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第442話:「スピーチコンテスト審査の考え方」ワークショップ(ディビジョンB役員研修(日本語):2月28日(日)川崎)

エリア24ガバナーの伊奈さんからの依頼を受け、「スピーチコンテスト審査の考え方」ワークショップの講師を務めました。

今回のワークショップは、ディストリクト公認のジャッジトレーニングではなく、審査の「考え方」にフォーカスしたものです。ディビジョンBの日本語クラブの役員さんたちを対象に行いました。

★本ワークショップの目的
①審査員の仕事が「一言」で言えるようになる。
②スピーチコンテストの審査員の仕事を実際に体験していただく。
③審査のポイントを体得していただく。
④審査基準について理解する。
⑤審査委員倫理規定について理解する。
⑥国際スピーチスコンテスト審査用紙および同点決着審査用紙の使い方を理解する。

★当日の流れ
①スピーチコンテストジャッジブリーフィング(20分)
②モデルスピーチ(8分)
③採点 (2分)
④解説 (45分)

★スピーチコンテストジャッジブリーフィング(20分)

参加者の皆さんをジャッジに見立て、また私がチーフジャッジとなって、ジャッジブリーフィングを行いました。

私がいつもジャッジブリーフィングで力を入れるのは、倫理規定です。

通り一遍の解説ではなく、客観的に審査するとはどういうことか、時間を考慮しないとはどういうことか、審査結果の公表はどのように行い何をやってはいけないか?について、お話させていただきました。

ジャッジである以上倫理規定は非常に重要です。審査基準の倫理規定はそのまま読めば「なるほどね。」で終わるのですが、いくつか注意しなければならない点があります。その部分をフォーカスして説明しました。

たとえば、

  • いつも良いスピーチをするMさんが、今日のコンテストではいまいち不振だった。でも、きっと上のレベルのコンテストでは実力を発揮してくれるから良い点を入れる。
  • Yさんは、何度もコンテストに優勝しているから、今回はあまり上のレベルのコンテストを経験したことのないPさんにチャンスを上げよう。Pさんに良い点をつける。
  • 「審査委員はコンテスト出場者のスピーチの時間を測定しない。審査を行なう際にスピーチが時間不足あるいは時間超過となり得る可能性を考慮しない。」というが、たとえば、コンテスタントが70分話した場合どうするのか?

というケースを交えて考えて頂きました。

次に審査基準です。内容、話し方、言語について、実例を交えながら、そしてスピーチ作りの観点でお話をいたしました。

構成、効果、価値と言われても、やはり実例が入らないとなかなか分かりにくいと考えての説明です。同様に話し方、言語についての実例を交えての説明です。

ここで注目したのは、「そのスピーチのメッセージは何か」を考えて審査するということです。スピーチの構成、効果、価値、身振り、声、態度、言語の適切性と正確性は、すべて「そのスピーチのメッセージを伝えるためにある。」ということです。その観点から説き起こしました。

以上、基準を説明したのち、審査用紙の使い方の説明です。スピーチコンテストでは、最初のスピーカーにつけた点数が、どうしてもその後のスピーカーの点数を基準となります。しかし、それでは倫理規定にある、客観性を必ずしも保証できない。そこで、昨年5月のディストリクト春季大会で国際理事のモハメドさんが行ったジャッジトレーニングで学んだ用紙の使い方を紹介しました。

さらに、仮に8人のスピーカー全員を採点した結果、全員が同点だった場合どうするか?という点から、再度ジャッジの仕事とは何かについて説き起こしました。

★モデルスピーチ(8分)
以上の説明を終えた後、いよいよコンテストよろしく、実際にスピーチを聞いて皆さんに採点していただきます。スピーカーは立川トーストマスターズクラブの松崎さん。

★採点 (2分)と解説 (45分)

スピーチ終了後、2分間の審査時間を経て、まず参加者の審査用紙を回収しました。

皆さんがそれぞれの項目に何点をつけたのか、読み上げていきます。もちろん採点者は匿名です。ここで、人によっていろいろな点数をつけていることがわかります。ある項目に満点をつけている人もいれば、半分の点数という方もいます。

ジャッジは、通常自分の採点を他の人と共有することはないため、今回のように実際の採点結果を匿名で共有することで、どのように点数をつければよいかの目安となったと思います。

自分の採点、他人の採点がわかったところで、再度松崎さんのスピーチと審査基準を照らし合わせながら、ジャッジの観点でどのように聴いて、分析して、採点するのかについて、話をしていきます。

審査基準に書かれていることをどう理解して、採点につなげていくかの解説です。

★質疑応答:覚えている限り列挙してみます。
以上、説き起こした後で、Q&Aタイムです。私はQ&Aタイムが大好きです。

① 東にとっての満点のスピーチとはどんな基準か?

とくに基準はなくその時その時でつけていく。ただし、あまりにも素晴らしくあらゆる点で突き抜けているスピーチが出た場合は、正常にジャッジできないことがあるかもしれない。

② 文法的におかしなところが仮に二つあったとして、どうやってそれを10点満点の採点に反映していくか?

スピーチ全体の中から、そのミスはどれくらいなのかを考えて採点する。

③ すべての採点が終わって見直したときに、仮に第一スピーカーが89点で、第二スピーカーが85点だった。しかし今にして思えば、第二スピーカーのほうが良かったように思う。修正してよいか?

あくまで東自身の個人的な経験と考えだが、修正はしない。自分が採点した時の印象と自分自身を信じる。(少々自信がなかったので、ワークショップにいた、オンビーさんに意見を求めましたが、彼も同意見でした。)

④ たとえばある人のスピーチの最中、室内の温度が異常に高く、正常に審査するのが困難だったが、その後冷房が入り快適に審査ができた。人間なので暑いときの心理状態がそのままコンテスト結果に反映されそうだが、、、

がんばって、客観的に審査をしてください・

⑤ スピーチって、後からじわじわと効いてくるスピーチがあるので、コンテストの中での短時間で採点するのはとても難しい。そのときいいと思ったスピーチがあとから考えるとそれほどでもなく、そのときは何とも思わなかったスピーチがあとから素晴らしいと思えてくる場合がある。

それはとてもよくあることだが、やはりこれはコンテスト。そういうセットアップの中で、ルールに従って採点、審査する以上、そういう懸念は排除して、今目の前に行われているスピーチに集中して審査、採点すればよいと思う。

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以上、今回のワークショップは参加者の皆さんが実践的に使えるようなワークショップとして作ってみました。

伊奈さんのもくろみとして、審査基準を通してよいスピーチについての考えも深めることができるようなワークショップとしてほしいとのことでしたので、スピーチの構成、効果、価値、身振り、声、態度、言語の適切性と正確性は、すべて「そのスピーチのメッセージを伝えるためにある。」という観点も強調しました。

出席者の皆さんにとって、スピーチ審査でも、スピーチ作りでもともに役に立つものであったことを祈ります。また私自身、この機会を通してスピーチ審査について、またスピーチ作りについても考えを深めるきっかけとなりました。

最後に、私自身のワークショップ講師としての目標は次のとおりでした。

  1. ワークショップそのものの目的を達成する。(ほとんど達成できた。①審査員の仕事が「一言」で言えるようになる。について最後にもう一度強調すべきだった。)
  2. 65分間に笑いをどんどん入れる。(これはよくできた)
  3. 参加者を巻き込む。(かなりできたと思う。)

ファンタジスタで培ったファシリテーションのスキルのおかげです。

機会を与えてくれた伊奈さんと熱心に参加して下さった皆さんに感謝です。

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