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January 2013

第447話:CLプログラムをクラブ全体で起動する一方法

先日のディビジョンB役員研修会であがったクラブ運営の問題点の一つに「CLマニュアルがうまく活用されていない」というのがありました。


良く聞くクラブの悩みです。もちろん悩んでいないクラブ、すでにどんどんやっているクラブもたくさんあります。

私もCL誕生から昨年6月までクラブでどう使って良いかわからずにいましたが、昨年川崎TMCを訪問したこと、さらにFacebookのリーダーシップ勉強会でCLマニュアルを眺めたことでひらめくものがあり、現在はTokyo ESS Toastmasters ClubのVPEとして下記の方法で進めています。

ただこの方法は正直言ってVPEに負荷がかかるやり方です。しかしこの負荷はあるものを軌道に乗せるための初期エネルギーあるいは対価だと割り切ってやっています。

★Tokyo ESS Toastmasters Clubでのやり方

以下のやり方です。

① CLの進捗管理はすべてVPEが一元的にやる。メンバー任せにしない。
② 例会の前に何度も「例会にはCLマニュアルを持ってくるように」と連呼する。
③ 例会開始五分前に役割を持った人はCL論評者にCLマニュアルを渡します。

以上この三つを徹底的にやります。

★① CLの進捗管理はすべてVPEが一元的にやる。メンバー任せにしない。

最初にやることは、VPEは各メンバーのCLマニュアルの進捗を正確に把握することです。どのプロジェクトが終わってどのプロジェクトで何が残っているかの一覧表を作ります。国際本部でもチャートを売っていますが、正確に把握できるのであればそれはExcelでもGoogleスプレッドシートでもeasy-speak.orgでも何でもかまいません。

さて、現状把握ができたら、役割のアサインです。VPEは、役割を決めるときにその人のCLの進捗を見て、たとえば「あと一つでCL3が終了するからGrammarianをやって貰おう」のように役割を決めていきます。ただ、それはいつも思っているようにいくとは限りませんから、役割を見ながらプロジェクトに当て込んでいくこともやります。

同時にCLの論評者も事前に決定して発表します。CL論評者のアサインの仕方は現在試行錯誤中で、こんなこともやっています。

  • TMODのCL論評は、総合論評者に。
  • 総合論評のCL論評は、TMODに。
  • 個人論評者のCL論評は、スピーカーに(あるいは別の個人論評者に)
  • 以下割愛。

★② 例会の前に何度も「例会にはCLマニュアルを持ってくるように」と連呼する

例会にCLマニュアルを持ってこないと話になりませんので、とにかくもってこいと口が酸っぱくなるまで連呼します。

忘れた人には、次回必ず持ってきてね。と念を押します。

★③ 例会開始五分前に役割を持った人はCL論評者にCLマニュアルを渡します。

そしてこれが大事です。例会が始まってからバタバタしたくありませんので、VPEは例会開始五分前にCLマニュアルがCL論評者の手に渡ったかの確認をします。繰り返しになりますが、CL論評者は予めVPEが決めてあります。

昨年1月に川崎トーストマスターズに行ったときに彼らのプログラムの中にCLプログラムの交換という時間がわざわざもうけてあり感心しました。そこにヒントを得てのことです。

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さて、CLを進めるチャンスはクラブ例会だけではありません。VPEはクラブで予定されているイベントをメンバーがCLをすすめる機会だと目を光らせた方が良いと思います。

たとえば、クラブで、○周年記念パーティーをやるとき、クリスマス会、合宿をやるときもチャンスですから、そういう企画が決まったらCLプロジェクトのどこにクレジットするかも前もって考えます。

スピーチコンテストもそうです。クラブコンテスト、エリア、ディビジョン、ディストリクトコンテストもチャンスです。(HPLのチャンスでもあります)

VPEは、メンバーの進捗に目を光らせて早めにプランします。

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このやり方は、メンバーがCLプログラムが何たるものなのか理解していようがいまいが強制的に進めてしまうやり方です。それだけに賛否両論はあることは承知しています。

過去に、CLのプログラムをどう進めていいかわからないという声を聴きました。ワークショップもありましたしやりました。でも経験の少ないメンバーにとっては、説明よりも実際にやってみることで考える機会を持ってほしいと思っています。

クラブによっては積極的に取り組んでいるクラブもあるでしょうしCLプログラムの進め方を理解したメンバーはどんどん進めていっているでしょう。それで進めているのであれば、それで進めていくのが理想的です。

しかし、あまり利用が進んでいなければ、これ以上CLプログラムのワークショップをやるのではなく、VPEがちょっとがんばってCLマニュアルを読んで、上の①,②,③のプロセスで、ちょっと強制的ですが、プロジェクト5、あるいは最後までVPE主導で進めて、とにかくCLを達成させる。

今は割り切ってこう進めることにしています。CLもCCも何度達成しても構いません。Where leaders are madeとはいっても、多くの人はスピーチに魅力を感じてトーストマスターズに入会していると思います。そんな中でLeadershipへのフォーカスはスピーチに比べて弱くなってしまいます。そこでCLプログラムを動かそうとするわけですから何らかの仕掛けが必要になると思います。わからなくても良いからとにかく動かすというのが今回のこの記事の主旨です。

よくわからないけれどもVPEに言われるままにCLが達成できた。第一ラウンドはそれでもよいと思います。

CLを達成しても、クラブではEvaluator, Grammarian, GE,TMODなどの役はきますから、すかさず第二ラウンドが開始できます。その時こそ、CLマニュアルで語られているリーダーシップ論をしっかり読んで、身に付く進め方でやっていけばよいと思います。

もちろん第一ラウンドからCLのリーダーシップ論をしっかり読むのが理想的ですが、それで敷居の高さを感じるのであれば第一ラウンドは「とにかくやってみる」で、よいと思います!

このやり方で始めてから、CLの達成が見えてきたメンバーがいます。彼の意識も高まってきたように思います。彼には、今度は自分の経験を後輩たちに語ってくれることを期待しています

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第446話:スピーチ論評を考える。何を軸に論評するか?

論評で、「良かった点」「改善点」といいますよね。

この「良かった点」「改善点」って一体なんでしょうね?

スピーチを聞いていて「良かった〜」と思った点。あるいは「いまいち〜」と思った点。簡単にいえばそうですね。

しかし、トーストマスターズクラブでトーストマスターが論評をするときには、これだけでは物足りません。「何」に対して「良かった点」そして「改善点」なのかの軸を明確にして論評することが大切だと考えます。

実は、この「何」(=軸)はスピーチにも論評にもコンテストの審査にも非常に大事なのです。

私は、この「何」(=軸)の正体を「スピーカーの意図の達成度合い」だと考えます。「良かった点」「改善点」が「スピーカーの意図の達成度合い」を軸にしていると論評に一貫性が出てきて非常に役に立ち、そしてスピーカーがやる気の出るものになります。しかし、この軸のない論評をやると、論評が散漫になりスピーカーにとってあまりやる気アップに繋がらないものになってしまいます。

★「スピーカーの意図の達成度合い」って何??

クイズです。

「スピーチ」と「ひとりごと」の違いはなんでしょうか?

答えは、ご推察の通り「聴衆がいるか、いないか」です。

  • 聴衆を意識した「ひとりごと」はスピーチです。(子どもがよくやりますね。)
  • 聴衆を意識しない「スピーチ」は「ひとりごと」です。(大人がよくやりますね(笑)

この「スピーチは聴衆を意識する」ですが、つまりスピーカーが聴衆に対しての何らかの意図をもっているということですね。

さて、その意図とはざっくり言って

①伝えるため(Speaking to inform)
②楽しませるため(Speaking to entertain)
③行動を起こさせるため(Speaking to inspire)

の3つあります。

論評者の第一の仕事は、この意図は何かを考えることにあります。

 

注:よく「メッセージが何であるか考える。」といいますが、意図がそもそも①伝えるためだけ、あるいは②楽しませるためだけであれば、「(行動をおこさせるための)メッセージ」がないこともありますので、どんなスピーチに対しても「メッセージ」を求めるのはちょっと違うと私は思います。

さて、その意図にあたりが付いたら、論評者は「スピーカーの意図は、今回のスピーチでどれくらい達成されたのか?」を考えてまとめます。

  1. 伝えるため(Speaking to inform)であれば、その情報がよく理解できたか?なぜそう思ったのか?意図がぼやけてしまっところはなかったか?
  2. 楽しませるため(Speaking to entertain)であれば、大いに楽しめたか?楽しめないところはなかったか?
  3. 行動を起こさせるため(Speaking to inspire)であれば、スピーチを聞いて行動を起こす気になったか?あるいはそうは思わなかったか?

★それを踏まえた論評の構成

①自分が受け取ったスピーカーの意図をそのまま伝える。
②なぜそう思うにいたったかのうち貢献したものを伝える。
③意図の理解に貢献しなかったものはなにか?それを伝える。

ここでなぜ「①自分が受け取ったスピーカーの意図をそのまま伝える。」が大事なのでしょうか?

スピーチを終えた後のスピーカーの心理を考えてみましょう。自分の胸に手を当てて思い出してみてください。多くの場合「自分の意図(あるいはメッセージ)がきちんと伝わっただろうか?」というものではないでしょうか。

それゆえ、論評者は、自分はどのように意図を受け取ったのか?を冒頭で述べ、その理由を②と③に分けて述べる、③であればどうすればもっと効果的に伝わったのかをスピーカーに述べるという構成をとることで、スピーカーがスピーチの直後に最も知りたい事に対しての回答を与えることになると思います。

★ Evaluate to motivate : やる気を起こさせるための論評

ファンタジスタTMCで、論評ブートキャンプをやったときにこんなことがありました。ある論評者が、論評の冒頭であることを述べた瞬間にスピーカーは、「今、何をしたの?」と椅子から飛び上がらんばかりに驚いたのです。論評者は何をしたのでしょうか?この論評者は、「あなたのスピーチのメッセージは◯◯と受け止めました。」とスピーカーのメッセージをそのまま繰り返しただけなのです。

Evaluate to motivateというワークショップがありますが、この例でもお分かりのように、わざとらしく誇張して誉めなくても、受け止めたメッセージをそのまま伝えるだけでも、そしてそれがスピーカーの言わんとすることであれば、とても嬉しいということなのです。

繰り返しますが、人は自分の意図があいてに伝わったことがはっきりと分かれば嬉しいものだからです。

★「良い点」「改善点」という言葉が独り歩きしている危険性

論評の軸が「スピーカーの意図の達成度合い」あるとすれば、なぜそう思ったのか?どうすればもっとうまく達成できたのかの説明が②、③でくることは前で述べたとおりです。

さて、よく「良い点」「改善点」といいますが、私は現在この二つの言葉が軸を失って独り歩きしている例を数多く見ます。そして危険だな〜と危惧しています。

たとえば、「身振り・手振りがもっとあれば良かった。」ってよくいいますよね?本当でしょうか?本当に身振り手振りが必要だったのでしょうか? 

演台から離れてもっと聴衆の方に近づけばもっと良かった。本当でしょうか?そうすれば、本当に「スピーカーの意図の達成度合い」が高まったのでしょうか? 

論評者が、スピーカーの意図を汲み取らずに、単純に独り歩きしている「良い点」「改善点」という言葉にとらわれると、こんな論評になってしまいます。

「良い点」「改善点」という言葉を使うのであれば、それは「スピーカーの意図の達成する」のに、「貢献した(と思えるから良かった)点」そして「こうすればもっと貢献したんじゃないか(と思えるから改善)点」ではないでしょうか?

その軸を考えずに、単純に「良い点」「改善点」という言葉にとらわれて論評を展開すると、スピーカーは「はぁ、そうですか、そんなものかな?」で学びも低いと思うのです。

★ スピーカーの意図はどこに出るか?

さっきから、「スピーカーの意図、スピーカーの意図」と繰り返していますが、スピーカーの意図はいろいろなところにでます。だからよく観察することが大事です。

③行動を起こさせるため(Speaking to inspire)のスピーチの場合、

  • スピーチタイトルに出ることはすごく多いです。
  • オープニングのストーリー、名言の引用に意図がでます。
  • スピーチの中で展開されるメインのストーリー
  • スピーチ終結直前の結びの言葉、
  • もし心を揺さぶる部分があれば、そこ。
  • スピーカーがすごく力を入れて話している部分があればそこ。
  • 今まで目が空中を泳いでいたのに、ある部分しっかりと聴衆を眼力をこめて観る部分

などが考えられます。

★ 受け止めた意図からの分析

そうした情報を収集して、「この人の意図はなんだったんだろうな?私に何をしろと言ってるんだろうか?」と考えると、意図が浮かび上がってきます。それが強く伝わってくる場合は良いのですが、弱くてよくわからない場合、複数ある場合などわからない場合もあります。

どんな場合であっても、なぜ自分はそう思ったのか?それを分析していくと、「貢献した点」と「そうじゃない点」、あるいは「却って阻害している点」などが浮かび上がってきます。何が自分をそう思わせたのか?「そうじゃない点」や「却って阻害している点」に関してはどうすればよかったのかを考えるわけです。

弱くてよくわからない場合、複数ある場合はやはり混乱します。ですから、混乱した事実を素直に認めて、なぜ混乱したのかを分析して、伝えるのが論評者の役割と思います。

★★心配:スピーカーの意図と異なって受け止めることが心配???

心配することはありません。

スピーカーにとっていちばん大事なことは、自分の意図がどのように受け止められたのかを知ることですから。ですから、論評者は自分が受け止めたことを正直に伝えなければなりません。

ここで、スピーカーの心象を害してしまわないか?と不安になって、分かりもしないのに「とても良いスピーチでした。」というのは、スピーカーのことを考えているようで、結果的に考えていないことになります。

スピーカーは、自分の意図通りに聞き手が受け止めてくれたらそれは嬉しいです。しかし自分の意図と異なった受け止め方をされたら、それはなぜなんだろうか?というところから出発して自分のスピーチの改善をはじめます。

「論評はあくまで自分の個人的な意見」と言われますが、まさにこの部分です。あくまで自分の個人的な意見ですから、「私はこう受け取りました。」と伝えるのはトーストマスターズの論評では全く正しいのです。

★心配: 先輩に対して「スピーカーの意図を達成するのに貢献しなかった点の指摘、そして提案」だなんて。。。。そんな恐れ多いこと。。。

自分よりもずっと経験豊富なスピーカーの論評。恐れ多くてできない。そうでしょうか? 我々は、私たちよりもずっとステージ経験豊富な歌手や俳優のパフォーマンスを「あそこをもっとこう歌ってくれたらもっと良かったよね」って気軽にコメントしてないですかね?

「論評はあくまで自分の個人的な意見」ですから、「自分としてはもっとこうしてくれたらもっと気持ちよかった。」で一向にかまわないのです。

先輩も、後輩のためにおおらかに受け止めてあげましょう。

★心配: 英語ネイティブの論評が怖い。。。聞き取れないから申し訳ない。

そうでしょうか?スピーチが理解出来ないのは聞き手の責任でしょうか? 

日本にある日本人の多いトーストマスターズクラブという条件で話をすると、私は、スピーチが理解されないのは聞き手の責任ではなく、話し手の責任であると思います。もっと言えば話し手の「自分がどんな聴衆を相手に話をするのか」を分析する努力が足りなかったのです。

ですから英語ネイティブのスピーチを聞いて聞き取れなかったら、「もっとリスニングを勉強しよう」と思うのは素晴らしいのですが、あなたが論評者ならまずその英語ネイティブに対して、「この聞き手(自分)を相手にスピーチをするときはどんなことに気をつければよいのか?」を論評で述べることが大事です。

これを教えてあげないと、そのネイティブの方は「なんかよくわかんないけど、伝わったようだ。」と思って、日本という環境で英語で理解されるチャンスを一つ失うことになります。

リスニング力の低い自分のせいで、ネイティブの心象を害しては申し訳ない、と考えるのは、まぁ心優しいとも言えますが、同時に論評では相手の学びのチャンスも奪っている可能性についてちょっと考えてみてください。

蛇足ながら、英語を含む外国語をこれまでまったく学習したことがない人に論評をあてて、その人がわからなかった場合は、それは話し手の責任ではなく、そんな役割を決めた人にあることを申し添えておきます。

★ トーストマスターズのスピーチマニュアルの課題の目標(Objective)は軸にならないのか?

私は、軸にはならないと思います。軸はあくまで「スピーカーがそのスピーチで何をやりたかったかの意図」です。スピーチマニュアルの目的は、その達成のためのスキル、ヒントに過ぎないと思います。

だからといって、プロジェクトの要求項目を無視して良いことは絶対にありません。あくまで、自分の意図を実現するために、プロジェクトの要求項目に従って声に変化をつけてみる、身振り手振りを添えてみることは必要ですし、論評者はそこを配慮して論評することは必須です。

★ まとめ

論評する際の軸は、あくまで自分が受け止めたスピーカーの意図です。
その達成度合いを、「貢献した点」、「そうじゃない点」、あるいは「却って阻害している点」から評価する。

あくまで自分の個人的な意見として伝える。(聴衆を代表しない。代表できない)

脱線しますが、冒頭で述べましたように、これはスピーチコンテストの審査でも大事な観点です。この軸を持たずに審査すると、「ステージをよく歩きまわったからここは10点満点中9点」などの意味のない採点になります。そうではなく、「ステージをよく歩きまわったことでこのスピーカーの意図を非常によく達成されたので10点満点中9点」という採点であるべきです。私は、スピーカーの意図と無関係に各項目を独立させて採点することはやりません。意図との一貫性を考慮して採点します。

以上、論評する際の一つの観点としてご紹介いたしました。

あくまで私の個人的な意見です(笑)

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