« 弟91話:テクニカルプレゼンテーションとユーモア | Main | 第93話:Toastmaster2月号 Special Evaluation Issue »

第92話:なぜコンテストに出るのか?

コンテストシーズンがやってきました。これまでほぼ毎年コンテストに挑戦している私は前の年の12月くらいから「何を話そうかな?」と考え始めます。コンテストに出ることは、自分にとっては年中行事のようになってきていることは確かです。コンテストに向けて練習している間は、楽しいことよりもむしろ「なんで、こんなことをやっているのか?」と苦しくて仕方がないことも確かです。

私はいったいなぜコンテストに出るのか?出たいのかを考えてみました。

その原点(トーストマスターズでの)

なんと言っても2001年の5月東京日比谷のプレスセンターホールで行われたAll Japan Speech Contest決勝で、井上敏之さんのBonji Tetteiをみたことです。Toastmasterに入会して半年後に参加した「全国的なイベント」と日比谷のプレスセンターホールというブランド(当時はそう思った)という雰囲気(と会費)にすっかり呑まれた中で見た井上さんのBonji Tetteiスピーチは内容、構成、デリバリーとすべてにおいて圧倒的で、しかも会場を笑いの渦に包みこんでの優勝ですから、その場で「こんなスピーチをいつかやりたい。自分もコンテストに出て聴衆を沸かせたい」と思いました。

卵からかえった雛が最初に見た動物を親と思う「刷り込み」と同じことが起こったわけです。思えばここが私のスピーチコンテストマニアたる原点でした。でも、本当にこれが原点なのかな?もう少し掘り下げて考えてみました。

その原点(本当の原点)

中学・高校時代ビートルズに憧れ、中でもポールマッカートニーのすべて(才能、歌、楽器のスキル)にあこがれていました。ステージでやってみたかったのですが、バンド仲間もおらずチャンスはありませんでした。さらにさかのぼると、小学校のころから授業中教室のみんなを笑わせるのがとても好きでした。さらにさかのぼると、幼稚園のころから家に来た父のお客さんを笑わせるのが好きでした。ここが私の根っこの部分なのかなと思います。要するに根っから人を笑わせたり、楽しませたり、目立つのが好きな性格なのですね。

大学時代はクラシックギタークラブにて、ギターアンサンブルの指揮やギター独奏や重奏をやったこともあり、とりあえず「目立ちたい欲」はそれなりに満たされました。しかしクラシックってやはり難しいのですよね。大学生ともなれば、ものすごいギターを弾く人間が結構いまして、とてもじゃないけどそこまでできないという思いもありました。

社会人になってからは、社会人のギターサークルに一年ほど入っていたこともありましたが長続きせず、音楽をやる夢もどこかに行ってしまいました。

それが2000年にトーストマスターズクラブと出会い、2001年の井上さんのAll Japan優勝スピーチを見て、目覚めたのです。

この記事を書きながら、「あーここが自分の原点だったのか」と納得してしまいました。

コンテストでの苦しくも楽しい思い出と学びの数々

やはりコンテストに出ていい事がたくさんあったというインセンティブがあったから毎年出ようという気持ちになるのだと思います。これらはまったく個人的な体験ばかりなのですが、まぁここは私の個人的なブログですので好きなことを好きなように書きますと、、、

  • コンテスタントではないのですが、2001年の秋のあるArea Evaluation Contestで私は、Test Speakerでした。Evaluation Contestではコンテスタントが同じスピーチを聞いてEvaluation Speechを順々に行ってその技を競いますが、その「同じスピーチ」をするのが、Test Speakerです。このスピーチがとてもウケましてスピーチの自信をなくしていた私は、一気に気持ちが前向きになりました。このスピーチがきっかけで横浜クラブのたくさんの方々と友人になりました。
  • 2002年の春のコンテストでは、エリアコンテストの次がいきなり大阪のAll Japanでして決勝にいきなり出場することになりました。1位、2位、3位で私の名前が呼ばれることは無く参加だけでしたが、それでもコンテストに向けた練習のやり方について大きく学びました。同じクラブの和田さんに車の中で「もっとこんな風に盛り上げたほうが良い。」とバラの花を小道具に使ったConclusionを提案していただきましたが、あまりにかっこよすぎて私のカラーに合わないと判断し、使いませんでした。それはともかく大阪の決勝でせめて入賞したかったな、というのが正直な気持ちでしたが、後日送られてきたビデオを見て愕然としました。まったく計画性のないステージ上での動き、ボディアクション。1位、2位の岡野さん、浅井さんとは黒帯と白帯ほどの差を見せ付けられました。
  • このコンテストで、「コンテスタントは受付で特別扱いをしてもらえる」快感を味わいました。まったくパーソナルなつまらない快感ですが、、、
  • 2002年秋のDivision B Humorous Speech Contestは忘れられません。「IT」というタイトルのスピーチでしたが、前日の午前中までオチが浮かんでこず、横浜クラブに「明日出場するのをやめます。」という電話をしようと思った瞬間に「Windows HELP doesn't help us at all!」というオチがひらめき出場。その後、次から次へとクレイジーなアイデアが浮かび翌日のコンテストのステージでは会場の笑いをどんどん取りまくり、最後の最後のオチ「Windows HELP doesn't help us at all!」で、横浜開港記念会館の一号会議室を埋めた皆様の大爆笑をいただきました。あまりの爆笑ぶりにステージにいた私は風圧めいたものを感じましたが、今でもあの感動は忘れられません。結果は3位でしたけど、こんな大きな笑いがもらえたことは本当に幸せでした。
  • 上のDivision Bコンテストの結果は3位だったのですが、なんと1位優勝者が出張のため全国大会決勝に出場できなくなり、繰上げで名古屋で行われた全国大会に出場しました。結果は入賞ならずでした。ここである人から「あなた、マイクの使い方が悪かったわよ」と言われました。マイクを使っていなかったのになぜ?と思ったところ、レクターンの上においてあったステージマイクがOnになっていて、そのそばを通過するたびにマイクが私の声を拾ってとても聞きづらいスピーチになったようです。まさにLearn By Doing.
  • 2003年春の「Natto is Yummy」は本当によく練習しました。厚木座間クラブのThomas Myslinskiさんにキャンプ座間のACSセンターでサシで稽古をつけていただきました。一対一のスピーチはとても緊張します。その後、とにかく100回練習することをターゲットに会社の行きかえりも歩きながら練習しました。Division B予選を通過して、激しい練習の成果があって新橋第一ホテルで行われたAll Japanの決勝で、、、、1位、2位、3位で私の名前が呼ばれることはありませんでした。この結果にはしばらく納得が行かなかったのですが、後からいただいたビデオを見て合点が行きました。私はたんなるテープレコーダーだったのです。練習のしすぎでした。100回練習することだけを見て、一回一回の練習を大切にしなかったつけがきっちりと回ってきたのです。この年のコンテストを振り返って二つの大きなことを学びました。一つはモチベーション管理。同じスピーチを何回もやるため飽きるのです。どうやって楽しい気持ちでやり続けるのか良い勉強になりました。そして一球入魂の練習です。勝てなかった悔しさから立ち直ってよい勉強をしました。
  • 2006年春の淡路島の日本語コンテストは結果として優勝でした。昨年は、最初から優勝することだけを念頭にクラブ内予選を力技で乗り切り、強豪の居並ぶDivision Cでは辛勝し、District決勝では優勝することができました。それまでの、コンテスト出場で学んだ様々なノウハウの集大成とも呼べる練習法で臨んだといいたいところですが、決勝前日にDivisionCバージョンを大幅に書き直して当日の朝から徹底的に練習するというドロナワ的な方法で、あまり理想的ではないかもしれませんが、費やした時間からすると費用対効果では効率的だったかもしれません。優勝したことは本当にうれしかったです。しかし台湾から来たトーストマスターの皆さんのデモスピーチのすばらしさに「まだまだ道は遠い」と気持ちを引き締めました。

これまでのコンテストの挑戦の結果、大きな敗北感も大きな達成感も両方味わいました。私にとってコンテストへの挑戦の理由は、まとめるときっとこんなことになります。

  • 子供の時からの、自己顕示欲、ウケ狙いを満足させる貴重な場である。
  • 特別扱いしていただけるのははっきり言って相当気持ちがよい。
  • 勝てば、やはりうれしい。勝てなければ勝ちたいと思う。それがインセンティブ。
  • この時期、ひとつのスピーチにじっくり取り組むことができ多くのことが学べる。
  • 同じコンテストに出場するコンテスタントから、非常にたくさんのことを学べる。
  • クラブの例会の倍以上の規模の聴衆を前に、例会では得られないステージ上でのライブについて実際にやってみて学べる。たとえば、声。クラブの例会の会場で出す声とステージで出す声はおのずと大きさ、強さが異なる。強い声、大きな声を出すとスピーチの時間に影響することがわかった。(長くなる)
  • 多くのトーストマスターの皆さんと友人になれる。

もっと、単純化すると「好きだから、楽しいから」ということになります。

さて、今年はどうしようかな?

|

« 弟91話:テクニカルプレゼンテーションとユーモア | Main | 第93話:Toastmaster2月号 Special Evaluation Issue »

Comments

こんばんは。厚木座間長谷川です。
「なぜコンテストにでるか。」
私の場合、やっぱり「高揚感を味わいたい」「達成感を味わいたい」からですかね~。
でもなかなか思い通りにいかず、がっくりすること多々。
でも、みんなうまく行くときも行かないときもあるのでしょうね。
東さんのように大舞台に立ってwinnerになってみたいです。
かっこいいですよね~。

Posted by: 長谷川裕子 | February 22, 2007 at 12:00 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 弟91話:テクニカルプレゼンテーションとユーモア | Main | 第93話:Toastmaster2月号 Special Evaluation Issue »