« 第414話:ファンタジスタトーストマスターズクラブ プロモーションビデオ | Main | 第416話:ユーモアスピーチと「ジョハリの窓」 »

第415話:ある「再会」(第36回大隈重信杯争奪全日本学生英語弁論大会(早稲田大学)にて)

11月28日(土)、早稲田大学大隈講堂で開催された大隈杯スピーチコンテストにジャッジとして参加いたしました。

大学のESSでスピーチをされる学生さんたちは、その技量をあげるためにできるだけたくさんのコンテストに参加されるようです。関東学生英語会連盟(KEUL)の情報によると今年は54のオープン大会(大学ESS, 地方自治体、香港行政庁などが主催)があるそうです。

昨日の10人のコンテスタントの顔ぶれをみても、私がジャッジ、クエスチョナーをやった過去2回のコンテストに出場していた方が3人もいました。

実は、今回のコンテストを楽しみにしていたのは、ある特別な理由がありました。ジャッジとしての打診を受けてしばらくして他のジャッジのお名前を送っていただきましたが、その中に「東後勝明」というお名前を見つけました。

「お父さんに内緒でこっそり英語を勉強してびっくりさせてやろ。」

私が10歳のとき、鹿児島に住んでいた時に母が笑いながらこう言いました。そこで18時30分からのNHKラジオの基礎英語を聞き始めました。基礎英語は15分番組で、そのあとが英語会話、そのときの講師が東後勝明先生だったのです。

軽い音楽にあわせてHello everybody, my name is Katsuaki Togo.というオープニング。イントネーションという言葉も10歳の私には耳新しく、その説明をダーダダダダー(ジャズスキャット風に。アントニオ猪木風ではない。)と説明してくれた時の声も今でもはっきりと脳裏によみがえります。とにかくかっこよかったのです。

早稲田ESSの方からメールを貰ってから東後先生とお会いするのが本当に楽しみで、何を話そう、何をお聞きしようとばかり思っていました。

そして、昨日。大隈講堂のジャッジ控室(貴賓室と書かれていましたので、背筋を伸ばして緊張して過ごしました)で他の外国人ジャッジの方々と話していると、東後先生が入ってこられました。

もちろん、あれから40年近い月日が流れていますから、先生も(もちろん私も)歳月の分だけ変わっていますが、お声を聞いてあのラジオの声が蘇りました。

私が、「10歳のときに先生の番組を聞いていました。」とお伝えしたら、「はい、うかがってますよ。」とにこやかにお返事下さいました。早稲田のESSの方にメールで伝えた話を、転送してくれていたのですね。(ありがとう)

東後先生も早稲田の、しかもESSのご出身だそうです。ロンドン大学に留学されていた時のお話、15年続けたラジオ英会話のお話、そして現在。

私が、びっくりしたのは、早稲田大学ESS時代に先輩に連れられて訪問した山王ホテルで行われていたトーストマスターズ例会のお話。Table Topicsセッションをご覧になってびっくりして「これは、怖い!」と思われて二度と戻る事はなかったそうです。東後先生程の方でも学生時代初めて参加されたTable Topics Sessionは怖かったのかと思いました。

山王ホテルと聞き、また60年代のクラブということで、東京トーストマスターズクラブの50年誌を引っ張り出してみたのですが、60年代の記録だけありま せん。ただ1973年に第一回全日本スピーチコンテストを山王ホテルでやった記録がありますので、東後先生が参加された例会が東京トーストマスターズクラ ブだった可能性は高いです。(山王ホテルは、226事件の際の決起部隊の指揮本部がおかれたところで、戦後米軍に接収され米軍専用の宿泊所になりました。米軍の宿泊施設はその後1980年代にニュー山王ホテルに引き継がれました。山王ホテルの跡地には、2000年に44階建ての山王パークタワーに建てられました。)

つぎにESSの学生さんたちがびっくりしていたのは、東後先生がESSのメンバーだった60年代。ESSの部員数は900人もいて、合宿には300人も参加されたのだそうです。成長期の日本の姿がまぶしく目に浮かびます。現在の早稲田大学ESSも部員数200名といいますから大したものです。

さて、肝心のコンテストですが、私の感想です。

Contents
社会問題をとらえたスピーチが7本。生き方をとらえたスピーチが3本。
社会問題では、オンラインマネーの提案、新薬承認プロセスのスピードアップ、新薬開発にかかるコストダウンの提案、マニフェストの立案方法に対する提案、動物の命を食べている現実を見つめ食べ物の無駄な廃棄を減らす提案、労働組合再興への提案、知のハイブリッド化。
生き方をとらえたスピーチでは、「感謝の心」をもっと言葉で伝える提案、ドメスティックバイオレンスを受けた人の救済についての提案、ポジティブな生き方への提案。

いずれも練りに練っただけのことはあり、また自分の専門分野を掘り下げたスピーチもありで、感心しました。

最後のジャッジコメントでもお伝えしましたが、全体的に「硬い」。ユーモアをもっと入れてこそ、スピーチ全体にバランス感が生まれると思いました。

右脳と左脳という働きの違いを意識して、スピーチもロジックだけでなく、情緒に働きかえる作りを推奨させていただきました。

最後に、結論がなかなか出てこないスピーチが多く、PREPを交えてフィードバックさせていただきました。

Delivery

大学のESSのスピーチはほとんど動きはありません。ただ、一人はステージを「控え目に」動き、二人ほどVisual Aidを使い、三人ほどジェスチャーを使っていました。声に関してはどちらかというと短調でしたが、女性の方がうまかったですね。

私は、Body Movement, Hand Gesture, Vocal Varietyに関しては、メッセージがきっちりと伝わるのであれば、使っても使わなくてもどちらでもよいと思います。

トーストマスターズでも1994年の世界チャンピオンは目の見えない方でレクターンの横で動かずにスピーチをされたと聞いた事があります。

English
こんなにも英語が上手な学生さんがたくさんいたのかと本当に感心しました。2位になった東京大学の方に、「どちらか留学していたの?」と聞いたら、「留学した事はありません。中学時代にCDを聞いて練習しました。」そんな人もいるのですね。ちなみに中国上海の英語TMCであった流暢なスピーカーたちは、中国を一歩も出ずに英語力を高めています。

==
ステージで、堂々と自分の提案を英語で発表する10人のスピーカーを見ると、いつもそうですが、日本の未来に本当に希望が持てます。

その事を再確認できたこと、そして東後先生との「再会」という縁をつないでくれた早稲田大学ESSの皆さんに感謝しながら、20時に早稲田大学を後にし家路につきました。

東京メトロ早稲田駅に向かう道すがら、母に東後先生と出会った事をつたえると、母も先生の名前を思い出し懐かしそうでした。

|

« 第414話:ファンタジスタトーストマスターズクラブ プロモーションビデオ | Main | 第416話:ユーモアスピーチと「ジョハリの窓」 »

Comments

早稲田大学英語会(WESS)のスピーチセクションチーフの林です。大隈杯のことをここで記事にしてくださってありがとうございます。

この大隈杯、大隈講堂、そして我がESSが、東後先生や東さんらジャッジさん達の出会いの場・思い出の場・涙の場として長く歴史を刻んでいることに改めて感動し、ジャッジの皆さんのコメント中に涙がたくさんこぼれてきました。
東後先生のゲティスバーグアドレスには、東後先生と同じようにゲティスバーグアドレスの暗唱してきたWESSのOBの方々も感動されたという話を伺いましたし、私も先生のデリバリーに感動しました。

笑の力というものの素晴らしさを東さんの講評によって改めて考えさせられました。ESSスピーチには確かにないモノですが、壇上で人を『意図的に』笑わせることはある種普通にスピーチをすることよりも難しく、勉強する甲斐があるようにも思います。チーフとして後進の者たちにスピーチを教えていくときの参考にさせていただきます。

今後ともWESSをよろしくお願いいたします!

Posted by: 林雄亮 | November 29, 2009 at 03:25 PM

林さん、コメントをありがとうございます。素晴らしいコンテストでしたね。あの後、WESSの皆さんは入賞したお二人の祝勝会をされたのでしょうか?
よかったですね。

いろいろとお気づかいをいただきありがとうございました。

林さんも、まだまだパブリックスピーキングの技量を高め深めていきたいと言う事であれば、ぜひトーストマスターズの門を叩いて下さい。18歳以上であればどなたでも入会できます。

ESSの皆さんが引退と同時にスピーチをやめてしまったとしたら、それはとてももったいない事です。

ESSの皆さんのスピーチの技量、組織運営のノウハウを引き続き日本のトーストマスターズで発揮して頂けたらと強く思います。

日本はトーストマスターズの世界では、他の地域に比べてまだまだやる事がたくさんあります。

リーダーシップの点でも、スピーチの点でも。

林さん、そしてWESS、ESSの皆さんにぜひトーストマスターズに入会いただき盛り上げていって頂ければと思います。

またお会いできることを楽しみにしております。

Posted by: azuma | November 29, 2009 at 05:19 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 第414話:ファンタジスタトーストマスターズクラブ プロモーションビデオ | Main | 第416話:ユーモアスピーチと「ジョハリの窓」 »