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第445話:コンテストルール考:「あらかじめ指定されたエリアを出た場合」のジャッジの採点

*** (下記記事は2010年4月8日に書いたものです。現時点では、「減点」ということでいうことで確認が取れております。) **

スピーチコンテストルールに関するクイズです。

もし、スピーカーが、「あらかじめ定められた場所」をでてスピーチをしたら採点はどうなるでしょうか?

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東の意見:それなりの採点をする。(減点ではない)==>胡散臭いと思った人は、ぜひ続きをお読み下さい。

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本件、以前から議論がありましたし、チーフジャッジによっても意見がまちまちです。

①コンテストルールの観点

コンテストではルールが絶対基準です。ルールに書かれていること以外にローカルルールを作ることはできません。仮にあったとしても強制力はありません。

そのコンテストルールには、どのように書かれているでしょうか?

C. All contestants will speak from the same platform or area designated by the contest chairman. All contestants and judges will be advised of the speaking area before the contest begins.
The contestants are permitted to speak from any position within the designated area and are not limited to standing at the lectern/podium.
(東の訳:C. すべての出場者は同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこととする。スピーチをする場所の範囲に関する指示は、コンテストが開始される前に、すべての出場者およびすべての審査委員に周知のこととする。出場者は指示された範囲内の何処ででもスピーチを行うことができ、演台( Lectern/podium )の後ろに立たなくてもよい。)

ここに明確に「同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこと」と書かれています。

しかし、この範囲の場所を出たとして、それを減点、失格にする規定がないのですね。
たとえば、制限時間に関する規定は名確に、失格がうたわれている。

A.スピーチは5分から7分とし、4分30秒より短いかあるいは7分30秒より長いスピーチを行った出場者は 失格とする。

でも指定された場所を出たことに関する減点・失格に関する規定は、絶対に守らなければならないコンテストルールには何も書かれていません。

「8.異議申し立ておよび失格」にも何も書かれていないのですよ。

② なぜ「同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこととする」のか?

ここについて書かれたものを探したのですが、見つけることは出来ませんでした。

ちょっとケーススタディです。

事例1:たとえば、スピーチコンテストで、てくのかわさきのように、会場のフロアから30センチくらい高くなっているステージで、落ちてしまった。

私がジャッジだったら、落ちたからといって減点はしないと思います。採点の中で、重視するのはその人のメッセージはなんだったか、それが効果的だったかを唯一の判断基準とします。効果的というのは、メッセージを伝えるために、スピーチの内容、構成、身振り、手振り、言語が効果的だったかという意味です。もし、ステージから落ちたことで、それが損なわれたら、減点ではなく、それなりの採点をするのみです。

事例2:つぎに、大学の階段教室のようになっている会場で、(つまり、ジャッジや聴衆が、スピーカーを上から見下ろす会場)、決められたエリアを2メートル出た。

私が、ジャッジだったらやはり事例1と同じで、それなりの採点をします。まず2メートル出たとしても、階段教室ですので、スピーカーのプレゼンテーションは何の妨げもなく、見ることも聞くこともできます。私の審査にはなんの影響も及ぼしません。ただ2メートルでたことで私の採点が妨げられたらそれなりの採点をするのみです。

事例3:「あらかじめ定められた場所」がその会場内全域だったとする。ところがあるスピーカーは演出のために、ドアを明けて会場の外にでていき、また戻ってきた。

今回は、事例1,2とは異なります。スピーカーが外に出ていっている間のプレゼンを私は眼にすることはできませんので、その部分の採点は不可能です。ですから、そこを考慮した、それなりの採点となります。繰り返しますが、減点、失格にはしません。

では、この場合審査基準のどの部分(内容、話し方、言語のどれ?)で「それなりの採点」をするのでしょうか?

私は、全項目である「内容、話し方、言語」になるとおもいます。理由は、ジャッジがコンテスタントを見失うと全項目でそれなりの採点をせざるをえなくなるからです。

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ここまでお読みになって、まだ信じられない方もいらっしゃると思います。何よりも、これは私の個人的な見解ですから当然です。

そんなあなたのために親切な私は「Speech Contest Judge Training Program(1190)」を確認してみました。

Presenter's Script33ページにこうあります。

For example, the rules state that all contestants will speak from the same platform or area designated by the contest chairman with prior knowledge of all the judges and contestants. If a contestant steps out of the designated speaking area, the judges cannot disqualify him or her for the rule violation. However, judges may take this rule violation into consideration when completing their judges guide and ballot and award lower marks for that contestant.

ポイントは、
審査員は、指定エリアを出たスピーカーを失格にはできない。しかし、審査員は採点する際に低い点数をつけても良い。

ってことです。

でも、これは私が言っているのと同じことなのですよ。「減点」とは言っていません。(ただ、ここではrule violationって言葉を使っていますので減点のニュアンスが発生しています。)

くどいようですが、award lower marksって言い換えれば、「それなりの点数」をつけるってことです。
しかし、やはりこの部分は、正直混乱を招いているポイントですよね。
  • コンテストルールには、「The contestants are permitted to speak from any position within the designated area and are not limited to standing at the lectern/podium.」と、ある。
  • しかしコンテストルールや審査基準(Judging Criteria)には、失格・減点に関する規定がない。
  • それでいてSpeech Contest Judge Training Program(1190)には、「If a contestant steps out of the designated speaking area, the judges cannot disqualify him or her for the rule violation. However, judges may take this rule violation into consideration when completing their judges guide and ballot and award lower marks for that contestant.」なんて書いています。
  • となると、結局各コンテストのチーフジャッジにゆだねられます。

この状態はあまり良いとは思えないですね。

参考:Speech Contest Rules 2010

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Comments

Toastmastersに入会して世界大会レベルまでがんばりたいと考えているものです。

Toastmasters InternationalのChampionのDVD(優勝者の20年分)が欲しいのですが、どうやって入手したらいいのでしょうか?やはり、ネットで海外から購入するしかないのでしょうか?それとも、どなたか持っている方で、貸してくれる方はいらっしゃるでしょうか?

すみません。ぶしつけで。世界大会の優勝スピーチを研究したいのです。

ブログはすみずみまで読みました。とても感動しました。ご返事お待ちしております。
メールアドレスにお願いします。お忙しいところすみません。

Posted by: | May 02, 2011 at 12:11 AM

桃園成功クラブからです。
貴方のイーメールを知らせください。

Posted by: 施 鴻 禧 | June 06, 2012 at 03:42 PM

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