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第64話:スピーチを「研ぎ澄ます」

私は、スピーチを「研ぎ澄ます」工程が大好きです。もちろんそのまえにある頭の中にあるアイデアをうんうんいいながら「発酵させる」工程も夢があって楽しいのですが。
アイデアを頭の中から取り出して、紙の上に書き出して、そこから推敲を重ねる。この工程は、自分ひとりで行う、刃物研ぎのような工程だと思っています。

研ぎ澄ます工程は二段階あります。①原稿を読みながら研ぎ澄ます工程と、②頭の中に叩き込んだあとさらに研ぎ澄ます です。

原稿を読みながら研ぎ澄ます
紙に頭の中の言葉を書き出してみて、それを読みながらとにかく10回音読してみます。そうすると、うまく話し言葉に乗らない言葉は、なんか喋っていてごつごつした感じに思えてきますので、それをスムーズに流れる言葉に言い換えます。10回繰り返す頃には、最初のバージョンに比べてかなり研磨されてきて、滑らかになっています。

頭の中に叩き込んだあとさらに研ぎ澄ます
そこからさらに、原稿を頭に叩き込んで、今度は一切原稿を見ずに、ストップウォッチをもって研磨の仕上げをやります。聴衆の反応を想像して、あたかも本番のイメージトレーニングをやるかのように、繰り返します。原稿読みの段階ではOKだった流れや言葉も、Vocal Varityを工夫し、Body Actionをつけ、間をとって、さらに聴衆の顔をイメージしていくうちに、どうしても納得できないところが出てきます。そこを、もう一度原稿に戻って、考え直します。自分では気に入っている部分も、全体の調和を考えて、あっさり削除することもあります。でもそうやって「研ぎ澄ます」と、全体でバランスの取れたものになるときがあります。

しかし、怖いのは出来上がったときに「これは本当に自分のいいたいことなのか?違うんじゃないか?」という疑念が浮かんだときです。そのときは、陶芸家がまるで焼きあがった作品を容赦なく叩き壊すように、大規模に作り直すことがあります。
しかし陶芸と違ってスピーチは叩き壊さなくても、冷静に原稿を点検していけば、ちょっとした言葉の選び方で自分の気持ちにぴったりさせることができますから、それほどいつも心を鬼にする必要もありません。

納得いくまで、何度も何度も研ぎ澄まし、本番を迎える。この作業が、結構好きです。

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