第445話:コンテストルール考:「あらかじめ指定されたエリアを出た場合」のジャッジの採点

*** (下記記事は2010年4月8日に書いたものです。現時点では、「減点」ということでいうことで確認が取れております。) **

スピーチコンテストルールに関するクイズです。

もし、スピーカーが、「あらかじめ定められた場所」をでてスピーチをしたら採点はどうなるでしょうか?

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東の意見:それなりの採点をする。(減点ではない)==>胡散臭いと思った人は、ぜひ続きをお読み下さい。

===
本件、以前から議論がありましたし、チーフジャッジによっても意見がまちまちです。

①コンテストルールの観点

コンテストではルールが絶対基準です。ルールに書かれていること以外にローカルルールを作ることはできません。仮にあったとしても強制力はありません。

そのコンテストルールには、どのように書かれているでしょうか?

C. All contestants will speak from the same platform or area designated by the contest chairman. All contestants and judges will be advised of the speaking area before the contest begins.
The contestants are permitted to speak from any position within the designated area and are not limited to standing at the lectern/podium.
(東の訳:C. すべての出場者は同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこととする。スピーチをする場所の範囲に関する指示は、コンテストが開始される前に、すべての出場者およびすべての審査委員に周知のこととする。出場者は指示された範囲内の何処ででもスピーチを行うことができ、演台( Lectern/podium )の後ろに立たなくてもよい。)

ここに明確に「同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこと」と書かれています。

しかし、この範囲の場所を出たとして、それを減点、失格にする規定がないのですね。
たとえば、制限時間に関する規定は名確に、失格がうたわれている。

A.スピーチは5分から7分とし、4分30秒より短いかあるいは7分30秒より長いスピーチを行った出場者は 失格とする。

でも指定された場所を出たことに関する減点・失格に関する規定は、絶対に守らなければならないコンテストルールには何も書かれていません。

「8.異議申し立ておよび失格」にも何も書かれていないのですよ。

② なぜ「同一の演壇、またはコンテスト委員長により指示された範囲の場所でスピーチを行うこととする」のか?

ここについて書かれたものを探したのですが、見つけることは出来ませんでした。

ちょっとケーススタディです。

事例1:たとえば、スピーチコンテストで、てくのかわさきのように、会場のフロアから30センチくらい高くなっているステージで、落ちてしまった。

私がジャッジだったら、落ちたからといって減点はしないと思います。採点の中で、重視するのはその人のメッセージはなんだったか、それが効果的だったかを唯一の判断基準とします。効果的というのは、メッセージを伝えるために、スピーチの内容、構成、身振り、手振り、言語が効果的だったかという意味です。もし、ステージから落ちたことで、それが損なわれたら、減点ではなく、それなりの採点をするのみです。

事例2:つぎに、大学の階段教室のようになっている会場で、(つまり、ジャッジや聴衆が、スピーカーを上から見下ろす会場)、決められたエリアを2メートル出た。

私が、ジャッジだったらやはり事例1と同じで、それなりの採点をします。まず2メートル出たとしても、階段教室ですので、スピーカーのプレゼンテーションは何の妨げもなく、見ることも聞くこともできます。私の審査にはなんの影響も及ぼしません。ただ2メートルでたことで私の採点が妨げられたらそれなりの採点をするのみです。

事例3:「あらかじめ定められた場所」がその会場内全域だったとする。ところがあるスピーカーは演出のために、ドアを明けて会場の外にでていき、また戻ってきた。

今回は、事例1,2とは異なります。スピーカーが外に出ていっている間のプレゼンを私は眼にすることはできませんので、その部分の採点は不可能です。ですから、そこを考慮した、それなりの採点となります。繰り返しますが、減点、失格にはしません。

では、この場合審査基準のどの部分(内容、話し方、言語のどれ?)で「それなりの採点」をするのでしょうか?

私は、全項目である「内容、話し方、言語」になるとおもいます。理由は、ジャッジがコンテスタントを見失うと全項目でそれなりの採点をせざるをえなくなるからです。

===
ここまでお読みになって、まだ信じられない方もいらっしゃると思います。何よりも、これは私の個人的な見解ですから当然です。

そんなあなたのために親切な私は「Speech Contest Judge Training Program(1190)」を確認してみました。

Presenter's Script33ページにこうあります。

For example, the rules state that all contestants will speak from the same platform or area designated by the contest chairman with prior knowledge of all the judges and contestants. If a contestant steps out of the designated speaking area, the judges cannot disqualify him or her for the rule violation. However, judges may take this rule violation into consideration when completing their judges guide and ballot and award lower marks for that contestant.

ポイントは、
審査員は、指定エリアを出たスピーカーを失格にはできない。しかし、審査員は採点する際に低い点数をつけても良い。

ってことです。

でも、これは私が言っているのと同じことなのですよ。「減点」とは言っていません。(ただ、ここではrule violationって言葉を使っていますので減点のニュアンスが発生しています。)

くどいようですが、award lower marksって言い換えれば、「それなりの点数」をつけるってことです。
しかし、やはりこの部分は、正直混乱を招いているポイントですよね。
  • コンテストルールには、「The contestants are permitted to speak from any position within the designated area and are not limited to standing at the lectern/podium.」と、ある。
  • しかしコンテストルールや審査基準(Judging Criteria)には、失格・減点に関する規定がない。
  • それでいてSpeech Contest Judge Training Program(1190)には、「If a contestant steps out of the designated speaking area, the judges cannot disqualify him or her for the rule violation. However, judges may take this rule violation into consideration when completing their judges guide and ballot and award lower marks for that contestant.」なんて書いています。
  • となると、結局各コンテストのチーフジャッジにゆだねられます。

この状態はあまり良いとは思えないですね。

参考:Speech Contest Rules 2010

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第442話:「スピーチコンテスト審査の考え方」ワークショップ(ディビジョンB役員研修(日本語):2月28日(日)川崎)

エリア24ガバナーの伊奈さんからの依頼を受け、「スピーチコンテスト審査の考え方」ワークショップの講師を務めました。

今回のワークショップは、ディストリクト公認のジャッジトレーニングではなく、審査の「考え方」にフォーカスしたものです。ディビジョンBの日本語クラブの役員さんたちを対象に行いました。

★本ワークショップの目的
①審査員の仕事が「一言」で言えるようになる。
②スピーチコンテストの審査員の仕事を実際に体験していただく。
③審査のポイントを体得していただく。
④審査基準について理解する。
⑤審査委員倫理規定について理解する。
⑥国際スピーチスコンテスト審査用紙および同点決着審査用紙の使い方を理解する。

★当日の流れ
①スピーチコンテストジャッジブリーフィング(20分)
②モデルスピーチ(8分)
③採点 (2分)
④解説 (45分)

★スピーチコンテストジャッジブリーフィング(20分)

参加者の皆さんをジャッジに見立て、また私がチーフジャッジとなって、ジャッジブリーフィングを行いました。

私がいつもジャッジブリーフィングで力を入れるのは、倫理規定です。

通り一遍の解説ではなく、客観的に審査するとはどういうことか、時間を考慮しないとはどういうことか、審査結果の公表はどのように行い何をやってはいけないか?について、お話させていただきました。

ジャッジである以上倫理規定は非常に重要です。審査基準の倫理規定はそのまま読めば「なるほどね。」で終わるのですが、いくつか注意しなければならない点があります。その部分をフォーカスして説明しました。

たとえば、

  • いつも良いスピーチをするMさんが、今日のコンテストではいまいち不振だった。でも、きっと上のレベルのコンテストでは実力を発揮してくれるから良い点を入れる。
  • Yさんは、何度もコンテストに優勝しているから、今回はあまり上のレベルのコンテストを経験したことのないPさんにチャンスを上げよう。Pさんに良い点をつける。
  • 「審査委員はコンテスト出場者のスピーチの時間を測定しない。審査を行なう際にスピーチが時間不足あるいは時間超過となり得る可能性を考慮しない。」というが、たとえば、コンテスタントが70分話した場合どうするのか?

というケースを交えて考えて頂きました。

次に審査基準です。内容、話し方、言語について、実例を交えながら、そしてスピーチ作りの観点でお話をいたしました。

構成、効果、価値と言われても、やはり実例が入らないとなかなか分かりにくいと考えての説明です。同様に話し方、言語についての実例を交えての説明です。

ここで注目したのは、「そのスピーチのメッセージは何か」を考えて審査するということです。スピーチの構成、効果、価値、身振り、声、態度、言語の適切性と正確性は、すべて「そのスピーチのメッセージを伝えるためにある。」ということです。その観点から説き起こしました。

以上、基準を説明したのち、審査用紙の使い方の説明です。スピーチコンテストでは、最初のスピーカーにつけた点数が、どうしてもその後のスピーカーの点数を基準となります。しかし、それでは倫理規定にある、客観性を必ずしも保証できない。そこで、昨年5月のディストリクト春季大会で国際理事のモハメドさんが行ったジャッジトレーニングで学んだ用紙の使い方を紹介しました。

さらに、仮に8人のスピーカー全員を採点した結果、全員が同点だった場合どうするか?という点から、再度ジャッジの仕事とは何かについて説き起こしました。

★モデルスピーチ(8分)
以上の説明を終えた後、いよいよコンテストよろしく、実際にスピーチを聞いて皆さんに採点していただきます。スピーカーは立川トーストマスターズクラブの松崎さん。

★採点 (2分)と解説 (45分)

スピーチ終了後、2分間の審査時間を経て、まず参加者の審査用紙を回収しました。

皆さんがそれぞれの項目に何点をつけたのか、読み上げていきます。もちろん採点者は匿名です。ここで、人によっていろいろな点数をつけていることがわかります。ある項目に満点をつけている人もいれば、半分の点数という方もいます。

ジャッジは、通常自分の採点を他の人と共有することはないため、今回のように実際の採点結果を匿名で共有することで、どのように点数をつければよいかの目安となったと思います。

自分の採点、他人の採点がわかったところで、再度松崎さんのスピーチと審査基準を照らし合わせながら、ジャッジの観点でどのように聴いて、分析して、採点するのかについて、話をしていきます。

審査基準に書かれていることをどう理解して、採点につなげていくかの解説です。

★質疑応答:覚えている限り列挙してみます。
以上、説き起こした後で、Q&Aタイムです。私はQ&Aタイムが大好きです。

① 東にとっての満点のスピーチとはどんな基準か?

とくに基準はなくその時その時でつけていく。ただし、あまりにも素晴らしくあらゆる点で突き抜けているスピーチが出た場合は、正常にジャッジできないことがあるかもしれない。

② 文法的におかしなところが仮に二つあったとして、どうやってそれを10点満点の採点に反映していくか?

スピーチ全体の中から、そのミスはどれくらいなのかを考えて採点する。

③ すべての採点が終わって見直したときに、仮に第一スピーカーが89点で、第二スピーカーが85点だった。しかし今にして思えば、第二スピーカーのほうが良かったように思う。修正してよいか?

あくまで東自身の個人的な経験と考えだが、修正はしない。自分が採点した時の印象と自分自身を信じる。(少々自信がなかったので、ワークショップにいた、オンビーさんに意見を求めましたが、彼も同意見でした。)

④ たとえばある人のスピーチの最中、室内の温度が異常に高く、正常に審査するのが困難だったが、その後冷房が入り快適に審査ができた。人間なので暑いときの心理状態がそのままコンテスト結果に反映されそうだが、、、

がんばって、客観的に審査をしてください・

⑤ スピーチって、後からじわじわと効いてくるスピーチがあるので、コンテストの中での短時間で採点するのはとても難しい。そのときいいと思ったスピーチがあとから考えるとそれほどでもなく、そのときは何とも思わなかったスピーチがあとから素晴らしいと思えてくる場合がある。

それはとてもよくあることだが、やはりこれはコンテスト。そういうセットアップの中で、ルールに従って採点、審査する以上、そういう懸念は排除して、今目の前に行われているスピーチに集中して審査、採点すればよいと思う。

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以上、今回のワークショップは参加者の皆さんが実践的に使えるようなワークショップとして作ってみました。

伊奈さんのもくろみとして、審査基準を通してよいスピーチについての考えも深めることができるようなワークショップとしてほしいとのことでしたので、スピーチの構成、効果、価値、身振り、声、態度、言語の適切性と正確性は、すべて「そのスピーチのメッセージを伝えるためにある。」という観点も強調しました。

出席者の皆さんにとって、スピーチ審査でも、スピーチ作りでもともに役に立つものであったことを祈ります。また私自身、この機会を通してスピーチ審査について、またスピーチ作りについても考えを深めるきっかけとなりました。

最後に、私自身のワークショップ講師としての目標は次のとおりでした。

  1. ワークショップそのものの目的を達成する。(ほとんど達成できた。①審査員の仕事が「一言」で言えるようになる。について最後にもう一度強調すべきだった。)
  2. 65分間に笑いをどんどん入れる。(これはよくできた)
  3. 参加者を巻き込む。(かなりできたと思う。)

ファンタジスタで培ったファシリテーションのスキルのおかげです。

機会を与えてくれた伊奈さんと熱心に参加して下さった皆さんに感謝です。

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第427話:2010年のInternational Speech Contest

TOASTMASTERマガジンの11月号の11ページを読むまで、2010年のコンテストについて私は勘違いをしていました。

2010年からのスピーチコンテストは

クラブコンテスト

エリアコンテスト

ディビジョンコンテスト

ディストリクトコンテスト

と、ここまでは変更はありません。この後が違います。

セミファイナルコンテスト(8月の世界大会の一部として)

ファイナルコンテスト

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私の勘違いは、セミファイナルではなくリージョナルコンテストだと思い違いをしていた点です。

誤:14のリージョナルコンテストが、8月の世界大会の一部として行われる。リージョン13に所属するD76(日本)のディスリクトチャンピオンは、同じリージョンのD67(台湾)、D82(インドとスリランカ)、D85(中国、香港、マカオ)のチャンピオンたちと競う。(コンテスタントは4人)

正:9つのセミファイナルコンテストが、8月の世界大会の一部として行われる。各ディストリクトチャンピオンは、くじ引きによりどのセミファイナルに出場するかが決まる。(Each district will be assigned by random draw to one of nine semifinal contests to be held in August 2010.)

==

Founders Districtから、D86までの87人のチャンピオンたちがくじ引きをして、自分が出場するセミファイナルを決めるわけです。一つのコンテストに約10人のコンテスタントが出場するのですね。木曜日はさぞかしExcitingな夜になることでしょう。

ついでに、http://toastmasters.org/future にある、Speech Contestsには下記のようにあります。

The semifinal speech contests will be held on the Thursday evening of the Convention. The winners will move on to participate in the International Speech Contest Final on Saturday. In addition, beginning with the 2009-2010 contest year, contestants no longer are required to present entirely new speeches until the final round. The speech given in the speech contest final may not have been given in any other International contest since January 1 of the contest year.

Travel (airfare or mileage) for all those participating at the semifinal level will be paid by Toastmasters International.

セミファイナルスピーチコンテストは、世界大会の木曜日の夕方に行われる。勝者は土曜日に行われるインターナショナルスピーチコンテスト決勝に進む。また、2009-2010のコンテスト年度から、コンテスタントは、決勝の前(訳注:つまりセミファイナルまで)全く新しいスピーチをする必要はない。決勝では、そのコンテスト年度の1月以降のいずれかのコンテストで行ったスピーチをしてはならない。

セミファイナルに出場するコンテスタントの交通費(飛行機代)は国際本部が支給する。

つまり極端な話、クラブコンテストからセミファイナルまでの5回のコンテストをずっと同じスピーチで通してよいということです。ただ、決勝だけは別のスピーチにしなければなりません。

コンテスタントの交通費としての飛行機代(最も安いエコノミーです。コンテスタント用の交通費申請用紙にそう書かれています。)の支給は、2007年から始まりました。私がD76でその恩恵を最初に受けたコンテスタントです。(それ以前に出場された、ちかちゃんと藤山さんは大変だったと思います。)

2008年のカルガリで、世界大会の最終日の前日に交通費の申請をしに、世界大会会場内に設置されているToastmasters Internationalの事務所に行くと、まず、「成田エクスプレス往復と、カルガリの空港から会場までのタクシー代は出ません。」と言われ、「現金が無いから振込みになる。あなた、来るのが遅いわよ。」と笑われる、という恥ずかしい一コマも、今では懐かしい思い出です。

もうすこし暴露すると、2007年の世界大会で某アジアのディストリクトチャンピオンが、彼のディストリクトガバナーと一緒に私のところへやってきて、私に「東は交通費の清算したか?」とやはり最終日の前日に聞いてきたので、「え、今頃?早くToastmasters Internationalの事務所でやったほうがいいよ。」と教えてあげ、親切な私は彼をその事務所まで連れて行って上げました。ラッキーなことに彼はその場で、現金で払い戻しを受けていました。その故事があったゆえ、カルガリでは私ものんびりしてしまいましたとさ。さらに懐かしい思い出です。

===

コンテストに出場しないといっておきながら、やたら来年のコンテストに興味のある私でした。でも、来年は出場はしません。

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第424話:2010年のスピーチコンテストに挑戦される皆様へ

これまでの習慣だと思うのですが、いつもスピーチのネタのことを考えています。今朝も出勤途上で先日やまのてクラブでやったネタを考えていました。納豆ネタです。

これを別のテーマと一緒にやると一貫性のあるスピーチとなりそうです。考えていてパズルのピースがピタッとはまったときに、条件反射的に「コンテストに出せるかな?」と考えてしまいます。

クラブコンテスト、エリアコンテスト、ディビジョンコンテスト、ディストリクトコンテストと考えて、あ、来年からインターディストリクトの代わりにリージョナルコンテストで、ディストリクトと同じネタが出来るんだ。でもこの納豆ネタはリージョナルの舞台では無理だな。なんて膨らむ一方の妄想でしたが、「来年はコンテストに出ないんだった。」と思い出し、この妄想の風船はぱちんとはじけてなくなりました。われに返るとすがすがしく晴れ上がった冬の神奈川の青空。

来年出場する方は、さまざまなオプションがあります。

クラブコンテストでやったネタをエリア、ディビジョン、ディストリクトと磨きこんで、リージョナルコンテストまで持っていくやり方。ただ、ディストリクトに勝ったら、リージョナルに勝った次のことも考えてファイナルでやるスピーチも作らないといけないです。

一つのネタをずーっとやっていくと、途中で飽きてきます。だから、各コンテストでもらったフィードバックを次のコンテストに向けて反映させるときのヒントにして、メインメッセージ以外はどんどん変えていったほうが良いです。

改善に終わりはありません。

スピーチを磨きこむということは、自分を根っこから見つめなおすことですから、しんどい作業です。しかし、掘れば掘るほど見えてくるものがある。

クラブで仲間の前で発表した際に、入会したばかりのメンバーの何気ないフィードバックに、正直「経験もスキルも無いあなたに何がわかるのか!」と心の中で(これが大事)ムッとしながらも、いつまでもその言葉が気になり、結果としてスピーチがさらに鋭く深いものになるってこともある。(あった)

練習している最中に現実の生活の中で、自分がスピーチで言いたいことと反対のことをしている自分に気がついてその矛盾に苦しむこともある。そういうときに、「お前は、自分の気持ちを偽ってまで勝ちたいのか?」という声が自分の中から沸いてくる。

そうやって挑む勝負には、勝つことはあっても、「負け」はありません。たんに「勝てなかった」だけの話です。「勝てない」と「負け」は違います。勝負をあきらめないうちは「負け」ではありません。

今年の前半は、自分のスピーチコンテストでいろいろなことを考えていました。後半は、上智大学学長杯から始まって、創価大学池田杯、早稲田大学大隈杯、KEUL主催Golden Cup, 東京大学杯とさまざまなコンテストを見てきてさらにたくさんのスピーカーたちと会ってきました。スピーチを作るというプロセスを通して一つのことを見つめなおして考え抜いて、そのプロセスを経てきた人たちばかりです。

勝負、挑戦することをとおして、人は謙虚になる。

より高い目標に向って挑戦し続けるということは本当にすばらしいことだと思います。

今日の神奈川県の空はまぶしく青い、すばらしい快晴です。

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第423話:東京大学杯スピーチコンテスト(12月20日)

東京大学杯スピーチコンテストを参観してまいりました。

昨年まで安田講堂杯と呼ばれていたこのコンテストですが、今年から東京大学杯と名前が変わりました。しかし開催場所はこれまでと同じ本郷にある安田講堂。

私は、今年は出場はしませんでしたが、昨年度優勝者として、オープニングセレモニーの中での「優勝者コメント」と「トロフィーの返還」という役割をいただきましたので、そちらを務めさせていただくべく会場へ向いました。

12時前に東大正門から銀杏並木を抜けて安田講堂へ向いますが、イチョウの葉がすっかり落ちてしまい冬本番という雰囲気でした。

さて、「優勝者コメント」と「トロフィーの返還」ですが、リハーサルしたにもかかわらず、ついつい本番で乗ってしまい、「優勝者コメント」を終えたら勢いでステージを降りてしまいましたが、本来の手順ではステージにそのまま残ってトロフィーを東大ESS部長さんに返還するという手順でしたので、再びステージに戻りました。(ごめんね、東大の皆さん)

さて、スピーチを10本聞いた感想です。

今年参加した4つのESSの大会で聞いたいわゆる「ESS流のスピーチ」と若干趣を異にしたスピーチばかりだったように思います。

高校生二人のスピーチは、Q&Aにも物怖じしない堂々たるものでした。もちろん高校生なりの見識でしたが、それでも彼女たちなりの筋の通った見識でした。

日中戦争中の日本軍による中国での「虐殺」をテーマにしたスピーチがありました。私はこの部分の歴史については別の見方があることも理解していますので、こうした一方的な見方には賛同はしませんが、それでもこのスピーチを聞きながら、こうした意見が発表される中、聴衆からヤジも飛ばず、Q&Aでもスピーカーを非難する質問も無かったことを見ながら、「言論の自由」が保障された国のありがたさを思いました。もちろん、スピーカーが高校生で、中国で生まれ日本で育ち、二つのアイデンティティにはさまれていた彼女のことを思えば、彼女がそんなスピーチをしたとしても、簡単にはヤジは飛ばさないでしょうけど。しかし群集心理というものはちょっとしたことで極端なところに行きます。本日の聞き手はバランスが取れていたと思いたいです。

社会人のスピーチも今年はとても良かったと思いました。

Q&Aを担当するクエスチョナーさんは、カナダ人の弁護士さんで、質問がとても深かったです。教養がにじみ出た質問をいくつもされていました。また会場からの一般質問では、昨年までジャッジを務められていた元スイス大使の方が積極的に質問をされていて、それぞれのスピーチがさらに深く掘り下げられたように思います。スピーカーの中には、こうした質問に対してもある人はしなやかに、ある人は鋼のようなロジックで切り返し、またある人は詰まってしまったり、スリル満点でした。

全体的にソリューションの提示、あるいはメッセージの明示がややナイーブだった、あるいは弱かったように思いました。私としては、「今日は皆さんに○○を知ってほしい。」というメッセージは弱いと思うのです。そうではなく、聞いたこの瞬間から行動を起こしたくなる。そんなスピーチが強いと思うのです。これは何もトーストマスターズのスピーチの特権ではなく、今年観戦した4つのESSのスピーチコンテストで聞いた44本のスピーチの中にも確かにいくつかありました。

ステージを縦横に使ったスピーチは10本中3本だったように思います。どちらかというとレクターンを中心とした動きで、昨年の、私とアン佐渡さんというトーストマスターズコンビがやったような、ステージをひろく使うという方はいらっしゃいませんでした。

「この人、トーストマスターズに入ってくれないかな?世界大会を狙える実力がありそうだな。」という人が4人もいましたので、あとからこっそりコンタクトすることにします。(このブログに書けばもはやこっそりではないけど)

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さて、以前から聞いてはいましたが、この日のジャッジの中の一人は、CBさんでした。

また会場には、ファンタジスタTMCの小野君と、渡辺さんもいて、結果としてなんとファンタジスタのメンバーが4人もこのコンテストに来ていたことになり、面白いと思いました。

私は所用のため残念ながら結果を聞かずに帰宅しました。

後から順位を聞いたところ、1位は私の予想通りで、2位、3位は別の人でしたが納得できました。

さて、ちょっと関係の無い話なのですが、安田講堂の地下にはなんと大学の生協が運営する食堂がありまして、これがかなり広くいい感じなのですね。どう見ても近所の住民という感じの方も食べに来ていらっしゃいました。

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第419話:KUEL主催Golden Cup (2009/12/6)

関東の大学のESS連盟が主催するGolden Cupスピーチコンテストで、クエスチョナー(質問係)を勤めてまいりました。場所は、11月7日に引き続き創価大学。

Golden Cupは簡単に言うとESSの一年生大会。新人戦の全国大会決勝です。

全国から69人の応募があり、11月14日に上智大学で行われた予選を勝ち抜いた10人のファイナリストたちによるコンテストです。

当日までの準備のプロセスでいろいろと面白い発見をしました。

★発見1:ESSスピーチのパターン

①オープニングのストーリー
②「自分は何を話したいか?」という短く明確なステートメント(Today, I am standing here to tell you xxxx.)
③問題提起(必ず事実の裏づけが入る)
④ソリューションの提示(必ず事実の裏づけが入る)
⑤クロージング

一見PREPのようですが、冒頭でPointが明確に提示される例は、昨年12月の安田講堂杯以降見てきた、3つのスピーチコンテスト(Sophia Cup(上智大学)、池田杯(創価大学)、大隈杯(早稲田大学))をあわせても、あまりありませんでした。ですから、「言いたいこと」を早く聞きたいと思っても待つ必要はあります。

今回のスピーチコンテストは一年生大会ですから、コンテスタントたちは先輩から教わったパターンを忠実に踏まえていました。

さて、ESSパターンの大事なことを最後に言う。料理で言えばいわばコース料理の最後にいちばんよいものが出てくる。というパターンは理解できます。

ただ、社会に出ると、結論を真っ先に言わなければならない、結論を真っ先に言うことを求められることが多く、このESSパターンでのパブリックスピーキングの練習が何を目的としているかは、実は私も良くわかっておりません。

ESSの皆さんは、非常に勉強熱心で、何人ものESSメンバーがブログなどに自分の考えを発表しています。いつか、この辺を彼ら、彼女たちと話が出来たらと思います。

★ 発見2:良いスピーチは原稿が良い(再確認)

11月28日の大隈杯のときもそうでしたが、1週間前にいただいた原稿を読んでいて「あ、この人は優勝するな。」と思った人が今回も勝ちました。
今回の優勝者の方のスピーチ原稿も、メッセージが原稿のあちこちからビンビン飛んできます。こういうスピーチは、たとえデリバリーが弱くても、結局は強い。やはりスピーチですから、言葉がすべてです。その言葉が原稿になっているのであればが原稿がすべてです。そこにメッセージをきっちりサポートするデリバリーが加われば最強のスピーチになると思います。

★ 発見3:ジャッジとの面接は良い学びの仕掛けである

これまで参加したコンテストではすべて終了後に、ジャッジとスピーカーが一対一で面接する場がありました。コンテストが終わってすぐに自分のスピーチに対するフィードバックをもらえる場、あるいはジャッジ・クエスチョナーに質問が出来る場です。今回のGolden Cupは3人のジャッジと1人のクエスチョナーがいましたから、コンテスタントは4回フィードバックが聞けるし、質問もできます。

今回のスピーチを次回のコンテストでやる人は、後ろにクラブの仲間がずらっと並んで、ジャッジのフィードバックを一言も漏らさないようにいっせいにメモを取ります。

トーストマスターズは、ジャッジがだれかは非公表ですので、こうした場がもてないのですが、有効性はあると思いました。

もうひとつ、今回のGolden Cupでは時間管理を一手に引き受けている人がいて、彼女が残り時間、終了の合図をいっせいに送っていましたので、非常にスムーズでした。

★ 発見4:パワーポイントの有効利用

今回は、会の進行にパワーポイントをとてもうまく使っていました。プログラムのどの部分をやっているかを会場のスクリーンに映し出しますので、聴衆の意識と進行のずれが生まれません。今年のD76秋季大会もパワーポイントをうまく使っていましたが、やはりこうした大きなイベントの進行にはパワーポイントは欠かせなくなってきていると思いました。

★ 発見5:トーストマスターズの知名度は低い(涙)

ESSのメンバーは、早い学校では2年生の12月ころにESSを引退、3年生が終わると引退という早いサイクルで世代交代しています。引退すると、余生はいろいろなのでしょうけれども、スピーチから離れてしまう人も多いそうです。

もったいない! あれだけ、熱くスピーチを語り、練習し、あるいはスピーチコンテストの企画、運営に携わり、一つのイベントをやり遂げて、感動の涙を流す若者たち。
彼ら、そして彼女たちが情熱をかけたスピーチを大学卒業と同時にやめてしまうのは、ある意味、国家的な損失です。ステージでスポットライトを浴びながら現代社会の問題点と鋭くえぐりだし、それに対するソリューションを縦横無尽に語った優秀なスピーカーが引き続きトレーニングを積まないのは、国益から考えても非常にもったいないです。

私は、2007&2008のD76チャンピオンのタイトルを使って、自分のトーストマスター名刺を持って、ESSの皆さんにトーストマスターズをアピールしております。「引退したら、卒業したら、ぜひトーストマスターズにおいで。そこでまたスピーチの技量を磨いてください。」とリクルーティングしております。

経緯はわかりませんが、Tokyo Universities Toastmasters Clubという東京の大学(東大に限定しない)の学生が集まるトーストマスターズクラブも結成されました。

しかし、まだまだトーストマスターズの知名度は低い、あるいは無いに等しいです。日本で55年もトーストマスターズクラブが活動しているのにです。

がんばります。そしてがんばりましょう!

★ 発見5:感謝の心・Recognition

Non Profitな組織では感謝の心がすごく大事です。今回も、コンテストの最後に短いビデオが流れ、そこに69人の全コンテスタント、実行委員の名前が流れ謝意がきっちりと表明されていいました。

さて、今回のGolden Cupのクエスチョナーのお仕事で今年度のESSコンテストのジャッジ、クエスチョナーとしての「社会貢献」は終わりました。

今回のクエスチョナーの機会を下さった、上智大学ESSの森さんに感謝したいとおもいます。そして、ジャッジケアの結城さん、横山さんにも感謝の気持ちです。

また、すっかり挨拶が遅れましたが、2009年は

早稲田大学ESSの天野さん、
創価大学ESSの岩本君、
上智大学ESSの高木さん、

が、私の貢献の場を作ってくださいました。そのことに感謝の気持ちをあらわしたいと思います。

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第418話:東大安田講堂へ行こう!(12月20日(日)東京大学杯スピーチコンテスト)

12月20日(日)に、東京本郷にある東京大学安田講堂で第4回東京大学杯争奪スピーチコンテストが行われます。

今年は、私は出場しませんが、参観の予定です。トーストマスターズの皆さん、一緒に参観しませんか?

お勧め理由1:高校生から社会人まで10名のスピーカーが同じステージで競う
大学ESS主催のコンテストで、大学生以外のスピーカーが参加するコンテストは珍しいということです。この10名は、51名の応募者の中から予選プロセスを通過して選ばれています。楽しみです。

お勧め理由2:トーストマスターズ以外のスピーチの世界を知ることができる
トーストマスターズのスピーチになれた人にとって、ESS系のスピーチはまったく異質なものに聞こえると思います。
ステージの上のレクターンの後ろに立ったままそれほどのジェスチャーも、Vocal Varietyもなく、そこでスピーチをします。トーストマスターズのEvaluatorならば、すぐに「もっと動きがほしい。」「もっとアイコンタクトを。」「もっと声の抑揚を。」と言いたくなることでしょう。
私もそうでした。

しかし、先日の早稲田大学の大隈杯スピーチコンテストでこれまでのスピーチに対する見方が変わるような経験をしました。

あるコンテスタントのスピーチ原稿を事前に読んでいて、行間から強烈なメッセージがびしびしと伝わってくる経験。原稿を読みながら、早くこの人のスピーチをライブで聞きたい、見たい。そんな気持ちになりました。同じ経験があります。今年の5月のD76日本語で優勝したCBのスピーチを初めて携帯電話を通して聞かせてもらったときも、メッセージがびしびしと伝わってきました。

本当によいスピーチは、たぶんBody Movement, Hand Gesture, Vocal Varietyがなくても、あるいは最小限でもメッセージがびしびしと伝わってくるのではないか?

トーストマスターズか離れて、違う世界のスピーチを聞いてみると、見てみると、思わぬ発見があります。

先ほどの大隈杯のすばらしい原稿を書いた方は、見事大隈杯に輝き(つまり優勝され)ました。

お勧め理由3:安田講堂に入れる
東京大学といえば、安田講堂。60年代の安保闘争で安田講堂に立てこもった学生に対して、機動隊が放水で排除しようとした有名な映像を記憶していらっしゃる方も多いでしょう。1925年に竣工したこの講堂は普段はなかなか入ることはできませんが、今回の東大杯では大講堂に入ることができます。アールデコ調の室内装飾はとても美しいです。

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日時:12月20日(日)

  • 12時30分会場
  • 13時開会
  • 18時10分閉会

場所:東京大学本郷キャンパス安田講堂

入場無料、事前申し込み不要

大会Webサイトはこちら

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第415話:ある「再会」(第36回大隈重信杯争奪全日本学生英語弁論大会(早稲田大学)にて)

11月28日(土)、早稲田大学大隈講堂で開催された大隈杯スピーチコンテストにジャッジとして参加いたしました。

大学のESSでスピーチをされる学生さんたちは、その技量をあげるためにできるだけたくさんのコンテストに参加されるようです。関東学生英語会連盟(KEUL)の情報によると今年は54のオープン大会(大学ESS, 地方自治体、香港行政庁などが主催)があるそうです。

昨日の10人のコンテスタントの顔ぶれをみても、私がジャッジ、クエスチョナーをやった過去2回のコンテストに出場していた方が3人もいました。

実は、今回のコンテストを楽しみにしていたのは、ある特別な理由がありました。ジャッジとしての打診を受けてしばらくして他のジャッジのお名前を送っていただきましたが、その中に「東後勝明」というお名前を見つけました。

「お父さんに内緒でこっそり英語を勉強してびっくりさせてやろ。」

私が10歳のとき、鹿児島に住んでいた時に母が笑いながらこう言いました。そこで18時30分からのNHKラジオの基礎英語を聞き始めました。基礎英語は15分番組で、そのあとが英語会話、そのときの講師が東後勝明先生だったのです。

軽い音楽にあわせてHello everybody, my name is Katsuaki Togo.というオープニング。イントネーションという言葉も10歳の私には耳新しく、その説明をダーダダダダー(ジャズスキャット風に。アントニオ猪木風ではない。)と説明してくれた時の声も今でもはっきりと脳裏によみがえります。とにかくかっこよかったのです。

早稲田ESSの方からメールを貰ってから東後先生とお会いするのが本当に楽しみで、何を話そう、何をお聞きしようとばかり思っていました。

そして、昨日。大隈講堂のジャッジ控室(貴賓室と書かれていましたので、背筋を伸ばして緊張して過ごしました)で他の外国人ジャッジの方々と話していると、東後先生が入ってこられました。

もちろん、あれから40年近い月日が流れていますから、先生も(もちろん私も)歳月の分だけ変わっていますが、お声を聞いてあのラジオの声が蘇りました。

私が、「10歳のときに先生の番組を聞いていました。」とお伝えしたら、「はい、うかがってますよ。」とにこやかにお返事下さいました。早稲田のESSの方にメールで伝えた話を、転送してくれていたのですね。(ありがとう)

東後先生も早稲田の、しかもESSのご出身だそうです。ロンドン大学に留学されていた時のお話、15年続けたラジオ英会話のお話、そして現在。

私が、びっくりしたのは、早稲田大学ESS時代に先輩に連れられて訪問した山王ホテルで行われていたトーストマスターズ例会のお話。Table Topicsセッションをご覧になってびっくりして「これは、怖い!」と思われて二度と戻る事はなかったそうです。東後先生程の方でも学生時代初めて参加されたTable Topics Sessionは怖かったのかと思いました。

山王ホテルと聞き、また60年代のクラブということで、東京トーストマスターズクラブの50年誌を引っ張り出してみたのですが、60年代の記録だけありま せん。ただ1973年に第一回全日本スピーチコンテストを山王ホテルでやった記録がありますので、東後先生が参加された例会が東京トーストマスターズクラ ブだった可能性は高いです。(山王ホテルは、226事件の際の決起部隊の指揮本部がおかれたところで、戦後米軍に接収され米軍専用の宿泊所になりました。米軍の宿泊施設はその後1980年代にニュー山王ホテルに引き継がれました。山王ホテルの跡地には、2000年に44階建ての山王パークタワーに建てられました。)

つぎにESSの学生さんたちがびっくりしていたのは、東後先生がESSのメンバーだった60年代。ESSの部員数は900人もいて、合宿には300人も参加されたのだそうです。成長期の日本の姿がまぶしく目に浮かびます。現在の早稲田大学ESSも部員数200名といいますから大したものです。

さて、肝心のコンテストですが、私の感想です。

Contents
社会問題をとらえたスピーチが7本。生き方をとらえたスピーチが3本。
社会問題では、オンラインマネーの提案、新薬承認プロセスのスピードアップ、新薬開発にかかるコストダウンの提案、マニフェストの立案方法に対する提案、動物の命を食べている現実を見つめ食べ物の無駄な廃棄を減らす提案、労働組合再興への提案、知のハイブリッド化。
生き方をとらえたスピーチでは、「感謝の心」をもっと言葉で伝える提案、ドメスティックバイオレンスを受けた人の救済についての提案、ポジティブな生き方への提案。

いずれも練りに練っただけのことはあり、また自分の専門分野を掘り下げたスピーチもありで、感心しました。

最後のジャッジコメントでもお伝えしましたが、全体的に「硬い」。ユーモアをもっと入れてこそ、スピーチ全体にバランス感が生まれると思いました。

右脳と左脳という働きの違いを意識して、スピーチもロジックだけでなく、情緒に働きかえる作りを推奨させていただきました。

最後に、結論がなかなか出てこないスピーチが多く、PREPを交えてフィードバックさせていただきました。

Delivery

大学のESSのスピーチはほとんど動きはありません。ただ、一人はステージを「控え目に」動き、二人ほどVisual Aidを使い、三人ほどジェスチャーを使っていました。声に関してはどちらかというと短調でしたが、女性の方がうまかったですね。

私は、Body Movement, Hand Gesture, Vocal Varietyに関しては、メッセージがきっちりと伝わるのであれば、使っても使わなくてもどちらでもよいと思います。

トーストマスターズでも1994年の世界チャンピオンは目の見えない方でレクターンの横で動かずにスピーチをされたと聞いた事があります。

English
こんなにも英語が上手な学生さんがたくさんいたのかと本当に感心しました。2位になった東京大学の方に、「どちらか留学していたの?」と聞いたら、「留学した事はありません。中学時代にCDを聞いて練習しました。」そんな人もいるのですね。ちなみに中国上海の英語TMCであった流暢なスピーカーたちは、中国を一歩も出ずに英語力を高めています。

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ステージで、堂々と自分の提案を英語で発表する10人のスピーカーを見ると、いつもそうですが、日本の未来に本当に希望が持てます。

その事を再確認できたこと、そして東後先生との「再会」という縁をつないでくれた早稲田大学ESSの皆さんに感謝しながら、20時に早稲田大学を後にし家路につきました。

東京メトロ早稲田駅に向かう道すがら、母に東後先生と出会った事をつたえると、母も先生の名前を思い出し懐かしそうでした。

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第409話:クエスチョナーという仕事

大学ESSのスピーチコンテストには、ジャッジ以外にクエスチョナーという仕事があります。スピーチが終わった直後に、3分から4分のQ&Aタイムがありますが、そこでスピーカーに対してスピーチの内容について質問をする係です。

昨年12月の東京大学ESS主催の第三回安田講堂杯に出場して、そこでクエスチョナーからの質問の洗礼を受けるという体験をしたのが、私とこのクエスチョナーの仕事との遭遇です。

さる11月7日に、今度は私がクエスチョナーになる機会がありました。

創価大学ESS主催池田杯スピーチコンテストにクエスチョナーとして招かれました。私は創価学会の会員ではないので、正直一瞬迷いがありましたが、コンテスト自体宗教には関係がなく、全国の大学ESSのスピーカーたちが参加するもので、「学生スピーチを支援する」私の方針に合致するので応諾するまでそれほどの時間はかかりませんでした。

安田講堂杯で学生スピーチを見てからずっと思っていたのは、社会経験が少ない学生たちが社会変革を訴えるメッセージを送るときの「なぜあなたはそのメッセージを送るのか?」「経験の少ないあなたが提案するソリューションは本当に実現可能なのか?」の2点です。

今回、学生のコンテストのクエスチョナーを引き受けるにあたっての方針は、「育てる」です。壇上で衆人環視の中、私の質問は使い方によっては未来ある学生をつぶしてしまう刃になりかねません。ですから、どうやったら学生が「育つ」質問になるかに腐心しました。

6月の上智大学ソフィアカップでクエスチョナーを勤めた方や現役のESSの学生さんたちに、どのような質問がよいのか?どのように質問を準備するか前もって教えてもらいプロセスを頭に入れました。

学生のスピーチコンテストでは、事前にコンテスタントの原稿がジャッジとクエスチョナーに配られます。一週間前にいただいた12人の原稿を3回通読し、質問リストを作りました。

11月7日、他の3人のジャッジの方々と創価大学の学生さんたちと八王子駅で待ち合わせ、大学に向かいます。控え室で、和やかに話をした後、会場へ向かいます。

DJ風の男女の司会の掛け合いでコンテストの幕があき、やがてコンテスト本選が始まりました。私もはじめてのクエスチョナーとして緊張しますが、質問が進むにつれてお互いリラックスしてきたように思いました。

正直、うまくいった質問もあり、またそうでなかった質問もありました。皆さんからはおおむね良いフィードバックをいただきました。

コンテストが終わって、あるESSのメンバーに私の質問はどうだったか質問してみたところ、彼女は率直に「質問のスピードがちょっとゆっくり過ぎて、質問を受ける側としては、質問の全体像が見えにくかったかもしれない。また、もっと突っ込んだ質問でもよかったと思う。」と答えてくれました。

いいですねー。とても参考になります。年齢的には、私の息子の年齢に近い方ですが、同じスピーチの道、コミュニケーションの道を高めあう目的を持っているもの同士、こうやって学べる。

初めてのクエスチョナー経験も、私よりはるかに年齢の下の「先輩」たちの力を借りて無事に勤めることが出来ました。

トーストマスターズのスピーチコンテストとは、また違った趣向で勉強になります。

創価大学ESSの皆さん、ありがとう!

送信者 Kiminari
送信者 Kiminari

追記その1:今回のスピーチコンテストの優勝者は、創価大学の学生さんでした。優勝の瞬間、この学生さんは喜びの涙を流していましたが、それ以上にびっくりしたのは創価大学のESSの後輩たちが男女を問わず感動に大泣きしていたことです。仲間の優勝をここまで喜ぶのか?私は正直驚きながらも創価大学ESSというチームの熱さをうらやましくも思いました。今回クエスチョナーとして声をかけられてから創価大学のESSのメンバーの礼儀正しさはすばらしいと思っていました。創価大キャンパスに足を踏み入れてからも、メンバーの礼儀正しさに感心していました。礼儀正しくまた仲間の勝利を泣いて喜ぶ。こんな世界がまだ日本にあることをうれしく思いました。

追伸その2:今回、ジャッジが3人いらっしゃいましたが、その一人が、大学ESS界の三大大会といわれる福澤杯(慶応大学)、大隈杯(早稲田大学)、天野杯(獨協大学)の3タイトルを総なめにした中桐兵衛さんというかたです。大学を卒業して年月がたっているにもかかわらずいまだに大学ESS界では相当有名な方だそうです。お話してみると、実にバランスの取れた知識も経験も見識もある紳士でした。たまたま彼がスピーチについて書いたものを目にする機会があったのですがそこにこうあります。

「人間には想像力という高等な力があるから、全てが現場での自分の体験(実社会で問題を扱う立場として感じた事、という文脈)である必要はない」

2005年度東京大学スピーチセクションチーフさんのブログThe Gif Of Loveより

なるほど。この発言は日本の知見ですね。

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第404話:Inter-districtコンテストでのスピーチ順の決め方

今回久松さんのサポートとして、8月11日12時からのコンテスタンとブリーフィングに同伴させていただきました。

このブリーフィングの会場は、久松さんの出場したInter-District Aが行われた部屋です。部屋の右側にInter-District A出場者が、左にInter-District B出場者が座っています。

さて、Inter-districtコンテストでのスピーチ順はどのように決めるのでしょうか?実はあっけないほどかんたんです。下の写真右の女性(国際本部のスタッフ。キャサリンさん。日系4世)が持っている封筒の中に番号が書かれた紙が入っています。

実際にくじを引いている様子です。右から三人目のDonald Yee (D80, 香港、3位)がくじを2枚引いてやり直している様子です。会場が笑いでどよめきます。その次の次。立っているTシャツの人が南アフリカのDouglas Kruger(D74、2位)。その向こうにInternational Directorで、Inter-District AのコンテストチェアマンのMohammed Muradoさん。
次の次にくじを引いたのは、Inter-District Aで優勝したFinalに進んだフィリピンのHermiさん(Herminigildo V. Garrobo、District75)です。Douglasの腕のあたりに座っている長い黒髪の女性が久松さんです。


カメラは、Inter-District Bのくじ引きに様子も写しています。

2007年に初めてInter-Districtに参加した時に、あまりに簡単なやり方をやっているのに拍子抜けしました。

決勝も国際本部の同じスタッフがやっていますので、きっとこの方式なのでしょうね。精進していつか確認してまいります。

おまけ:Inter-Districtのステージを歩き回って具合を確かめるコンテスタントたち

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