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第250話:「Priorities」の総括

先日の広島でのD76コンテストで私が行ったPrioritiesの原稿です。この後のカルガリーでのInter-Districtコンテストでこのスピーチをすることはできませんので、先に進むためにも原稿を公開して気持ちにけりをつけます。

「Prioritiesスピーチ原稿(Priorities20080518.pdf:265KB)」をダウンロード

★テーマ選定

スピーチで述べたとおり「適切な優先順位をつける」ことは、私の本当に苦手な分野です。上司に指摘されながら、でも優先順位付けを間違えているのは自分だけなんだろうか、と内心思っていました。

思えば、2006年淡路島でやった日本語スピーチ「ロボットたちの反乱」も、2007年代々木でやった英語スピーチ「I LOVE YOU」も、形は違えどPriorityの話です。

きっとこれからも追い続けるんでしょうね。

★方針

メインテーマは、「今の私たちのPriorityは、何か問い続けて行動しよう。」ですがそれを補完するメッセージとして「The most important things in life are not always visible.」があります。このサブメッセージがいちばんいいたかったところでもあります。毎日、仕事のターゲット、地域の活動、自治会、そしてトーストマスターズなどに忙しくしているとそれがPriorityだと思い込みがちです。しかし、立ち止まって考えてみると、本当に大切なのは目の前にあるものではなく、視界に入っていない、もっと自分の根本にあるものではないか?ということに突き当たることがよくあります。それも含めて考えることを提案したのがこのスピーチです。

Tell a story, Make a point: スピーチの中ではメッセージを説明するのではなく、ストーリーを語ってメッセージを語るというDavid Brooksさん(1990年世界チャンピオン)の教えを実践したいと思いました。

スピーチの構造:前半は、自分の年次評価でPriority Settingが弱いと指摘された点から始まり、自分のこれまでの歩み、そしてPriority Settingがなぜ弱いのかの分析、そしてこれは私だけの問題ではないと広げて終わり。後半は、台湾でのストーリーを中心に自分が忘れていたPriorityを思い出し、最後に今後の人生を見渡して本当のPriorityとは何かを考えていこうで結ぶ構造です。さらに、構造感を高めるための工夫としてPriorityという言葉を随所に入れること。さらにWhat are our real priorities?という問いかけを中間で行い、最後に同じ質問で終わること。Hard-core anti pririty manという言葉を最後にもう一度持ってくることによる終了感。

笑いを定期的にとる:私は人を笑わせるのが好きです。人さまに喜んでいただくと元気が出ます。スピーチをしていてしーんと聞いていただくと、だんだん不安になってきます。ですから積極的に笑いをいれ、笑いを取りにいきます。定期的にガソリンを補給するようなものです。

遊びも入れる:昨年のI LOVE YOUでは歌を二曲入れました。完全な遊びです。私はスピーチに遊びを入れるのが好きです。今年も氷河が溶ける描写、台湾での写真撮影での描写を入れました。ぜったいに必要かといわれればNoかもしれません。でもこの遊びを入れることで、聞き手がさらに心を開いてくれ、私のスピーチの中に入ってきてくれるのを感じます。

時間管理:昨年フェニックスで4秒のタイムオーバーで泣きましたので、時間管理にはとくに神経を使いました。語数を700語以下に落とすことを心がけました。本日語数をカウントしたらなんと600語。自分でもびっくりです。7分30秒以内でいろいろなことを語るのは至難の業ですので、台湾で起こったことは若干順番を入れ替えています。Sherryさんの言葉も誇張も入れています。そうしないと情景が描写しきれないからです。しかし絶対に変えていないのは、母を抱いたところ、そこで思った心の動きです。

小道具は極力使わない:私は普通スピーチでは大道具、小道具は使いません。ホワイトボードも使いません。練習が大変になるし、本番で余計な神経を使いたくないからです。2006年の「ロボットたちの反乱」で日本国憲法の本を使ったので、あのスピーチをするときは憲法を絶対に忘れないようにするということに神経を使わなければなりませんでした。今回は、どちらかといえば例外的に自分の気持ちをよりリアルに近づけるために、上司からのフィードバックフォーム(本物をA3にコピーしました。)を使いました。

「気持ち」:決勝が近づくにつれ練習回数も増え、不安も増し、どこを改善すればよいかわからなくなってきました。英語の発音も問題が山積み。ステージ上での動きもいいのかどうかわからない。Conclusionも効果的がどうかわからない。答えが無い中で時間だけが過ぎていくのは本当にしんどいです。広島に行く前の日(5月15日)に昨年の世界チャンピオンVikas Jhingranのインタビューを聞きました。(Talking Toastmasters Podcast)

  • インタビュアー:Vikasはスピーチ原稿を一語一語暗記するのですか?
  • Vikas:いいえ。私はメッセージとロジックの流れを頭に入れて、かつその時々の自分の気持ちを忠実に思い起こしながらスピーチします。

これなんだ! スピーチの中のストーリーを語る際、何を思いどんな気持ちだったかを再現します。そうすると声、表情、体の動きは自然についてきます。それ以後の練習は、自分の気持ちにフォーカスした練習に変えました。上司からフィードバックフォームをもらったときの気持ち。台湾でみんなとシューマイを食べたときの気持ち。母を抱いた際のぬくもり。すべて忠実に心の中で再現するようにしました。

★決勝スピーチとしてとくに意識したこと:

ストーリーの重み。メッセージの重みです。遊びはあってもよいのですが、バランスをとる意味で重いメッセージを入れました。

必殺技としての「間」。私は間が好きです。スピーチの途中に取る間でできる静寂が底まで落ちた瞬間がたまらなく好きです。今回、途中で5秒の間を二回ほど入れていますが、過去D76のスピーチでここまで長い間を入れた例は見たことがなく必殺技としてトライしてみました。まだ高校生のころだったかに円楽師匠の親子ものの落語でものすごく長い間を見たことがありまして、そのイメージがあったのだと思います。

結論:コンテストですから点を取らなければ勝てない。点を落としたら勝てない。そのために、このスピーチのConclusionにはとくに力を入れました。いくら前半がよくても、中盤がよくても、Conclusionが弱ければJudgeは点を入れてくれません。最後の最後まで悩みました。(当日の朝6時40分にようやくひらめき完成させた話は以前の記事でしたとおりです。)

★コンテストとは?「誰と闘うのか?」

当日までほかのコンテスタントがどんなスピーチをするかわかりません。わかったとしてもそれに対する対応を立てることが意味があるとも思えません。ほかのコンテスタントと闘っているかといえば、その実感もありません。

結局は、自分との闘いです。優勝したいと思えばがんばる。飲み会の誘惑があっても我慢する。メッセージが弱いと思えば徹底的に考え抜く。人の意見をいっそう謙虚に聞く。気に入ったラインでも全体で見たら意味がなければ潔く捨てる。恥ずかしくても自己嫌悪になっても自分のスピーチのビデオ録画を見て研究する。朝早起きして練習する。あきらめない。そういう積み重ねだと思います。

コンテストチェアが優勝者として自分の名前を発表する瞬間。ステージで表彰される瞬間。ステージから見える友人たち。努力が報われた瞬間。

これがあるからやめられないのですね。

★謝辞

  • 練習の機会とたくさんのフィードバックを下さった大和バイリンガルクラブの皆様。
  • いつもフィードバックをくれるエリア33の友人の皆様
  • いつもフィードバックをくれるDivision Cの友人の皆様
  • いつも応援してくださるD76の友人の皆様
  • スピーチの中にも登場し、D76コンテスト前に私のスピーチ原稿にコメントを下さった台湾のSherry Liさん。
  • 英語チェック、アドバイスをくれた2007年D76日本語スピーチコンテスト2位の大和バイリンガルのパーキンスさん。
  • スピーチのロジックに惜しみないアドバイスをくれた、2007年日本語論評チャンピオンの小林さん。
  • 練習に協力してくれた私の家族
  • そして親不孝息子をここまで育ててくれ、身を持って真のPriorityを教えてくれた私の母

に感謝し、総括としたいと思います。

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