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第17話:Evaluationのヒント(その3 「事前に」原稿を渡すことの是非)

最近になってけっこう多くの英語クラブで、SpeakerがEvaluatorに「事前に」、つまりRegular Meetingでのスピーチ本番前に原稿を渡しておいて、Evaluatorはそれに基づいてEvaluation Speechを行う運用を行っていることを知りました。私は、この運用には個人的に賛成できません。私は、SpeakerがEvaluatorに「事前に」原稿を渡すべきではないと信じております。(ただし、Speakerが「事後」、つまりスピーチ後にEvaluatorに原稿を渡して原稿のEvaluationをお願いするのには反対しません。それも良いやり方だと思います。)

さて、今回のこのトピックをあげたのは、事前に原稿を渡すことのメリットを知りたいからです。ですから、私の文章をお読みになって私が気づいていない「事前に原稿を渡すメリット」についてご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。(論争をすることが目的なのではなく、より良いアイデアを持ちたいのです。)

本記事では、賛成できない理由と、私なりの提案のふたつをもとに私の考えを述べております。

まず、賛成できない理由について私の考えを下記にあげます。

① 事前に内容を知ってしまっては厳密な意味での”Speech”のEvaluationができない
Speechとは、Speakerの口から出たある意味をもったメッセージです。生身の人間が伝えるスピーチですから当然紙に書かれたエッセイとは異なります。Evaluationとは、生身の人間が伝えるスピーチをもっと効果的に行うためにはどうするかと言う観点で行います。ですから耳で聞き理解したものがすべてです。中心となるメッセージはわかりやすく伝えられたかどうか?Organization、Deliveryは適切だったのか?という観点に絞って行われるのです。

紙にかかれたScriptのEvaluationは、スピーチのEvaluationではありません。そこには、「耳で聞こえて目で見た」ものに対するEvaluationはありません。あくまで紙に書かれたもののEvaluationです。これ自体大事なことですが、Regular MeetingのSpeechのEvaluationとは異なります。Regular Meetingは「耳で聞き目で見て理解した」メッセージのEvaluationが必要とされているのです。なぜなら私たちはスピーチをやるためにMeetingに来ているのですから。そしてトーストマスターズクラブはエッセイを行うクラブではありませんから。

② ではどうするのか?
原稿に対するEvaluationは不要だといっているのではありません。Speakerとして成長するためには大事なことです。ただ私がいいたいのは、Evaluatorが事前に原稿を読んでしまうと一般のAudienceと同じ立場でスピーチが聞けなくなってしまう。一般のAudienceと同じ条件で建設的な提案ができにくい状況となってしまうと申し上げているのです。

私の提案は次のとおりです。
- Evaluatorは事前に原稿をもらわない。あくまで一般のAudienceと同じ条件でフレッシュにSpeechを聞きそこでEvaluationを行う。
- Regular Meeting終了後あらためて原稿をもらい、今度は原稿レベルでのEvaluationを行う。

このやりかたでいけば、本来の”Speech”に対するEvaluationもでき、原稿のEvaluationもできます。

ちなみに、Speakerの立場で言えば、原稿はRegular Meeting前にご自分のMentorに見てもらうのが良いやり方と思います。

私見ですが、事前にEvaluatorに原稿を渡すのは、Evaluatorが「英語の」スピーチを聞きとれなくてバツの悪い思いをするのを避ける意味合いがあるように思います。

これは、一見親切のようですが、Evaluatorのためになるとはどうしても思えません。

皆さんのお考えはいかがでしょうか?

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Comments

東さん
すばらしいサイトですね。トーストマスターズクラブのサイトをこれまでいろいろと見てきましたがこんなに参考になるサイトは初めてです。とにかくすばらしい。今後、いろいろな方が参加してより内容がてんこ盛りのサイトになればいいですね。

ところで、論評者が事前に原稿をもらうことについて私見を述べたいと思います。私は、絶対に原稿をもらうべきだと思っています。なぜか? それは、第一にスピーカーのためであり、第二により優れた論評をするためです。

最初のスピーカーのためというのは、原稿をもらい内容を読み、スピーカーがスピーチをする以前にフィードバックを戻し、そこで「推敲」する時間をとるためです。スピーチを上手になる方法のひとつは、間違いなく何回も「推敲」を重ね、書き直すことです。このサイトでも、コンテストに挑戦することを進めていますが、それは「推敲」する機会になると解釈できますよね。それをミーティングレベルで行うことができればスピーカーはより上手になるわけです。そしてその手法が、論評者が事前にスピーカーから原稿をもらい、フィードバックをあたえることです。スピーチをよりよいものにするには、原稿をよまなくてはわかりません。原稿を入手すれば、比較的容易に構成を検討できるし、言葉を検討できます。あくまで原稿入手は、スピーカーに対して、最後のもうひとつもふたつもスピーチを直す機会をあたえることです。

二つ目として、よりよい論評をするためには、やはり事前に原稿に目を通しておくべきだと思います。本来原稿は原稿です。地図のようなものです。現実ではありません。ですから、スピーチが「語られる」かぎり、原稿と一緒ではないのです。その差を読み取り、論表することが求められるのです。原稿をもとにプレゼンされる内容が、その時の場に合う場合もあればはずれる場合もあります。それも論評者が見つけ、改善の提案をするべきでしょう。また、原稿と実際の差の中でも良かった点などはぜひとも見つけて指摘するべきでしょう。ですから、論評者は事前に内容を知っているからといって、論評の訓練ができないということでなく、もっと違うステージからスピーチを見るという機会であると考えるべきでは、と私個人は思うわけです。

現状の原稿をもらうことの問題点は、論評者が自分のために原稿をもらい、事前に論評を準備することです。これは原稿をもらうこととは別で絶対にしてはいけないことだと思っています。私自身がどのように対応しているかというと原稿をもらい、フィードバックを事前にあたえ、聞くときは基本的には原稿のことを忘れるのです。しかし、頭のどこかに残っていて、その差が見えてきます。それもひとつの論評すべきポイントです。論評者は、発表としては、3分間ですが、実際には書面にもコメントを書き、必要ならば、内容をコーチできるまでの準備がいると思っていますし、出来る限りそのような対応を私はしております。ですから、観客と同じようなフレッシュな状態で聞く必要はないし、それでは足りないと思っています。

もちろん、あらゆることにいろいろな方の考えがありますが、私が機会あることに、原稿を事前にもらうことの是非を聞かれるときには、必ず、もらうべきであると話しています。もちろん、あくまで、私の個人的見解であることを最後に強調しておきます。

Posted by: 大嶋友秀 | April 19, 2005 at 06:20 AM

大嶋さん、ご意見ありがとうございます。内容といい、ご自分のアイデアを表明される際のフレームワークといい大変勉強になりました。今後ともぜひいろいろとBlogの場で意見交換をさせてください。

大嶋さんからいただいたコメントを読んだ後、自問自答してみました。

①なぜEvaluationをやるのか?自分はEvaluationを通して何を学ぼうとしているのか?
②自分はどのようにEvaluation Skillを伸ばそうと考えているのか?
③自分は、「事前に」スピーチの原稿を入手することについて何が問題だと思っているのか?
④そして「事前に」スピーチ原稿を入手することは、だめなのか?

この4つの設問に答えると、何か見えてくるものがあると思ったからです。

① なぜEvaluationをやるのか?自分はEvaluationを通して何を学ぼうとしているのか?

TMのRegular MeetingでEvaluationを行うことで、Speakerに対してSkill向上に貢献ができます。これこそがMeetingの中でのEvaluationの目的です。では、それで終わりでしょうか?Regular Meetingの外で応用はきかないのでしょうか? そんなことはないと思います。TMでやっていることはすべて実生活で応用のきくことばかりと思っています。Presidentに始まるOfficerの経験、Table Topics, Joke Session, TMOD(あるいは、TMOM, TMOE)、そしてPrepared Speech。すべて実生活で応用のきくことばかりです。

TMに入って2年目か3年目にこんなことを考えたことがあります。Evaluationのスキルは、会社の会議、子育て、生徒の指導、部下の指導、奥さんへの料理の注文、クレームなど現状をさらに建設的に発展させるための意見表明に大いに利用できそうだな、と。Evaluationのフォーマットは、先日この徒然草にも書きましたが、C-R-C(Commend-Recommend-Commend)がポピュラーです。子供をいきなり叱るのではなく、まず認めて、改善点を具体的に指摘しやって見せて、最後に元気付ける、(なかなかできていませんが、たまにできます)。会社の白熱した会議の中でも、C-R-Cで冷静で建設的な意見をいって絡まった論点を整理し解決に持っていく人がたまにいます。すばらしいです。(そして、いかにもプロフェッショナル!って感じでかっこいいですね。)

このように建設的なコミュニケーションスキルを日常生活の中でできるようにするのがEvaluationの目的ではないかと思います。

② 自分はどのようにEvaluation Skillを伸ばそうと考えているのか?

Evaluationを頼まれたら「No」といわない以外、現在積極的に努力していることはとくにありません。では、自分のEvaluationのSkillで満足なのか?そんなこともありません。いろいろなところにいらっしゃるTM「有段者」(私が密かに認定し尊敬している)のEvaluationをきくたびにいつも自分のEvaluationのSkillを恥じ入っているしだいです。
では、やるしかありませんね。どうやったらSkillは伸ばせるのか?そして本当に役に立つEvaluationができるのか?一人ブレーンストーミングをやってみます。

1、日本語での論評を数多くやってみる。(英語というハンディがなくなるから)
2、他の人のEvaluation SpeechのEvaluationをしてよいところをどんどん盗む。
3、自分のEvaluation SpeechをEvaluationしてもらう。
4、Evaluationコンテストに挑戦する。(2006年??)
5、Speechと、それに対する自分のEvaluationを録画して自己評価する、あるいは仲間と一緒にわいわいとEvaluationする。
6、事後に原稿をいただき、再度机上で練り直してみる。(5に類似)
7、そして事前に原稿をいただいた上で、スピーチの構成、内容を頭に置いた上で、当日のEvaluationに臨む。Deliveryについてよく見ることができる。

ちょっと考えるといろいろと出てきます。走りながら大急ぎでやらなければならないRegular MeetingでのEvaluationを数多くこなすことも大事ですが、車で通いなれた道路も、歩いてみると風景が違って見えるのと同様に、スローダウンしてゆっくり考えてみるのもひとつの訓練かというかとに気がつきました。

③ 自分は、「事前に」スピーチの原稿を入手することについて何が問題だと思っているのか?

大嶋さんがずばり書いておられました。「現状の原稿をもらうことの問題点は、論評者が自分のために原稿をもらい、事前に論評を準備することです。」 そうか私はそこを問題と思っていたのか! 私はこれはすまいと決めています。「こうなりたい」イメージの実現には程遠いからです。

④ そして「事前に」スピーチ原稿を入手することは、だめなのか?

すでに答えは出ています。要するに、大嶋さんが提案された方法もより良いEvaluationを行う訓練のひとつと思えば、活用次第でありいちがいに「だめ」ではないということに気づいたことは、私にとって大きな収穫です。

最後にひとつ、大嶋さんに質問です。

大嶋さんは、スピーカーがより良いスピーチを行うための「推敲」の重要性を書いておられますが、私はここはEvaluatorでもよいのですが本来Mentorの役割だと思うのです。ただ実際に、Advanced Manualに進むと多くの方はご自分のMentorとの関係が希薄になる、あるいは消滅してしまい、スピーチを事前に見てもらう相手としてはMentorは現実的ではなくEvaluatorが運用としてはやりやすいという面はあるとおもいます。 しかし本来のあり方を考えると、Evaluatorに事前にスピーチを見せるのではなくご自分のMentorを積極的に活用して、原稿のレビューをしてもらい推敲のプロセスを効果的に行うことかと思いますが、いかがでしょうか?これが普及してMentorプログラムが活性化すると、すばらしいなと願うものであります。

Posted by: | April 23, 2005 at 07:24 PM

東さん、大嶋さん、ありがとうございます。
非常にイイ話を聞いた~、という満足感があります。

私個人は東さんとほぼ同意見で、事前に原稿をもらうべきではない派ですが、大嶋さんのコメントを拝見し、なるほど納得いたしました。(そこまで考えたことは無かったなー、という気がします。)
そこまで真摯に論評をしている人はいったい何人いるでしょう。その姿勢に敬服します。大嶋さんに論評してもらえる人は幸せですよね。私もぜひ次回は大嶋さんに論評してもらいたい!(笑) あっ、でもそうすると、推敲できるだけの時間的余裕を持って、大嶋さんに原稿を送らなくてはならないのですね。いつもギリギリにならないと原稿が出来ない私には無理かなぁ…。

といいつつ、私自身はやっぱり事前に原稿をもらわない方を選択します。
大嶋さんの「観客と同じようなフレッシュな状態で聞く必要はないし、それでは足りないと思っています。」というコメントを見て、そんな自分で申し訳ないという思いもするのですが、やっぱり私は「観客と同じようにフレッシュな状態で聴いて楽しみたい!」という思いがあります。メンバーとして例会に参加している以上、私も他のメンバーと同じように、今日はどんなスピーチが聞けるのだろうとワクワクする気持ちを味わいたい。その上で、自分が感じたものをフィードバックする、それが私にとっての論評です。

私は今期(H16年7月~)これまでの10ヶ月で24本の個人論評をしました。単純計算で2週間に1回のペースです。それだけ多くのスピーチを、観客としてワクワクしながら聴ける機会を持てなくなったら寂しいなぁ、と思ったりします。

結局、私の場合、事前に原稿をもらわないのは、単純に自分が楽しみたいからだけなのでした。これを読んで、今後、浅井の論評を受けたくない人が続出したらどうしよう!(笑)

Posted by: 浅井昭江 | May 02, 2005 at 10:55 PM

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