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第104話:「I Love You」スピーチでの学び

Image0161_3 スピーチコンテストでDistrictの決勝まで行くと、同じスピーチにじっくりと取り組むことができます。今回の「I Love You」スピーチも、3月10日の大和バイリンガルクラブ内でのIn-House Speech Contestから始まって、3月18日のArea33コンテスト(川崎武蔵小杉)、4月22日のDivision C(横須賀)、そして5月20日のD76(東京代々木)まで2ヵ月半同じスピーチに取り組むことができましたので収穫は大きかったのです。

今回の収穫を次の4つから振り返ってみます。

  1. コンテストに臨む方針
  2. フィードバックの大切さ
  3. 世界チャンピオンたちから学んだこと
  4. 「イメージ」を持つ事の大切さ
  5. 小技

コンテストに臨む方針

今年は、「自分のスピーチとパフォーマンスを徹底的に楽しむ」ことを方針としました。そのために納得の行くスピーチを作ることをひたすら心がけました。コンテストは最終的に勝ち・負けが決まりますから、やはり負けるのはいやです。だからといってスピーカーとして「勝つこと」に妥協して魂までは売りたくありませんでした。「魂を売る」とは、「勝つためにスピーチに無理をさせる、自分が納得していない内容で妥協する」ことをさします。

「自分が、自分のステージパフォーマンスを徹底的に楽しめば、聞いている人にもその楽しい気持ちが伝わり、その好循環で良いスピーチができるはずだ」と信じていました。

そうは言っても、Division Cで優勝してDistrict76の決勝が見えたあたりから、まだまだ小市民の私は、「勝ち」を意識しだし前日までその気持ちを抑えるのに苦しみました。

しかし、本番は「人事を尽くして天命を待つ」ような気持ちで、それまでやったどのプレゼンテーションよりも楽しむことができました。

正直言いまして、前の晩は自分のスピーチを早くみんなに聞いてほしくて興奮してしましまいなかなか眠れませんでした。23時に床に就いたのに、24時、1時と焼酎を飲んでもまったく眠れず困りました。自分を落ち着かせるために、何を思ったか優勝者インタビューの原稿を書いてお世話になった人の名前をステージでもらさず発表できるようメモを作りました。結局、当日の表彰式では優勝者インタビューはなくお世話になった人たちにステージからお礼を言うことはありませんでした。この人たちの名前は「第101話:うれしい! うれしい! うれしい! 」にあげたとおりです。当日はこの人たちの名前を書いた紙片を胸のポケットに入れステージにあがりました。

フィードバックの大切さ

2001年の世界チャンピオンのDarren LaCroixが言うとおり、スピーチが上手になるにはStage Time, Stage Time, Stage Time(ステージでの実践あるのみ)ですね。そして、かならずフィードバックをもらうことです。「良薬は口に苦し」の至言にあるように、時には優しくないフィードバックもあります。一週間前にCBさんからいただいた「いままで聞いた中で一番つまらなかった。説教くさい」はもっとも苦くしかし正直で誠実なコメントでした。しかし、この正直なコメントのおかげで”自信作”だった「A Drop Of Water」を捨てることにし、もともとやっていたFather To Sonをベースに改良を続けていくことにしました。この「A Drop of Water」は、今から思うとスピーカーとして勝ちを意識して魂を売ったようなスピーチでした。CBさんの「良薬」には今でも感謝しています。

通常、フィードバックをくれる方はスピーチの表面を聞いて感じたことをおっしゃいますので、深く突っ込んで「なぜそう感じたのか?」について質問しても答えてもらえないことがあります。しかし、その分析はやはりスピーカーの仕事であり、楽しみだとおもうようにしました。本番5日前に上海のPeople's Square TMCでやったときは、「最初はすごく良かったが、途中から聴衆のエネルギーが下がってしまった」というコメントをいただきました。このコメントも悩みましたが、「なぜだろう?」と再度原稿を徹底的に見直し、「途中のエピソードにVividさがないんだ」ということに気がつき、その部分を改良しました。

聴衆からのフィードバックは本当に大きなヒントです。そのヒントを頼りに徹底的に自分のスピーチを見直すと、絶対に道が開けることがわかったのは大きな収穫でした。

世界チャンピオンたちから学んだこと

昨年の淡路島でのD76 Spring ConferenceでDavid Brooks(1990年チャンピオン)のワークショップがありましたが、彼が「Public Speakingとはつまるところ、Tell A Story, Make A Pointである。」と教えてくれたことが大きく役に立ちました。Tell A Story, Make A Pointについてここでは割愛しますが、その言葉をきいて「とにかくスピーチではStoryを語ろう、そしてそのStoryは自分のハートから語るStoryにしよう。そしてメッセージを絡めて落とそう。」と考えてスピーチの改善を重ねました。大きな学びでした。

1999年チャンピオンのCraig Valentineの聴衆とのConnection, 巻き込み方もとても勉強になりました。チャンピオンではないのですが、Italo MagniのBody Languageも勉強させていただきました。

2001年のチャンピオンのDarren LaCroixからは、プロの声とアマチュアの声を違いを学びました。その気づきの後でWorld Championship of Public Speakingのビデオを見ると、皆さん発声とそれに伴う声の質がアマチュアのレベルを超えていることに気づきました。上手くいえないのですが、「話し声」ではなく「スピーチの声、表現する声」になっているのです。

やはり良いスピーカーのプレゼンは本当に勉強になります。

「イメージ」を持つ事の大切さ

スピーチの中でStoryを語る際に「イメージ」をもつことの大切さを再確認しました。頭の中でそのStoryを思い浮かべ、その世界に浸りきる、なりきることが表現力を強めることになるということです。たとえば今回のスピーチで、自分の高校時代のパーティーを語る部分がありましたが、ここは徹底的にリアルなイメージを頭に思い描きました。母親の事を語るときも、母親のリアルなイメージを思い浮かべました。(感情が入りすぎ本番ではちょっと涙目になりましたけど) そして、スピーチのいちばん最後の二人の息子をHugするシーンは、ステージが暗転し自分だけにスポットライトが当たっているイメージです。イメージがクリアであればあるほど、集中力が増し、体も声も自分の思うとおりかつ練習したとおりに動いてくれます。ミスも少なくなるし、ミスしても動揺しません。これは昨年の淡路島でやった「ロボット達の反乱」の声のコントロールで学んだことですが、今回再確認できたことで自信につながり大収穫でした。

小技

「味方」作り:どんなコンテストにもいえることですが、聴衆の中に自分の「味方」をたくさん作っておくと本番のステージで落ち着きます。ですから本番前にできるだけ会場を回って知っている人、知らない人にもきちんと挨拶をして「味方」を作っておくことはコンテストの際にはとくに大事だと思いました。(もちろん、そんな打算的なことだけをするのではなく日々のToastmasterとしての人間としての努力も大事です。また、この「味方」を作るというのは、審査員を探して自分に点を入れてもらうことではもちろんありません。)

時間管理:本番でのタイムオーバーは、どんな良いプレゼンをしてもその努力を帳消しにします。「第99話:こんなの欲しかった「Toastmaster Timer1.1」」で紹介したソフトを徹底的に活用して、自分のスピーチのどこで黄色が点灯するかをつかんでおくことはとても有効だと思いました。黄色点灯でOn Timeであればよい兆候、逆に遅れていればちょっと挽回しなければなりません。タイムマネージメント上、「取り返しのつきにくい」赤よりも、「まだ挽回できる」黄色のほうが大事と思います。

スピーチ順を決めるくじ引き:本番でのSpeaking Orderで1番最初のスピーカーは結構しんどいものがありますので、コンテスト前のContestant Briefingでは「一番になりませんように」と祈りながら引きます。Area33, Divison C、D76のすべてのコンテストで、くじ引きの際に実行委員会の人から「それではくじ引きをします。どなたから引きますか?」と聞かれたらいつも「はい!」と手を上げて真っ先にくじを引かせていただきました。こればかりは単純な確率の問題なのですが、くじ運良くおかげさまで最初のスピーカーになることは一度もありませんでした。

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今回やらなかったこと

  • ①メッセージを決めて、そこからスピーチを組み立てること
  • ②マインドマッピングを利用してのスピーチ作り

この二つは、8月14日のInter-Districtに向けて心がけていきます。

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添付の写真は、今回の記事の構想を練るために書いてみたマインドマップです。センターイメージはトーストマスターズのトロフィーについているスピーカーの像です。

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