事前に決定して発表します。CL論評者のアサインの仕方は現在試行錯誤中で、こんなこともやっています。

  • TMODのCL論評は、総合論評者に。
  • 総合論評のCL論評は、TMODに。
  • 個人論評者のCL論評は、スピーカーに(あるいは別の個人論評者に)
  • 以下割愛。

★② 例会の前に何度も「例会にはCLマニュアルを持ってくるように」と連呼する

例会にCLマニュアルを持ってこないと話になりませんので、とにかくもってこいと口が酸っぱくなるまで連呼します。

忘れた人には、次回必ず持ってきてね。と念を押します。

★③ 例会開始五分前に役割を持った人はCL論評者にCLマニュアルを渡します。

そしてこれが大事です。例会が始まってからバタバタしたくありませんので、VPEは例会開始五分前にCLマニュアルがCL論評者の手に渡ったかの確認をします。繰り返しになりますが、CL論評者は予めVPEが決めてあります。

昨年1月に川崎トーストマスターズに行ったときに彼らのプログラムの中にCLプログラムの交換という時間がわざわざもうけてあり感心しました。そこにヒントを得てのことです。

===
さて、CLを進めるチャンスはクラブ例会だけではありません。VPEはクラブで予定されているイベントをメンバーがCLをすすめる機会だと目を光らせた方が良いと思います。

たとえば、クラブで、○周年記念パーティーをやるとき、クリスマス会、合宿をやるときもチャンスですから、そういう企画が決まったらCLプロジェクトのどこにクレジットするかも前もって考えます。

スピーチコンテストもそうです。クラブコンテスト、エリア、ディビジョン、ディストリクトコンテストもチャンスです。(HPLのチャンスでもあります)

VPEは、メンバーの進捗に目を光らせて早めにプランします。

===

このやり方は、メンバーがCLプログラムが何たるものなのか理解していようがいまいが強制的に進めてしまうやり方です。それだけに賛否両論はあることは承知しています。

過去に、CLのプログラムをどう進めていいかわからないという声を聴きました。ワークショップもありましたしやりました。でも経験の少ないメンバーにとっては、説明よりも実際にやってみることで考える機会を持ってほしいと思っています。

クラブによっては積極的に取り組んでいるクラブもあるでしょうしCLプログラムの進め方を理解したメンバーはどんどん進めていっているでしょう。それで進めているのであれば、それで進めていくのが理想的です。

しかし、あまり利用が進んでいなければ、これ以上CLプログラムのワークショップをやるのではなく、VPEがちょっとがんばってCLマニュアルを読んで、上の①,②,③のプロセスで、ちょっと強制的ですが、プロジェクト5、あるいは最後までVPE主導で進めて、とにかくCLを達成させる。

今は割り切ってこう進めることにしています。CLもCCも何度達成しても構いません。Where leaders are madeとはいっても、多くの人はスピーチに魅力を感じてトーストマスターズに入会していると思います。そんな中でLeadershipへのフォーカスはスピーチに比べて弱くなってしまいます。そこでCLプログラムを動かそうとするわけですから何らかの仕掛けが必要になると思います。わからなくても良いからとにかく動かすというのが今回のこの記事の主旨です。

よくわからないけれどもVPEに言われるままにCLが達成できた。第一ラウンドはそれでもよいと思います。

CLを達成しても、クラブではEvaluator, Grammarian, GE,TMODなどの役はきますから、すかさず第二ラウンドが開始できます。その時こそ、CLマニュアルで語られているリーダーシップ論をしっかり読んで、身に付く進め方でやっていけばよいと思います。

もちろん第一ラウンドからCLのリーダーシップ論をしっかり読むのが理想的ですが、それで敷居の高さを感じるのであれば第一ラウンドは「とにかくやってみる」で、よいと思います!

このやり方で始めてから、CLの達成が見えてきたメンバーがいます。彼の意識も高まってきたように思います。彼には、今度は自分の経験を後輩たちに語ってくれることを期待しています

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第446話:スピーチ論評を考える。何を軸に論評するか?

論評で、「良かった点」「改善点」といいますよね。

この「良かった点」「改善点」って一体なんでしょうね?

スピーチを聞いていて「良かった〜」と思った点。あるいは「いまいち〜」と思った点。簡単にいえばそうですね。

しかし、トーストマスターズクラブでトーストマスターが論評をするときには、これだけでは物足りません。「何」に対して「良かった点」そして「改善点」なのかの軸を明確にして論評することが大切だと考えます。

実は、この「何」(=軸)はスピーチにも論評にもコンテストの審査にも非常に大事なのです。

私は、この「何」(=軸)の正体を「スピーカーの意図の達成度合い」だと考えます。「良かった点」「改善点」が「スピーカーの意図の達成度合い」を軸にしていると論評に一貫性が出てきて非常に役に立ち、そしてスピーカーがやる気の出るものになります。しかし、この軸のない論評をやると、論評が散漫になりスピーカーにとってあまりやる気アップに繋がらないものになってしまいます。

★「スピーカーの意図の達成度合い」って何??

クイズです。

「スピーチ」と「ひとりごと」の違いはなんでしょうか?

答えは、ご推察の通り「聴衆がいるか、いないか」です。

  • 聴衆を意識した「ひとりごと」はスピーチです。(子どもがよくやりますね。)
  • 聴衆を意識しない「スピーチ」は「ひとりごと」です。(大人がよくやりますね(笑)

この「スピーチは聴衆を意識する」ですが、つまりスピーカーが聴衆に対しての何らかの意図をもっているということですね。

さて、その意図とはざっくり言って

①伝えるため(Speaking to inform)
②楽しませるため(Speaking to entertain)
③行動を起こさせるため(Speaking to inspire)

の3つあります。

論評者の第一の仕事は、この意図は何かを考えることにあります。

 

注:よく「メッセージが何であるか考える。」といいますが、意図がそもそも①伝えるためだけ、あるいは②楽しませるためだけであれば、「(行動をおこさせるための)メッセージ」がないこともありますので、どんなスピーチに対しても「メッセージ」を求めるのはちょっと違うと私は思います。

さて、その意図にあたりが付いたら、論評者は「スピーカーの意図は、今回のスピーチでどれくらい達成されたのか?」を考えてまとめます。

  1. 伝えるため(Speaking to inform)であれば、その情報がよく理解できたか?なぜそう思ったのか?意図がぼやけてしまっところはなかったか?
  2. 楽しませるため(Speaking to entertain)であれば、大いに楽しめたか?楽しめないところはなかったか?
  3. 行動を起こさせるため(Speaking to inspire)であれば、スピーチを聞いて行動を起こす気になったか?あるいはそうは思わなかったか?

★それを踏まえた論評の構成

①自分が受け取ったスピーカーの意図をそのまま伝える。
②なぜそう思うにいたったかのうち貢献したものを伝える。
③意図の理解に貢献しなかったものはなにか?それを伝える。

ここでなぜ「①自分が受け取ったスピーカーの意図をそのまま伝える。」が大事なのでしょうか?

スピーチを終えた後のスピーカーの心理を考えてみましょう。自分の胸に手を当てて思い出してみてください。多くの場合「自分の意図(あるいはメッセージ)がきちんと伝わっただろうか?」というものではないでしょうか。

それゆえ、論評者は、自分はどのように意図を受け取ったのか?を冒頭で述べ、その理由を②と③に分けて述べる、③であればどうすればもっと効果的に伝わったのかをスピーカーに述べるという構成をとることで、スピーカーがスピーチの直後に最も知りたい事に対しての回答を与えることになると思います。

★ Evaluate to motivate : やる気を起こさせるための論評

ファンタジスタTMCで、論評ブートキャンプをやったときにこんなことがありました。ある論評者が、論評の冒頭であることを述べた瞬間にスピーカーは、「今、何をしたの?」と椅子から飛び上がらんばかりに驚いたのです。論評者は何をしたのでしょうか?この論評者は、「あなたのスピーチのメッセージは◯◯と受け止めました。」とスピーカーのメッセージをそのまま繰り返しただけなのです。

Evaluate to motivateというワークショップがありますが、この例でもお分かりのように、わざとらしく誇張して誉めなくても、受け止めたメッセージをそのまま伝えるだけでも、そしてそれがスピーカーの言わんとすることであれば、とても嬉しいということなのです。

繰り返しますが、人は自分の意図があいてに伝わったことがはっきりと分かれば嬉しいものだからです。

★「良い点」「改善点」という言葉が独り歩きしている危険性

論評の軸が「スピーカーの意図の達成度合い」あるとすれば、なぜそう思ったのか?どうすればもっとうまく達成できたのかの説明が②、③でくることは前で述べたとおりです。

さて、よく「良い点」「改善点」といいますが、私は現在この二つの言葉が軸を失って独り歩きしている例を数多く見ます。そして危険だな〜と危惧しています。

たとえば、「身振り・手振りがもっとあれば良かった。」ってよくいいますよね?本当でしょうか?本当に身振り手振りが必要だったのでしょうか? 

演台から離れてもっと聴衆の方に近づけばもっと良かった。本当でしょうか?そうすれば、本当に「スピーカーの意図の達成度合い」が高まったのでしょうか? 

論評者が、スピーカーの意図を汲み取らずに、単純に独り歩きしている「良い点」「改善点」という言葉にとらわれると、こんな論評になってしまいます。

「良い点」「改善点」という言葉を使うのであれば、それは「スピーカーの意図の達成する」のに、「貢献した(と思えるから良かった)点」そして「こうすればもっと貢献したんじゃないか(と思えるから改善)点」ではないでしょうか?

その軸を考えずに、単純に「良い点」「改善点」という言葉にとらわれて論評を展開すると、スピーカーは「はぁ、そうですか、そんなものかな?」で学びも低いと思うのです。

★ スピーカーの意図はどこに出るか?

さっきから、「スピーカーの意図、スピーカーの意図」と繰り返していますが、スピーカーの意図はいろいろなところにでます。だからよく観察することが大事です。

③行動を起こさせるため(Speaking to inspire)のスピーチの場合、

  • スピーチタイトルに出ることはすごく多いです。
  • オープニングのストーリー、名言の引用に意図がでます。
  • スピーチの中で展開されるメインのストーリー
  • スピーチ終結直前の結びの言葉、
  • もし心を揺さぶる部分があれば、そこ。
  • スピーカーがすごく力を入れて話している部分があればそこ。
  • 今まで目が空中を泳いでいたのに、ある部分しっかりと聴衆を眼力をこめて観る部分

などが考えられます。

★ 受け止めた意図からの分析

そうした情報を収集して、「この人の意図はなんだったんだろうな?私に何をしろと言ってるんだろうか?」と考えると、意図が浮かび上がってきます。それが強く伝わってくる場合は良いのですが、弱くてよくわからない場合、複数ある場合などわからない場合もあります。

どんな場合であっても、なぜ自分はそう思ったのか?それを分析していくと、「貢献した点」と「そうじゃない点」、あるいは「却って阻害している点」などが浮かび上がってきます。何が自分をそう思わせたのか?「そうじゃない点」や「却って阻害している点」に関してはどうすればよかったのかを考えるわけです。

弱くてよくわからない場合、複数ある場合はやはり混乱します。ですから、混乱した事実を素直に認めて、なぜ混乱したのかを分析して、伝えるのが論評者の役割と思います。

★★心配:スピーカーの意図と異なって受け止めることが心配???

心配することはありません。

スピーカーにとっていちばん大事なことは、自分の意図がどのように受け止められたのかを知ることですから。ですから、論評者は自分が受け止めたことを正直に伝えなければなりません。

ここで、スピーカーの心象を害してしまわないか?と不安になって、分かりもしないのに「とても良いスピーチでした。」というのは、スピーカーのことを考えているようで、結果的に考えていないことになります。

スピーカーは、自分の意図通りに聞き手が受け止めてくれたらそれは嬉しいです。しかし自分の意図と異なった受け止め方をされたら、それはなぜなんだろうか?というところから出発して自分のスピーチの改善をはじめます。

「論評はあくまで自分の個人的な意見」と言われますが、まさにこの部分です。あくまで自分の個人的な意見ですから、「私はこう受け取りました。」と伝えるのはトーストマスターズの論評では全く正しいのです。

★心配: 先輩に対して「スピーカーの意図を達成するのに貢献しなかった点の指摘、そして提案」だなんて。。。。そんな恐れ多いこと。。。

自分よりもずっと経験豊富なスピーカーの論評。恐れ多くてできない。そうでしょうか? 我々は、私たちよりもずっとステージ経験豊富な歌手や俳優のパフォーマンスを「あそこをもっとこう歌ってくれたらもっと良かったよね」って気軽にコメントしてないですかね?

「論評はあくまで自分の個人的な意見」ですから、「自分としてはもっとこうしてくれたらもっと気持ちよかった。」で一向にかまわないのです。

先輩も、後輩のためにおおらかに受け止めてあげましょう。

★心配: 英語ネイティブの論評が怖い。。。聞き取れないから申し訳ない。

そうでしょうか?スピーチが理解出来ないのは聞き手の責任でしょうか? 

日本にある日本人の多いトーストマスターズクラブという条件で話をすると、私は、スピーチが理解されないのは聞き手の責任ではなく、話し手の責任であると思います。もっと言えば話し手の「自分がどんな聴衆を相手に話をするのか」を分析する努力が足りなかったのです。

ですから英語ネイティブのスピーチを聞いて聞き取れなかったら、「もっとリスニングを勉強しよう」と思うのは素晴らしいのですが、あなたが論評者ならまずその英語ネイティブに対して、「この聞き手(自分)を相手にスピーチをするときはどんなことに気をつければよいのか?」を論評で述べることが大事です。

これを教えてあげないと、そのネイティブの方は「なんかよくわかんないけど、伝わったようだ。」と思って、日本という環境で英語で理解されるチャンスを一つ失うことになります。

リスニング力の低い自分のせいで、ネイティブの心象を害しては申し訳ない、と考えるのは、まぁ心優しいとも言えますが、同時に論評では相手の学びのチャンスも奪っている可能性についてちょっと考えてみてください。

蛇足ながら、英語を含む外国語をこれまでまったく学習したことがない人に論評をあてて、その人がわからなかった場合は、それは話し手の責任ではなく、そんな役割を決めた人にあることを申し添えておきます。

★ トーストマスターズのスピーチマニュアルの課題の目標(Objective)は軸にならないのか?

私は、軸にはならないと思います。軸はあくまで「スピーカーがそのスピーチで何をやりたかったかの意図」です。スピーチマニュアルの目的は、その達成のためのスキル、ヒントに過ぎないと思います。

だからといって、プロジェクトの要求項目を無視して良いことは絶対にありません。あくまで、自分の意図を実現するために、プロジェクトの要求項目に従って声に変化をつけてみる、身振り手振りを添えてみることは必要ですし、論評者はそこを配慮して論評することは必須です。

★ まとめ

論評する際の軸は、あくまで自分が受け止めたスピーカーの意図です。
その達成度合いを、「貢献した点」、「そうじゃない点」、あるいは「却って阻害している点」から評価する。

あくまで自分の個人的な意見として伝える。(聴衆を代表しない。代表できない)

脱線しますが、冒頭で述べましたように、これはスピーチコンテストの審査でも大事な観点です。この軸を持たずに審査すると、「ステージをよく歩きまわったからここは10点満点中9点」などの意味のない採点になります。そうではなく、「ステージをよく歩きまわったことでこのスピーカーの意図を非常によく達成されたので10点満点中9点」という採点であるべきです。私は、スピーカーの意図と無関係に各項目を独立させて採点することはやりません。意図との一貫性を考慮して採点します。

以上、論評する際の一つの観点としてご紹介いたしました。

あくまで私の個人的な意見です(笑)

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第445話:コンテストルール考:「あらかじめ指定されたエリアを出た場合」のジャッジの採点

*** (下記記事は2010年4月8日に書いたものです。現時点では、「減点」ということでいうことで確認が取れております。) **

スピーチコンテストルールに関するクイズです。

もし、スピーカーが、「あらかじめ定められた場所」をでてスピーチをしたら採点はどうなるでしょうか?

===
東の意見:それなりの採点をする。(減点ではない)==>胡散臭いと思った人は、ぜひ続きをお読み下さい。

===
本件、以前から議論がありましたし、チーフジャッジによっても意見がまちまちです。

①コンテストルールの観点

コンテストではルールが絶対基準です。ルールに書かれていること以外にローカルルールを作ることはできません。仮にあったとしても強制力はありません。

そのコンテストルールには、どのように書かれているでしょうか?

C. All contestants will speak from the same platform or area designated by the contest chairman. All contestants and judges will be advised of the speaking area before the contest begins.
The contestants are permitted to speak from any position within the designated area and are not limited to standing at the lectern/podium.
(東の訳:C. すべての出場者は同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこととする。スピーチをする場所の範囲に関する指示は、コンテストが開始される前に、すべての出場者およびすべての審査委員に周知のこととする。出場者は指示された範囲内の何処ででもスピーチを行うことができ、演台( Lectern/podium )の後ろに立たなくてもよい。)

ここに明確に「同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこと」と書かれています。

しかし、この範囲の場所を出たとして、それを減点、失格にする規定がないのですね。
たとえば、制限時間に関する規定は名確に、失格がうたわれている。

A.スピーチは5分から7分とし、4分30秒より短いかあるいは7分30秒より長いスピーチを行った出場者は 失格とする。

でも指定された場所を出たことに関する減点・失格に関する規定は、絶対に守らなければならないコンテストルールには何も書かれていません。

「8.異議申し立ておよび失格」にも何も書かれていないのですよ。

② なぜ「同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこととする」のか?

ここについて書かれたものを探したのですが、見つけることは出来ませんでした。

ちょっとケーススタディです。

事例1:たとえば、スピーチコンテストで、てくのかわさきのように、会場のフロアから30センチくらい高くなっているステージで、落ちてしまった。

私がジャッジだったら、落ちたからといって減点はしないと思います。採点の中で、重視するのはその人のメッセージはなんだったか、それが効果的だったかを唯一の判断基準とします。効果的というのは、メッセージを伝えるために、スピーチの内容、構成、身振り、手振り、言語が効果的だったかという意味です。もし、ステージから落ちたことで、それが損なわれたら、減点ではなく、それなりの採点をするのみです。

事例2:つぎに、大学の階段教室のようになっている会場で、(つまり、ジャッジや聴衆が、スピーカーを上から見下ろす会場)、決められたエリアを2メートル出た。

私が、ジャッジだったらやはり事例1と同じで、それなりの採点をします。まず2メートル出たとしても、階段教室ですので、スピーカーのプレゼンテーションは何の妨げもなく、見ることも聞くこともできます。私の審査にはなんの影響も及ぼしません。ただ2メートルでたことで私の採点が妨げられたらそれなりの採点をするのみです。

事例3:「あらかじめ定められた場所」がその会場内全域だったとする。ところがあるスピーカーは演出のために、ドアを明けて会場の外にでていき、また戻ってきた。

今回は、事例1,2とは異なります。スピーカーが外に出ていっている間のプレゼンを私は眼にすることはできませんので、その部分の採点は不可能です。ですから、そこを考慮した、それなりの採点となります。繰り返しますが、減点、失格にはしません。

では、この場合審査基準のどの部分(内容、話し方、言語のどれ?)で「それなりの採点」をするのでしょうか?

私は、全項目である「内容、話し方、言語」になるとおもいます。理由は、ジャッジがコンテスタントを見失うと全項目でそれなりの採点をせざるをえなくなるからです。

===
ここまでお読みになって、まだ信じられない方もいらっしゃると思います。何よりも、これは私の個人的な見解ですから当然です。

そんなあなたのために親切な私は「Speech Contest Judge Training Program(1190)」を確認してみました。

Presenter's Script33ページにこうあります。

For example, the rules state that all contestants will speak from the same platform or area designated by the contest chairman with prior knowledge of all the judges and contestants. If a contestant steps out of the designated speaking area, the judges cannot disqualify him or her for the rule violation. However, judges may take this rule violation into consideration when completing their judges guide and ballot and award lower marks for that contestant.

ポイントは、
審査員は、指定エリアを出たスピーカーを失格にはできない。しかし、審査員は採点する際に低い点数をつけても良い。

ってことです。

でも、これは私が言っているのと同じことなのですよ。「減点」とは言っていません。(ただ、ここではrule violationって言葉を使っていますので減点のニュアンスが発生しています。)

くどいようですが、award lower marksって言い換えれば、「それなりの点数」をつけるってことです。
しかし、やはりこの部分は、正直混乱を招いているポイントですよね。
  • コンテストルールには、「The contestants are permitted to speak from any position within the designated area and are not limited to standing at the lectern/podium.」と、ある。
  • しかしコンテストルールや審査基準(Judging Criteria)には、失格・減点に関する規定がない。
  • それでいてSpeech Contest Judge Training Program(1190)には、「If a contestant steps out of the designated speaking area, the judges cannot disqualify him or her for the rule violation. However, judges may take this rule violation into consideration when completing their judges guide and ballot and award lower marks for that contestant.」なんて書いています。
  • となると、結局各コンテストのチーフジャッジにゆだねられます。

この状態はあまり良いとは思えないですね。

参考:Speech Contest Rules 2010

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第444話:日経ビジネスアソシエに、トーストマスターズが紹介されています

全国のトーストマスターズの皆様。

最新号の日経ビジネスアソシエ(3月16日号)で、東京インターナショナルトーストマスターズクラブのことが写真入りで紹介されています。

「こんな方法があったのか!やり直し「英語」勉強術」という38ページの特集の中で、「ビジネスパーソンにお薦めの勉強会」として取り上げられています。

さぁ、これを読んだあなた! 早速本屋さんに走ってアソシエを買って下さい。

友達の分まで買ってトーストマスターズを宣伝しましょうか。

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第443話:「へっぴり腰にご用心」:尊敬するスピーカーのこと

「東さんが、尊敬するスピーカーはだれですか?」という質問をたまに受けます。

その質問を受けると、頭の中にはDavid Brooks、Ed Hearn、J.A.Gamache, Lance Miller, Mark Hunter, Jim Key, Jock Elliotteというトーストマスターズ界の大御所たち、世界チャンピオン達の顔が浮かぶのです。

でも、結局、巡り巡って、やはり私は「けんちゃん」こと泉健二さんのことを思い浮かべるのです。

けんちゃんは、普段はシャイで久しぶりに会うと、なんかこう妙にお互い意識して話がうまく噛み合いません。だからやはりシャイなおじさん同士、酒の力を借りてまあ何とかコミュニケーションを取るわけです。

そんなけんちゃんですが、彼のスピーチ、ステージでのパフォーマンスは抜群です。
おじさんだからこそ語れる人生の喜びと辛さ。それを本当に温かい包みこむようなデリバリーで滑らかに語ってくれます。照れ隠しのようなオヤジギャグですが、実は絶妙なタイミングで入れてくれます。計算を感じさせない自然さ。

すべてがうまい。

先日2008年の広島でのD76日本語コンテストの決勝のDVDを見ていました。けんちゃんの「へっぴり腰にご用心」もそのなかにあります。

うまい!とにかくうまい。

スノーボードレッスンの話。学生時代のゴルフの話。けんちゃんの一言一言に引き込まれてきます。落語の影響を受けたデリバリーもとても自然で効果的。ステージに奥行きを作り出す「間」。 自分がゲレンデにいるような臨場感を作り出しています。

そして、すべてのストーリーを語り終わったときに、ステージの中央に温かい包みこむような笑顔のけんちゃんがいます。

そのけんちゃんが、私にメッセージを語りかけてくれます。

人生いろいろ怖いことがあるよな。

でも、東、お前失敗してもいいからやってみろよ。

へっぴり腰なんかになるなよ。

温かい慈愛にあふれた声で語りかけてくれます。

このスピーチで私がいちばん好きなところです。

そして、照れを隠すかのように「へっぴり腰にご用心!コンテスト委員長!」とスピーチを終わります。

お見事。あっぱれ!

なんど見ても、うまいなー。まさにPrepared Speechの真髄。それでいて暖かみにあふれた名作。

今日から弥生3月。コンテストシーズンが到来しました。けんちゃんと私は同じエリア33。3月20日のエリア33コンテストにけんちゃんは来るかな?

でも酒の力がないとお互い意識しあって会話が弾まないから、別の日に、二子玉川の「有酒」の誘って飲もうかな?いつもおごってもらいっぱなしだから申し訳ないかな?

酔っ払うと「おい、公成!ハゲ!お前は最高だ!」とガラガラ声で絡んでくるけんちゃん。

私は、そういうけんちゃんこそが最高だと思うよ。

==

今日、風呂の中でコンテストのことを考えていて、ふとけんちゃんのことを思い出しました。

え?電話すりゃいいじゃないって?

なんか気恥ずかしいからできないや。

おっと、へっぴり腰になってしまった。けんちゃんに怒られる。

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第442話:「スピーチコンテスト審査の考え方」ワークショップ(ディビジョンB役員研修(日本語):2月28日(日)川崎)

エリア24ガバナーの伊奈さんからの依頼を受け、「スピーチコンテスト審査の考え方」ワークショップの講師を務めました。

今回のワークショップは、ディストリクト公認のジャッジトレーニングではなく、審査の「考え方」にフォーカスしたものです。ディビジョンBの日本語クラブの役員さんたちを対象に行いました。

★本ワークショップの目的
①審査員の仕事が「一言」で言えるようになる。
②スピーチコンテストの審査員の仕事を実際に体験していただく。
③審査のポイントを体得していただく。
④審査基準について理解する。
⑤審査委員倫理規定について理解する。
⑥国際スピーチスコンテスト審査用紙および同点決着審査用紙の使い方を理解する。

★当日の流れ
①スピーチコンテストジャッジブリーフィング(20分)
②モデルスピーチ(8分)
③採点 (2分)
④解説 (45分)

★スピーチコンテストジャッジブリーフィング(20分)

参加者の皆さんをジャッジに見立て、また私がチーフジャッジとなって、ジャッジブリーフィングを行いました。

私がいつもジャッジブリーフィングで力を入れるのは、倫理規定です。

通り一遍の解説ではなく、客観的に審査するとはどういうことか、時間を考慮しないとはどういうことか、審査結果の公表はどのように行い何をやってはいけないか?について、お話させていただきました。

ジャッジである以上倫理規定は非常に重要です。審査基準の倫理規定はそのまま読めば「なるほどね。」で終わるのですが、いくつか注意しなければならない点があります。その部分をフォーカスして説明しました。

たとえば、

  • いつも良いスピーチをするMさんが、今日のコンテストではいまいち不振だった。でも、きっと上のレベルのコンテストでは実力を発揮してくれるから良い点を入れる。
  • Yさんは、何度もコンテストに優勝しているから、今回はあまり上のレベルのコンテストを経験したことのないPさんにチャンスを上げよう。Pさんに良い点をつける。
  • 「審査委員はコンテスト出場者のスピーチの時間を測定しない。審査を行なう際にスピーチが時間不足あるいは時間超過となり得る可能性を考慮しない。」というが、たとえば、コンテスタントが70分話した場合どうするのか?

というケースを交えて考えて頂きました。

次に審査基準です。内容、話し方、言語について、実例を交えながら、そしてスピーチ作りの観点でお話をいたしました。

構成、効果、価値と言われても、やはり実例が入らないとなかなか分かりにくいと考えての説明です。同様に話し方、言語についての実例を交えての説明です。

ここで注目したのは、「そのスピーチのメッセージは何か」を考えて審査するということです。スピーチの構成、効果、価値、身振り、声、態度、言語の適切性と正確性は、すべて「そのスピーチのメッセージを伝えるためにある。」ということです。その観点から説き起こしました。

以上、基準を説明したのち、審査用紙の使い方の説明です。スピーチコンテストでは、最初のスピーカーにつけた点数が、どうしてもその後のスピーカーの点数を基準となります。しかし、それでは倫理規定にある、客観性を必ずしも保証できない。そこで、昨年5月のディストリクト春季大会で国際理事のモハメドさんが行ったジャッジトレーニングで学んだ用紙の使い方を紹介しました。

さらに、仮に8人のスピーカー全員を採点した結果、全員が同点だった場合どうするか?という点から、再度ジャッジの仕事とは何かについて説き起こしました。

★モデルスピーチ(8分)
以上の説明を終えた後、いよいよコンテストよろしく、実際にスピーチを聞いて皆さんに採点していただきます。スピーカーは立川トーストマスターズクラブの松崎さん。

★採点 (2分)と解説 (45分)

スピーチ終了後、2分間の審査時間を経て、まず参加者の審査用紙を回収しました。

皆さんがそれぞれの項目に何点をつけたのか、読み上げていきます。もちろん採点者は匿名です。ここで、人によっていろいろな点数をつけていることがわかります。ある項目に満点をつけている人もいれば、半分の点数という方もいます。

ジャッジは、通常自分の採点を他の人と共有することはないため、今回のように実際の採点結果を匿名で共有することで、どのように点数をつければよいかの目安となったと思います。

自分の採点、他人の採点がわかったところで、再度松崎さんのスピーチと審査基準を照らし合わせながら、ジャッジの観点でどのように聴いて、分析して、採点するのかについて、話をしていきます。

審査基準に書かれていることをどう理解して、採点につなげていくかの解説です。

★質疑応答:覚えている限り列挙してみます。
以上、説き起こした後で、Q&Aタイムです。私はQ&Aタイムが大好きです。

① 東にとっての満点のスピーチとはどんな基準か?

とくに基準はなくその時その時でつけていく。ただし、あまりにも素晴らしくあらゆる点で突き抜けているスピーチが出た場合は、正常にジャッジできないことがあるかもしれない。

② 文法的におかしなところが仮に二つあったとして、どうやってそれを10点満点の採点に反映していくか?

スピーチ全体の中から、そのミスはどれくらいなのかを考えて採点する。

③ すべての採点が終わって見直したときに、仮に第一スピーカーが89点で、第二スピーカーが85点だった。しかし今にして思えば、第二スピーカーのほうが良かったように思う。修正してよいか?

あくまで東自身の個人的な経験と考えだが、修正はしない。自分が採点した時の印象と自分自身を信じる。(少々自信がなかったので、ワークショップにいた、オンビーさんに意見を求めましたが、彼も同意見でした。)

④ たとえばある人のスピーチの最中、室内の温度が異常に高く、正常に審査するのが困難だったが、その後冷房が入り快適に審査ができた。人間なので暑いときの心理状態がそのままコンテスト結果に反映されそうだが、、、

がんばって、客観的に審査をしてください・

⑤ スピーチって、後からじわじわと効いてくるスピーチがあるので、コンテストの中での短時間で採点するのはとても難しい。そのときいいと思ったスピーチがあとから考えるとそれほどでもなく、そのときは何とも思わなかったスピーチがあとから素晴らしいと思えてくる場合がある。

それはとてもよくあることだが、やはりこれはコンテスト。そういうセットアップの中で、ルールに従って採点、審査する以上、そういう懸念は排除して、今目の前に行われているスピーチに集中して審査、採点すればよいと思う。

===

以上、今回のワークショップは参加者の皆さんが実践的に使えるようなワークショップとして作ってみました。

伊奈さんのもくろみとして、審査基準を通してよいスピーチについての考えも深めることができるようなワークショップとしてほしいとのことでしたので、スピーチの構成、効果、価値、身振り、声、態度、言語の適切性と正確性は、すべて「そのスピーチのメッセージを伝えるためにある。」という観点も強調しました。

出席者の皆さんにとって、スピーチ審査でも、スピーチ作りでもともに役に立つものであったことを祈ります。また私自身、この機会を通してスピーチ審査について、またスピーチ作りについても考えを深めるきっかけとなりました。

最後に、私自身のワークショップ講師としての目標は次のとおりでした。

  1. ワークショップそのものの目的を達成する。(ほとんど達成できた。①審査員の仕事が「一言」で言えるようになる。について最後にもう一度強調すべきだった。)
  2. 65分間に笑いをどんどん入れる。(これはよくできた)
  3. 参加者を巻き込む。(かなりできたと思う。)

ファンタジスタで培ったファシリテーションのスキルのおかげです。

機会を与えてくれた伊奈さんと熱心に参加して下さった皆さんに感謝です。

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第441話:USTREAM : 2001年世界チャンピオンのワークショップのビデオ(86分48秒)

オンラインで実況ライブ中継ができる話題のメディアUSTREAMで、「Live Coaching of Public Speakers with Darren LaCroix 」なるビデオを見つけました。

時間は、86分48秒。アメリカのどこかのDistrictのイベントでやったもののようです。

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第440話:Googleストリートビューで、TM巡礼の旅

トーストマスターズの最初のミーティングは、1924年10月24日(金)カリフォルニア州サンタアナのYMCAの地下の会議室で行われたそうです。

では、実際にそのYMCAに行ってみましょう。

より大きな地図で Toastmasters Birthplace を表示

サンタアナには、YMCAには三ヶ所あります。一ヶ所づつGoogleのストリートビューで確認しましたが、Toastmasterマガジン2009年10月号の「Toastmasters Then and Now」の写真の建物とどうも違います。

具体的な所在地を書いているWebサイトもなかったので、YMCA of Orange Countyにメールで問い合わせをして教えていただきました。

この建物は1989年に閉鎖され、現在はサンタアナ市の所有となっているそうです。

面白い歴史が紹介されています。

「サンタアナ市のYMCAは1907年に結成され、賃貸の施設で活動を始めたそうです。1922年にラルフ・スメドレー(Ralph Smedley, トーストマスターズの創始者)が事務長に任命され、チャーチストリートとシカモアストリートの角地に自前の施設を建設する運動を始めました。この建物はサンタアナ市を代表する建築家フレデリック・エレイが設計し、建築費用は$185,000にのぼったそうです。二つの大きなロビー、ダイニングルーム、パティオ、水泳用のプール、ロッカールーム、会議室、83の宿泊室を備えたYMCAの「永遠の家」として、1924年4月25日にオープンしました。」

ということは、その6ヶ月後にトーストマスターズの最初の例会が開催されたのですね。事務長としてこの建物の建築に多大なる貢献をしたスメドレーさんだったらこそ、ここで最初の例会ができたのですね。

Toastmasterマガジン2009年10月号の「Toastmasters Then and Now」によると、その後1962年までToastmasters Internationalの本部は賃貸のオフィスを転々としたそうです。

現在の本部は、同じカリフォルニアのミッション・ビエホ(Mission Viejo)にあります。

より大きな地図で Toastmasters Birthplace を表示

Googleストリートビューの写真では、Toastmasters Internationalの文字もロゴもはっきりと分かりませんが、ここで間違いありません。Googleストリートビューを衛星写真での視点に切り替えると広い駐車場が見えますので、車の台数から中で働いているスタッフの数が想像できます。

ちなみに、例の旧YMCAビルから現在のToastmasters international国際本部まで、距離にして38Km。車で26分だそうです。これもGoogleでわかります。

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第439話:Facebook版Toastmasterマガジンマラソン その後

1月23日にFacebookに引っ越した「The Toastmaster Magazine Marathon」(通称TMM)ですが、現在参加ランナーの数が39名となりました。

日本国内の参加者は37人、アメリカ在住の日本人ランナーが2人という陣容です。

TMM内のトピックへの投稿は今のところそれほど活発ではありませんが、あくまで「自分のペースで走る」ことをモットーにしているのと、Facebookの使い方に慣れるまでちょっと時間がかかっているのかもしれません。

ディスカッションボードのトピックス(Mixiでいうところのトピ)は

  • January 2010を読んで
  • December 2009を読んで
  • November2009を読んで
  • TOASTMASTERマガジン受領日
  • 「自宅でToastmaster magazine マラソン15分」
  • お役立ち情報
  • (初心者用)書き込み練習用トピック初めての方はここに書き込みを練習して下さい
  • 雑談
  • 自己紹介をお願いします

昨晩、突然思い立って「自宅でToastmaster magazine マラソン15分」というイベントを行いました。これは、忙しい毎日の中、Toastmasterマガジンを読むきっかけがないという方のためのイベントです。会場は、参加者のご自宅です。

参加者は21時45分から22時まで15分間だけToastmasterマガジンの好きな号を読みます。

「参加者はいるかなー?」と思っていたところ、突然の思い付きだったにもかかわらず3人のランナーの参加をいただきました。あくまでFacebookに何らかの反応をした人たちだけですので、Read-Onlyで参加した人もいらっしゃるかもしれません。

ちょっと、気をよくして

  • 月曜日早朝TMマラソン (2月8日朝6時から9時までの好きな時間)
  • TOASTMASTER MAGAZINE NIGHT : 「自宅でToastmaster magazine マラソン15分」(2月13日の21時45分から22時までの15分)

というイベントを呼びかけました。すぐに参加表明をいただき、Facebook内でこうしたイベントをやるのも面白いなと思っております。

ちなみに、Facebookで面白いイベントが無いか探していたところ、「腕立て伏せ100回」というイベントがありました。自分の腕立て伏せの回数を申告するイベントです。

現在Facebookでは、広島で立ち上がった「もみじトーストマスターズクラブ」、台湾の「太平洋、平和国際日本語演説会 Toastmasters トーストマスターズ」のようにクラブがFacebookのページを持っている例もあれば、The Official Toastmasters International Group,
Districts Not Assigned to Regions - Toastmasters International、TOASTMASTER FRIENDS (JAPAN)、Japanese-English Toastmasters (or "JETS")、Toastmasters Japan、The TOASTMASTER Magazine MarathonなどのようなクラブやDistrictを横断したグループもあります。

Facebook自体、なにがどうなっているのか慣れるのに2週間くらいかかりましたが、いろんなことがわかってくると面白い世界です。

その面白い世界でのToastmaster Magazine Marathon。もし、Toastmasterマガジンを「積ん読」「受け取っても袋も破らずに捨てている」ので、あれば一度覗いてみませんか?

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第438話:大事な3H

3Hってご存じですか?

3Hとは、Hands, Head, Heartの頭文字をとったもので、日本語でいうとHands(スキル、技術)、Head(知識)、Heart(心、気持ち)になります。

昨年9月からFantasistaクラブの、クラブ憲章の改定作業をしていたときに、クラブのあり方の話になりました。そのときに、Matthew Ownbyさんに教えてもらいました。

この3Hですが、トーストマスターズでのあらゆる局面にこの3Hを当てはめて考えると、いちいち納得が行くのです。

たとえば、スピーチを含むコミュニケーションに当てはめてみます。

どんなに技術的と正確な知識に裏付けられた優れたスピーチでも、Heartが欠けていると、スピーチ、コミュニケーションが台無しになります。

あるいは、Heartがすごく充実していると、Hands(スキル)とHead(知識)に基づいたスピーチ、コミュニケーションが増幅して、すばらしい場が出現するとおもいます。

リーダーシップにも同じことが言えます。

「みんなのために!」という気持ち(Heart)が強く過ぎて、組織運営の知識、スキルがおろそかなままリーダーシップの世界に飛び込むと、最悪燃え尽きてしまいます。

組織運営の知識、スキルは充実しているのに、人を傷つける言動をしてしまう、つまりHeartがかけた言動をしてしまうのも、また本人にも、周りにも組織にもよくありません。

Hands, Head, Heartは、どれが欠けてもいけない。どれが突出してもよくない。調和をもった3Hを追求して行くことが大事だと思います。

(Fantasista News Flash #010, January 30, 2010の記事に加筆し、転載)

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第437話:悪夢

あるクラブのインハウスコンテストにチーフジャッジとして招かれました。

全員のスピーチが終わって、別室で集計していたら、なんとジャッジの採点用紙ではなくCCマニュアルのProject7のEvaluationガイドで集計している人がいました。

あわててそのジャッジさんをつかまえて、なぜジャッジの採点用紙を使わなかったんだ?と質問すると、「だって知らなかったんだもん。」

で、別室に戻ると採点用紙も集計用紙もどこかに消えてしまっていて、審査ができません。

よく考えれば、チーフジャッジはもう何回もやっているので、慣れっこになってしまい、つい慢心してジャッジブリーフィングをやることをすっかり忘れていたことを思い出しました。

「だって知らなかったんだもん。」を未然に防止することができなかった。

人様のコンテストを台無しにしてしまって大変申し訳なくなり、今思えばなぜそんな行動をとったのかわからないのですが、その会場をこっそり抜け出しました。逃げたわけです。

でもやっぱり申し訳なくなって、そのクラブの会長さんに電話しました。

「東さん、今日は本当にお疲れ様でした。」

「え?コンテストはどうなったの?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここで目が覚めました。気がつけば暗い部屋の中。布団の中にいます。あまりにリアルなことで、これは夢だったのか?現実だったのか?しばらくわかりませんでしたが、どう考えても記憶に無く、夢だということがわかりました。

なんでこんな夢を見たのでしょうか?

年に一度は、TMがらみの悪夢を見ます。

前に見た悪夢は、こんなのでした。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

あと1時間でスピーチコンテストが始まるというのに、まだスピーチができていません。

あせってスピーチを作っていると、あと1時間だと思ったのは私の勘違いで、後30分でコンテストが始まるといいます。

どうしよ~。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

と思ったところで目が覚めました。

逆に、トーストマスターズがらみの楽しい夢というのは見たことがありません。記憶もありません。

きっと現実の世界では幸せなんでしょうね。

お後がよろしいようで。

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第436話:Facebookへ引越し

第432話:参加しませんか?TOASTMASTERマガジンマラソン(TMM)でご紹介したTMMですが、最近Facebookに引っ越しました。

FacebookでThe TOASTMASTER Magazine Marathonと検索していただくと出てきます。

当初Mixiでの運用を考えていたのですが、Mixiで新規にアカウントを取得する際に、現在は携帯電話がないとイケないそうなのです。今後Mixiを持っていない人が加入することを考えるとこの制限はちょっと面倒です。

ということで、その制限のないFacebookとしました。

あなたも参加しませんか?

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第435話:渋谷で論評を考えた夜(1月19日江戸トーストマスターズ訪問記)

1月19日は5年ぶりに江戸クラブを訪問いたしました。前回は2005年ころでしょうか。千駄ヶ谷で例会をされていたときでした。

今回は平松さんのお招きで総合論評と論評のワークショップをやらせていただきました。

19時から21時という限られた時間で総合論評とWSの合計で40分もいただきました。

この日、参加者の皆さんにお伝えしたのは次のことです。

  • 私の論評の歩み。
    2000年9月に入会した私の最初の悩みは「Evaluation(当時は英語クラブに在籍しましたので)で何をしゃべってよいのかわからない。」ということでした。結局試行錯誤でいろいろなことをやってみました。
  • 各スピーチプロジェクトの目的を、私の論評スピーチで披露してみました。しかしこれをやると、確実にタイムオーバーしました。
  • スピーチの中のフレーズを、私の論評スピーチで繰り返してみました。しかしこれでもタイムオーバーしました。
  • 3つほめて1つ改善点を述べて最後にほめるというサンドイッチ方式あるいはC-R-Cをやってみました。これは基本的にうまくいきました。しかし論評用の語彙をそれほどもっていかったので、ベーシックマニュアル(CCマニュアル)の論評ガイドから必要な言葉をすべて拾い出し、プロジェクトごとに論評用語彙が自由に使えるようになるようの練習しました。これはうまくいきました。
  • で、2007年だったかEvaluationは「相手をモチベートすることだ。」というトーストマスターズの論評の基本に気が付きました。その内容で2007年秋のD76秋季大会でワークショップを行いました。
  • 2009年にファンタジスタの例会で「論評ブートキャンプ」をやったときに、「自分の言葉が相手に伝わったと実感したいときに、ものすごくモチベーションがあがる。」ということに気が付きました。逆に言えば、話し手に対して「あなたのメッセージは○○ですね。」と正確に伝えることで話し手のモチベーションがあがるということに気が付いたのです。
  • さらにファンタジスタでのディスカッションの中で、トーストマスターズとは、技・知識・心を充実させる場であることに気が付き、論評での学びを技・知識・心のポイントで整理して考えられるようになりました。
  • 現在、技・知識についてはそこそこのレベルにきていますが、やはり心という観点ではまだまだやることがあると気が付き、がんばろうと決意を新たにしているところです。

経験別論評上達法

  • トーストマスターズというのは、「そこで人が成長する場所」です。例会でお互いに相手が成長するように助けあう場所ですから、そこでの論評も間違いなくその路線に沿っていなければなりません。
  • そうはいっても、最近入会した人にいきなりそんなことを言ってもなかなか難しいので、経験に応じた上達法を考えてみました。
  • 学ぶというのは、まねぶ、つまりまねをするというところからきていると聞いたことがあります。新しい組織にはいるとき、まずそこにいる人のやり方を真似る。あるいは、まず形から入るというやり方があります。
  • トーストマスターズに入ったばかりでどのように論評をやっていいかわからない人は、まず「サンドイッチ方式」をお勧めします。3つほめて1つ改善点を述べて最後にほめる。あまりわからなくてもよいからとにかくがんばってよい点を3つ探して、改善点をかならず1つ述べて最後にもう一度ほめて終わる。そのやり方でやってみる。トーストマスターズに入ってスキルがないときはなかなか難しいかもしれないけれども、基本マニュアルの課題を10まで進めるとなんとなくできるようになってくる。
  • その際に、タイマーのカラーシグナルを利用して時間管理をするのもひとつの手です。黄色が出るまでに3つのよかった点を述べる。黄色から赤まで改善点を1つ。赤が出たら再びほめて終わり。
  • この「サンドイッチ方式」によって、まず「技」から論評に入る。
  • 次の段階は「知識」。基本マニュアルが終了したあたりから「知識」を意識してもよいかもしれない。基本マニュアルの論評ガイドをしっかり読み込んで知識を増やす。あるいは、「知識」から「考えること」に展開してみる。
  • 基本技法を踏まえて、たとえばスピーチがわからなかったときに、なぜわからなかったのかから考えてみて、そこに改善点の機会を見出すなど。
  • スピーチがわからないからといって恥じることはない。わからなかったのに、それを隠して相手をほめるよりも、素直にわからなかったことを伝えるほうが、トーストマスターズの例会が「そこで人が成長する場所」であることを考えるとよほど価値がある。
  • この「知識」の段階がいつ終わるのかわからないですが、その次に「心」の段階があります。自分の心から論評し、相手の心に届けるフェーズです。
  • 正直私もこの段階にはまだ到達していないので、どのようなものかはわからないのですが、すくなくともこの段階になると、相手のスピーチの改善点を、相手の立場に立って徹底的に考え抜いて、相手と同じ場所に立ってフィードバックができるようになる気がしています。
  • この「心」の段階まで来て論評というものが、本当の意味で相手をモチベートするように思います。

そんな話をさせていただきました。

この日の会場は決して広い会場ではありませんでした。狭いだけに窮屈といえば窮屈です。

その狭い部屋をスピーカーの皆さんの心の言葉が満たしていきます。狭い部屋に立ち見が出るほどの盛況振りでしたから、部屋の温度も上昇していきます。そのせいか、気分が高揚していきます。

でも高揚したのは室温のせいだけではなかったと思います。

ワークショップを始める前に、総合論評者として論評者の方々のスピーチを客席から見ていました。

そして会場も見回しました。

この会場で座っている人、立っている人みなの視線が論評者の一挙一投足に注がれています。

みなものすごい集中力です。この集中力こそが、「みなの心がひとつになった」一体感を生み、そのことで高揚感を生んだということが正解でしょう。

コンサートで、客席とステージが一体になったような、そんな幸せな一体感がありました。

その一体感を、ワークショップのプレゼンターとして感じることができました。一緒に論評について考えることができた。

プレゼンターとしてこんなに幸せなことはありません。

スピーチも論評も相手があって初めて成り立つコミュニケーションです。話し手と聞き手の両者がうまくコラボして作り上げていく共同作業ともいえます。

その意味で、1月19日の渋谷の夜は、忘れられないものになりました。

** おまけ **

当日参加者に配布した「Fantasista Tips 今日から使える「論評が “ちょっと” うまくなるアイデア」集」です。 (「Fantasista_Tips_For_Edo_TMC.pdf」をダウンロード

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第434話:講演 「Taking Your Speech To The Next Level」@エリア43合同例会(1月10日、岡山)

さて、ワークショップもスピーチも、およそ人前で聴衆を相手に行うものの成否は、話し手と聞き手の協力関係の強さと深さで決まります。その意味で宝塚TMCでのスピーチクリニックは成功でした。

さて、翌日の岡山での「講演」は正直まったく未知数でした。私に与えられた時間は30分。その30分で結果を出すシナリオが実は見えていませんでした。30分でどうやって聞き手とコラボし、化学変化を起こせるのだろうか?

★準備
宝塚と同じく11月の全国大会終了後から準備を始めました。当初は世界大会での学びの共有というご注文でしたが、それでは聞き手が珍しい話を聞いて、たんに「ほぉー」っと感心して終わる懸念がありましたので、「岡山のメンバーとエリア43合同例会の参加者にとって役に立つ内容」という観点で再考することで合意しました。

また、参加者と対話しながら、全体で作り上げていくという路線も決まりました。

★アンケート

12月に岡山TMCのくろちゃんが、岡山メンバーにアンケートを取ってくださいました。

アンケートの質問は二つ。

  • Q1. 「来月スピーチをお願いします」という要請に対して、「えっ?!」と思う、その最大の理由は何ですか?
  • Q2. 「さぁ、スピーチを作ろう!」とする時点で一番困るのはどんな所?

その結果のコメントを集約すると次の3つになります。

  • ネタがない。
  • スピーチを準備する時間が無い。
  • 練習すると思うと気が重い。

文面から皆さんが悩みながらスピーチをされている姿が浮かびました。もし当日こうした悩みに完璧に回答できたら、皆さんのモチベーションが高まるだろうな、と思いつつ、やはり「30分で結果を出すコンテンツ、構成、デリバリー」で悩みは続きます。

私が皆さんからの回答を読みながら自分の中で問い続けた質問は次の二つです。

  • どうして、こんなにネタだらけの世の中で、「ネタがない」なんて悩みが生まれるんだろうか?もしかしたら、そこには「パブリックスピーキング(あるいは演説)のトピックはかくあるべし。」という思い込みが無いだろうか?
  • なぜ「時間がない。」という声がたくさんあるのだろうか?もしかしたら「実は時間はなくて当たり前。」ということに気がついていらっしゃらないのではないだろうか?

すーじさんとSkypeやメールでやり取りしながら、岡山TMCの実情も聞き取りし、イメージを膨らませていきました。そのメールのやりとりにくろちゃんも参戦し、スピーチ作りについてとてもよいコメントを追加してくれます。

だんだんとイメージが湧いてきました。

★当日
エリア43の合同例会で、岡山市の国際交流センターの12階会場には、岡山、東神戸、関西、徳島、香川、高知、広島の各クラブから50人を超える皆さんが集まりました。すべて英語クラブですので例会の言語は英語です。

プログラムは基本的にトーストマスターズの標準的な例会構成と同じで、メンバー5人によるスピーチとその論評、そして総合論評と進みます。個性あふれるスピーカー、論評を大いに楽しみ、学びました。

一通りの例会プログラムが終了し、いよいよ私の番が回ってまいりました。(当日の例会の全体構成については、岡山TMCのすーじさんのブログの記事「感謝」をお読みください)

★私の講演
宝塚でもそうなのですが、私は皆さんに笑っていただきながら話をするのがとても好きです。母国語である日本語で、リラックスして進めさせていただきました。

まず簡単に自己紹介し30分の講演の目的について話します。
① 「時間がない」ことについて
② 「ネタがない」ことについて
③ 自信をつける

① 「時間がない」ことについて
まず、スピーチを作る際の作業について皆さんにお聞きしました。

一ヵ月後の土曜日に例会があるとして、どんな作業をするか、皆さんから意見を出していただきます。

作業フェーズ順にネタ集め、構想、原稿書き、練習、本番です。

次に、練習をいつから開始するか?

例会の一日前、二日前、三日前。ちらほらいらっしゃいますが、そんな危ないことをする人はあまりいません。一週間前。三分の一くらいの皆さんの手があがります。それを自分の目で確認していただきます。みんなそうなんだと。

さらにさかのぼって、二週間前、三週間前、一ヶ月前。ほとんど手があがりません。

多くの皆さんが例会の一週間前までにスピーチ原稿を書き上げ、そこから練習に入っているようです。つまり、自分の中では一週間前までに原稿を書き上げるという締め切りを持っているって事ですね。

じかし現実は「それでも時間がない」と思う。

何に対して時間がないのでしょうか? そこで問いかけます。

「では、時間がたくさんあれば、よいスピーチ、満足がいくスピーチが作れるのでしょうか?」

会場から笑いが出ます。難しいですよね。時間があってもよいスピーチを作れるかどうか。

ここで、私の経験です。2007年、2008年5月のD76の決勝で勝ってから8月のインターディストリクトまで、約3ヶ月ありました。3ヶ月もあればよいスピーチが作れそうです。

でも実際はどうだったか?

5月後半、6月とネタ集め、構想に散々苦しみました。約1ヶ月半をネタ集めです。7月からスピーチを書いて書きながらいろんなクラブを回って、同時にもうひとつのスピーチも書きます。

一つ目のスピーチがまぁまぁになったら、今度は二つ目のクラブを仕上げてほかのクラブを訪問して練習です。8月に入ると二つのスピーチを練習です。それでも、自分が思っていたイメージとはどうも違う。

時間があっても自分の中では納得できない。そんなものなのかもしれない。

皆さん、仕事や家庭があってトーストマスターズに来ている。そもそもそれ自体「無理」なこと。その「無理」を承知でやっているのだから、時間がないという「無理」も仕方がない。

でも逆にその与えられた時間の中でベストを尽くす。それしかないのですよ。

だからがんばりましょう! と結びました。

② 「ネタがない」ことについて

私の講演の前の5人のスピーカーの方々のスピーチを振り返りました。資源のリサイクルの話、60歳を過ぎてますます体を鍛えていらっしゃる方の話、闘病しながら子供たちを教えたアメリカの先生と闘病をしながら翻訳をしたご友人の話など、自分の身の回りから題材をとってスピーチをされている。そこには、「パブリックスピーキング(あるいは演説)のトピックはかくあるべし。」という気負いは感じられません。

何の思い込みがあるのかな?そう思って、会場に質問を投げました。

「トーストマスターズで禁止されているトピックは何でしょうか?」

たちまち「宗教」という声があがります。次に「政治」。それに続いて人を傷つける話題などいくつか出てきます。私は、さらに「エス・イー・エックス」を追加しました。この3つがタブーだという会場のコンセンサスができました。

では、宗教、政治、セックスの話題を禁止しているマニュアルは何でしょうか? という質問を会場に投げました。

答えはありません。

そこに2006年に国際本部が発行したTipsというクラブ役員向けのニュースレターのある記事を紹介しました。(詳しくはこのブログの「第166話:セックスと政治と宗教と」をお読みください。)

「Toastmasters Internationalは宗教、政治、セックスの話題は禁止していない」という明確なアナウンスを読み上げると、ちょっとしたどよめきが起こりました。

「ただし」

大事です。

「その話題で聞き手が不愉快な思いをするのであればそれはすべきではない。」

つまり、特定の禁止トピックやタブーはありません。

聞き手が不愉快な思いをしなければ何を話してもよい。

冒頭の、「ネタがない」ことについて再び戻ります。禁止トピック、タブーがないことがわかった今、「相手を不愉快にしなければ何でもあり」ということを念頭において、もっと心を自由に好きな話をしてみてはいかがでしょうか? とまとめました。

そして最後の③ 自信をつけるに話を移します。

ここで「ジョハリの窓」に話を移ります。ホワイトボードにジョハリの窓を描きながら私なりの説明を加えます。(詳しくは、「第416話:ユーモアスピーチと「ジョハリの窓」」をお読みください。)

トーストマスターズでの論評をもらうことで、他人が知っていて自分が知らない自分に気づく。そのことで、自分の可能性が広がる。広がった可能性で自分に自信がつく。

自信がついたら、そしてトーストマスターズでいろいろな人の個人的な話を聞いたら、「自分だけではない。」ことに気がつく。

それまでかたくなに隠していたことも、別に隠さなくてよくなる。

そのことで、さらに「自分も知っていて他人も知っている領域」が広がる。隠し事を持っているストレスから開放される。

それがトーストマスターズの例会で、自分の話をし、人の話を聞き、論評をもらう価値なのだと思う。

と、展開します。

トーストマスターズの例会では誰もが失敗する。でもそれは別に気にすることではない。トーストマスターズの例会は練習の場所だから失敗してまったくかまわない。

この会場のドアをあけてこの部屋を出ると、そこには「世間」が待っている。そこで失敗しないように、ここで失敗して学ぼう。

「時間がない」でお話したけれども、トーストマスターズをやっていること自体、「無理」をしていることに過ぎない。

「無理」をして失敗しても構わない。

でも、今日の例会では、前回の例会でできなかったことをちょっと無理してやってみよう。今日も失敗するかもしれない。

だったら次回の例会でやってみよう。そして自信をつけよう。

それがトーストマスターズのよいところだと思う。

====
そう締めくくって私の講演を終わりました。時間にして33分。3分オーバーです。実行委員長のすーじさんから多少伸びても構わないと事前に言われていましたので、自分に甘く3分は許容範囲としましょう。

その後Q&Aセッションです。

①東さんは貯金をいくらお持ちですか? うっかりまじめに答えてしまった。まだまだですねー、==> 私。
②声を鍛えるために実践していること。 自分の声が会場に響いていること。自分の声と声の間の、間(ま)、静寂も含めて練習の際にイメージを明確にもつこと。そして何よりも、声を出す、というより相手に自分のメッセージを伝えようという意思、マインドを強く持つ。
③東さんがTMに入る前と後で一番変わったことは? 今日のようなたくさんの聴衆を前にしても、そんなに気負わず友達との日常会話のように話せるようになったことではないでしょうか?おそらくジョハリの窓でいう「自分も他人も知っている領域」がトーストマスターズに入ってから拡大したからだと思います。

さて、今となっては定かではないのですが、この日の講演のどこかでベーシックマニュアル(CCマニュアル)の使い方について話をしました。

私が送りたかったメッセージは、スピーチ作りの「入り口」は常に伝えたいメッセージにあるよ。ということでした。

ですから、Vocal VarieryやBody Languageを扱ったプロジェクトでも、最初から「声」や「身振り、手振り」を意識しすぎてスピーチを作るのはなく、まず自分が伝えたいメッセージをしっかりと持ってスピーチを作り上げて、そこに「声」や「身振り、手振り」という表現を加えていくのがあるべき作り方であることをお伝えしました。

ただ、ちょっと私の伝え方がまずくて、当日、大きな身体表現でスピーチをされた方や冒頭で歌を歌った方に、否定的に伝わったかもしれません。私は、このお二人のスピーチを念頭においていったわけでは決してないことをここで強調しておきます。

★二次会
会場から10分ほど歩いた地下街のお店でたくさんの方とお話しました。話に夢中であまり食べませんでしたねー。

★三次会(憧れの聖地:すーじ家にて)
以前から、一度伺いたいと思っていたすーじさんのお宅に伺いました。ご主人のてるぞうさんが暖かく迎えてくださいました。ここが有名な「すーじ家」か。この夜から翌日にかけてのことはすーじさんのブログの「記事」に譲ります。(酔っ払った私の記憶のない部分も鮮明にルポしてくださっています。赤面)

★振り返って
話し手と聞き手の協力関係の強さと深さで決まります。その意味で岡山での今回の講演も自己評価ですが大成功でした。

★補足
準備段階のすーじさんとのやりとりで、「スピーチはConclusionから作る!」という話を講演の中に入れるという約束をしていましたが、ころっと忘れておりました。失礼しました。

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第433話:スピーチクリニック@宝塚トーストマスターズクラブ(1月9日)

すべては、パーティーから始まりました。

昨年11月14日(土)横浜での2009年D76秋季大会のパーティーで宝塚TMCのLoroさんと岡山TMCすーじさんと、ワインを左手に右手にシューマイを持ちながら、1月9日宝塚、1月10日岡山訪問の話を提案されました。

どちらもトーストマスターズでは未踏の地。(岡山は人生でも未踏の地)。

その後の話で宝塚TMCへは「スピーチクリニック」、岡山でのエリア43合同例会へは「講演」という形でテーマが決まり準備を始めました。

まず、宝塚でのスピーチクリニックからです。

★準備
11月下旬くらいからメール、Skypeで、会長のLoroさんとVPEのしんさまと打ち合わせを開始し、3名のスピーカーをノミネート。

スピーチとクリニックを入れて一人に50分かける内容で決まりました。

英語クラブの宝塚ではありますが、あえてクリニックの言語は日本語でとさせていただきました。やはり細かいニュアンスまでは英語だとなかなか「腹に落ちない」からです。

3人のスピーカーへは12月にそれぞれ私からコンタクトを開始。「現在の問題点」を探る問診票を送付し、ご回答いただきました。また1月の頭に必着でスピーチ原稿の送付もお願いしました。

通常の例会のEvaluationと異なり、スピーチクリニックではスピーチそのものの分析をかなりやりますので、スピーチ原稿を事前に入手しての読み込みと分析は必須の作業です。

★当日
宝塚の国際文化センターの会場に13時45分ころに入ったときには、もうかなりのメンバーがそろっていました。

近隣のクラブからのゲストさんが12名いらっしゃり会場は満席となりました。よい兆候です。残念ながらお子様の看病のためスピーカーお一人は欠席されました。

★第一スピーカー
CCマニュアルのProject2のOrganize your speechに基づき、ご主人とイギリスへ旅行されたときの発見・気付きをまとめられたスピーチです。

発表後、ホワイトボードにこの方のスピーチのフレームワークを会場の皆さんと一緒に分析しました。ここで、スピーカーと聞き手のギャップが出てきます。

うまく伝わったこと、うまく伝わっていないことの双方を比較しながら、なぜ伝わったのか、なぜ伝わらなかったのか?をスピーチの構成の点から、声、身振りというところまで踏み込んで考えてみました。

会場から逆に「○○がわかりにくかった。」との質問もでて、スピーカーからその意図の説明があります。

ここで、皆さんに「氷山」のたとえを使って説明しました。氷山は、海面上に見えているよりもずっと大きな塊が水中にあります。

スピーチもそれに良く似たところがあって、聞き手は多くの場合、見えたもの、聞こえたものしか理解できませんし、コメントしません。ですから、スピーカーは、自分のスピーチで言いたいことを、スピーチに込めて伝えきることが大事です。それが水面下に隠れていて、水面上の「氷山の一角」として現れていなければ、なんとか水面上に出す工夫をしなければなりません。

そのために、自分のメッセージ、「いちばん言いたいこと」に貢献しない部分は「無駄」と割り切ってばっさり切り捨てることが必要だと思います。(将来、またどこかで使えばよいのです。)

スピーチを作る技術とは、詰まるところ「捨てる技術」でもあります。

そんなことを共有させていただきました。

会場からも、提案・質問がどんどん出されて非常によい出だしとなりました。

★第二スピーカー
The Entertaining Speaker上級マニュアルのProjectに基づいたユーモラススピーチです。アメリカからのホームステイの学生が巻き起こすドラマを楽しくスピーチされました。

発表後、まず会場に面白かったところをどんどん上げていただきました。

とにかく笑いを何度もとっていたので、たちまちホワイトボードは余白がなくなるくらい「面白かった部分」で埋まりました。

つぎに、スピーカーの方に、「ここはウケると思ったのに、スベッたところ」はどこかお聞きし、会場の皆さんと一緒にそれはなぜなのか考えてみました。

再び、なぜ今回のスピーチがうまく行ったのか、会場の皆さんと一緒に考えます。

まず、この方のスピーチは、冒頭から会場に対して明確な「笑いの許可」が出されていました。この「笑いの許可」が明確に出ていないと、聞き手は笑っていいのかいけないのか混乱して、スピーカーが意図した笑いが聞き手から沸き起こりません。

この「笑いの許可」とは何なのか?どのように出すか?

まず、「笑いの許可」とは、可笑く誇張された顔や声そして身振り。可笑しなストーリー。これに尽きます。

誇張の度合いですが、ステージパフォーマンスでは自分が思っている2倍ほどやってちょうど良い感じです。ですから思いっきりやる。

2001年世界チャンピオンのDarren LaCroixは、開始90秒以内に笑いを取ることを推奨しています。

さて、ユーモアスピーチには6つの大切な要素があります。この頭文字をとってTHREESとして紹介しました。THREESとは、

  • Target
  • Hostility
  • Reality
  • Exggeration
  • Emotion
  • Surprise

の略です。詳しくはこちら(第413話:ユーモアスピーチのフレームワークと6つの要素(ファンタジスタ例会))をお読みください。

さらに、笑いのフレームワークについても紹介しました。

まずセットアップ、

ディベロップメント、

クライマックス(パンチライン、オチ)で、大事なのが、クライマックス直前のポーズであること。

2番目のスピーカーさんは、笑いの許可、6つの要素、フレームワークがうまく盛り込まれたスピーチを披露され、参加者の学習効果を高めてくださいました。

★二次会

宝塚南口にあるニュージーランド料理店「Kiwi House」で、楽しく歓談しました。

★三次会
会長のLoroさん宅で、Tonyさん、ながはまさんも交えてさらに深く深くいろいろな話をしました。

さあ、翌日10日は岡山です。

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