第446話:スピーチ論評を考える。何を軸に論評するか?

論評で、「良かった点」「改善点」といいますよね。

この「良かった点」「改善点」って一体なんでしょうね?

スピーチを聞いていて「良かった〜」と思った点。あるいは「いまいち〜」と思った点。簡単にいえばそうですね。

しかし、トーストマスターズクラブでトーストマスターが論評をするときには、これだけでは物足りません。「何」に対して「良かった点」そして「改善点」なのかの軸を明確にして論評することが大切だと考えます。

実は、この「何」(=軸)はスピーチにも論評にもコンテストの審査にも非常に大事なのです。

私は、この「何」(=軸)の正体を「スピーカーの意図の達成度合い」だと考えます。「良かった点」「改善点」が「スピーカーの意図の達成度合い」を軸にしていると論評に一貫性が出てきて非常に役に立ち、そしてスピーカーがやる気の出るものになります。しかし、この軸のない論評をやると、論評が散漫になりスピーカーにとってあまりやる気アップに繋がらないものになってしまいます。

★「スピーカーの意図の達成度合い」って何??

クイズです。

「スピーチ」と「ひとりごと」の違いはなんでしょうか?

答えは、ご推察の通り「聴衆がいるか、いないか」です。

  • 聴衆を意識した「ひとりごと」はスピーチです。(子どもがよくやりますね。)
  • 聴衆を意識しない「スピーチ」は「ひとりごと」です。(大人がよくやりますね(笑)

この「スピーチは聴衆を意識する」ですが、つまりスピーカーが聴衆に対しての何らかの意図をもっているということですね。

さて、その意図とはざっくり言って

①伝えるため(Speaking to inform)
②楽しませるため(Speaking to entertain)
③行動を起こさせるため(Speaking to inspire)

の3つあります。

論評者の第一の仕事は、この意図は何かを考えることにあります。

 

注:よく「メッセージが何であるか考える。」といいますが、意図がそもそも①伝えるためだけ、あるいは②楽しませるためだけであれば、「(行動をおこさせるための)メッセージ」がないこともありますので、どんなスピーチに対しても「メッセージ」を求めるのはちょっと違うと私は思います。

さて、その意図にあたりが付いたら、論評者は「スピーカーの意図は、今回のスピーチでどれくらい達成されたのか?」を考えてまとめます。

  1. 伝えるため(Speaking to inform)であれば、その情報がよく理解できたか?なぜそう思ったのか?意図がぼやけてしまっところはなかったか?
  2. 楽しませるため(Speaking to entertain)であれば、大いに楽しめたか?楽しめないところはなかったか?
  3. 行動を起こさせるため(Speaking to inspire)であれば、スピーチを聞いて行動を起こす気になったか?あるいはそうは思わなかったか?

★それを踏まえた論評の構成

①自分が受け取ったスピーカーの意図をそのまま伝える。
②なぜそう思うにいたったかのうち貢献したものを伝える。
③意図の理解に貢献しなかったものはなにか?それを伝える。

ここでなぜ「①自分が受け取ったスピーカーの意図をそのまま伝える。」が大事なのでしょうか?

スピーチを終えた後のスピーカーの心理を考えてみましょう。自分の胸に手を当てて思い出してみてください。多くの場合「自分の意図(あるいはメッセージ)がきちんと伝わっただろうか?」というものではないでしょうか。

それゆえ、論評者は、自分はどのように意図を受け取ったのか?を冒頭で述べ、その理由を②と③に分けて述べる、③であればどうすればもっと効果的に伝わったのかをスピーカーに述べるという構成をとることで、スピーカーがスピーチの直後に最も知りたい事に対しての回答を与えることになると思います。

★ Evaluate to motivate : やる気を起こさせるための論評

ファンタジスタTMCで、論評ブートキャンプをやったときにこんなことがありました。ある論評者が、論評の冒頭であることを述べた瞬間にスピーカーは、「今、何をしたの?」と椅子から飛び上がらんばかりに驚いたのです。論評者は何をしたのでしょうか?この論評者は、「あなたのスピーチのメッセージは◯◯と受け止めました。」とスピーカーのメッセージをそのまま繰り返しただけなのです。

Evaluate to motivateというワークショップがありますが、この例でもお分かりのように、わざとらしく誇張して誉めなくても、受け止めたメッセージをそのまま伝えるだけでも、そしてそれがスピーカーの言わんとすることであれば、とても嬉しいということなのです。

繰り返しますが、人は自分の意図があいてに伝わったことがはっきりと分かれば嬉しいものだからです。

★「良い点」「改善点」という言葉が独り歩きしている危険性

論評の軸が「スピーカーの意図の達成度合い」あるとすれば、なぜそう思ったのか?どうすればもっとうまく達成できたのかの説明が②、③でくることは前で述べたとおりです。

さて、よく「良い点」「改善点」といいますが、私は現在この二つの言葉が軸を失って独り歩きしている例を数多く見ます。そして危険だな〜と危惧しています。

たとえば、「身振り・手振りがもっとあれば良かった。」ってよくいいますよね?本当でしょうか?本当に身振り手振りが必要だったのでしょうか? 

演台から離れてもっと聴衆の方に近づけばもっと良かった。本当でしょうか?そうすれば、本当に「スピーカーの意図の達成度合い」が高まったのでしょうか? 

論評者が、スピーカーの意図を汲み取らずに、単純に独り歩きしている「良い点」「改善点」という言葉にとらわれると、こんな論評になってしまいます。

「良い点」「改善点」という言葉を使うのであれば、それは「スピーカーの意図の達成する」のに、「貢献した(と思えるから良かった)点」そして「こうすればもっと貢献したんじゃないか(と思えるから改善)点」ではないでしょうか?

その軸を考えずに、単純に「良い点」「改善点」という言葉にとらわれて論評を展開すると、スピーカーは「はぁ、そうですか、そんなものかな?」で学びも低いと思うのです。

★ スピーカーの意図はどこに出るか?

さっきから、「スピーカーの意図、スピーカーの意図」と繰り返していますが、スピーカーの意図はいろいろなところにでます。だからよく観察することが大事です。

③行動を起こさせるため(Speaking to inspire)のスピーチの場合、

  • スピーチタイトルに出ることはすごく多いです。
  • オープニングのストーリー、名言の引用に意図がでます。
  • スピーチの中で展開されるメインのストーリー
  • スピーチ終結直前の結びの言葉、
  • もし心を揺さぶる部分があれば、そこ。
  • スピーカーがすごく力を入れて話している部分があればそこ。
  • 今まで目が空中を泳いでいたのに、ある部分しっかりと聴衆を眼力をこめて観る部分

などが考えられます。

★ 受け止めた意図からの分析

そうした情報を収集して、「この人の意図はなんだったんだろうな?私に何をしろと言ってるんだろうか?」と考えると、意図が浮かび上がってきます。それが強く伝わってくる場合は良いのですが、弱くてよくわからない場合、複数ある場合などわからない場合もあります。

どんな場合であっても、なぜ自分はそう思ったのか?それを分析していくと、「貢献した点」と「そうじゃない点」、あるいは「却って阻害している点」などが浮かび上がってきます。何が自分をそう思わせたのか?「そうじゃない点」や「却って阻害している点」に関してはどうすればよかったのかを考えるわけです。

弱くてよくわからない場合、複数ある場合はやはり混乱します。ですから、混乱した事実を素直に認めて、なぜ混乱したのかを分析して、伝えるのが論評者の役割と思います。

★★心配:スピーカーの意図と異なって受け止めることが心配???

心配することはありません。

スピーカーにとっていちばん大事なことは、自分の意図がどのように受け止められたのかを知ることですから。ですから、論評者は自分が受け止めたことを正直に伝えなければなりません。

ここで、スピーカーの心象を害してしまわないか?と不安になって、分かりもしないのに「とても良いスピーチでした。」というのは、スピーカーのことを考えているようで、結果的に考えていないことになります。

スピーカーは、自分の意図通りに聞き手が受け止めてくれたらそれは嬉しいです。しかし自分の意図と異なった受け止め方をされたら、それはなぜなんだろうか?というところから出発して自分のスピーチの改善をはじめます。

「論評はあくまで自分の個人的な意見」と言われますが、まさにこの部分です。あくまで自分の個人的な意見ですから、「私はこう受け取りました。」と伝えるのはトーストマスターズの論評では全く正しいのです。

★心配: 先輩に対して「スピーカーの意図を達成するのに貢献しなかった点の指摘、そして提案」だなんて。。。。そんな恐れ多いこと。。。

自分よりもずっと経験豊富なスピーカーの論評。恐れ多くてできない。そうでしょうか? 我々は、私たちよりもずっとステージ経験豊富な歌手や俳優のパフォーマンスを「あそこをもっとこう歌ってくれたらもっと良かったよね」って気軽にコメントしてないですかね?

「論評はあくまで自分の個人的な意見」ですから、「自分としてはもっとこうしてくれたらもっと気持ちよかった。」で一向にかまわないのです。

先輩も、後輩のためにおおらかに受け止めてあげましょう。

★心配: 英語ネイティブの論評が怖い。。。聞き取れないから申し訳ない。

そうでしょうか?スピーチが理解出来ないのは聞き手の責任でしょうか? 

日本にある日本人の多いトーストマスターズクラブという条件で話をすると、私は、スピーチが理解されないのは聞き手の責任ではなく、話し手の責任であると思います。もっと言えば話し手の「自分がどんな聴衆を相手に話をするのか」を分析する努力が足りなかったのです。

ですから英語ネイティブのスピーチを聞いて聞き取れなかったら、「もっとリスニングを勉強しよう」と思うのは素晴らしいのですが、あなたが論評者ならまずその英語ネイティブに対して、「この聞き手(自分)を相手にスピーチをするときはどんなことに気をつければよいのか?」を論評で述べることが大事です。

これを教えてあげないと、そのネイティブの方は「なんかよくわかんないけど、伝わったようだ。」と思って、日本という環境で英語で理解されるチャンスを一つ失うことになります。

リスニング力の低い自分のせいで、ネイティブの心象を害しては申し訳ない、と考えるのは、まぁ心優しいとも言えますが、同時に論評では相手の学びのチャンスも奪っている可能性についてちょっと考えてみてください。

蛇足ながら、英語を含む外国語をこれまでまったく学習したことがない人に論評をあてて、その人がわからなかった場合は、それは話し手の責任ではなく、そんな役割を決めた人にあることを申し添えておきます。

★ トーストマスターズのスピーチマニュアルの課題の目標(Objective)は軸にならないのか?

私は、軸にはならないと思います。軸はあくまで「スピーカーがそのスピーチで何をやりたかったかの意図」です。スピーチマニュアルの目的は、その達成のためのスキル、ヒントに過ぎないと思います。

だからといって、プロジェクトの要求項目を無視して良いことは絶対にありません。あくまで、自分の意図を実現するために、プロジェクトの要求項目に従って声に変化をつけてみる、身振り手振りを添えてみることは必要ですし、論評者はそこを配慮して論評することは必須です。

★ まとめ

論評する際の軸は、あくまで自分が受け止めたスピーカーの意図です。
その達成度合いを、「貢献した点」、「そうじゃない点」、あるいは「却って阻害している点」から評価する。

あくまで自分の個人的な意見として伝える。(聴衆を代表しない。代表できない)

脱線しますが、冒頭で述べましたように、これはスピーチコンテストの審査でも大事な観点です。この軸を持たずに審査すると、「ステージをよく歩きまわったからここは10点満点中9点」などの意味のない採点になります。そうではなく、「ステージをよく歩きまわったことでこのスピーカーの意図を非常によく達成されたので10点満点中9点」という採点であるべきです。私は、スピーカーの意図と無関係に各項目を独立させて採点することはやりません。意図との一貫性を考慮して採点します。

以上、論評する際の一つの観点としてご紹介いたしました。

あくまで私の個人的な意見です(笑)

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第435話:渋谷で論評を考えた夜(1月19日江戸トーストマスターズ訪問記)

1月19日は5年ぶりに江戸クラブを訪問いたしました。前回は2005年ころでしょうか。千駄ヶ谷で例会をされていたときでした。

今回は平松さんのお招きで総合論評と論評のワークショップをやらせていただきました。

19時から21時という限られた時間で総合論評とWSの合計で40分もいただきました。

この日、参加者の皆さんにお伝えしたのは次のことです。

  • 私の論評の歩み。
    2000年9月に入会した私の最初の悩みは「Evaluation(当時は英語クラブに在籍しましたので)で何をしゃべってよいのかわからない。」ということでした。結局試行錯誤でいろいろなことをやってみました。
  • 各スピーチプロジェクトの目的を、私の論評スピーチで披露してみました。しかしこれをやると、確実にタイムオーバーしました。
  • スピーチの中のフレーズを、私の論評スピーチで繰り返してみました。しかしこれでもタイムオーバーしました。
  • 3つほめて1つ改善点を述べて最後にほめるというサンドイッチ方式あるいはC-R-Cをやってみました。これは基本的にうまくいきました。しかし論評用の語彙をそれほどもっていかったので、ベーシックマニュアル(CCマニュアル)の論評ガイドから必要な言葉をすべて拾い出し、プロジェクトごとに論評用語彙が自由に使えるようになるようの練習しました。これはうまくいきました。
  • で、2007年だったかEvaluationは「相手をモチベートすることだ。」というトーストマスターズの論評の基本に気が付きました。その内容で2007年秋のD76秋季大会でワークショップを行いました。
  • 2009年にファンタジスタの例会で「論評ブートキャンプ」をやったときに、「自分の言葉が相手に伝わったと実感したいときに、ものすごくモチベーションがあがる。」ということに気が付きました。逆に言えば、話し手に対して「あなたのメッセージは○○ですね。」と正確に伝えることで話し手のモチベーションがあがるということに気が付いたのです。
  • さらにファンタジスタでのディスカッションの中で、トーストマスターズとは、技・知識・心を充実させる場であることに気が付き、論評での学びを技・知識・心のポイントで整理して考えられるようになりました。
  • 現在、技・知識についてはそこそこのレベルにきていますが、やはり心という観点ではまだまだやることがあると気が付き、がんばろうと決意を新たにしているところです。

経験別論評上達法

  • トーストマスターズというのは、「そこで人が成長する場所」です。例会でお互いに相手が成長するように助けあう場所ですから、そこでの論評も間違いなくその路線に沿っていなければなりません。
  • そうはいっても、最近入会した人にいきなりそんなことを言ってもなかなか難しいので、経験に応じた上達法を考えてみました。
  • 学ぶというのは、まねぶ、つまりまねをするというところからきていると聞いたことがあります。新しい組織にはいるとき、まずそこにいる人のやり方を真似る。あるいは、まず形から入るというやり方があります。
  • トーストマスターズに入ったばかりでどのように論評をやっていいかわからない人は、まず「サンドイッチ方式」をお勧めします。3つほめて1つ改善点を述べて最後にほめる。あまりわからなくてもよいからとにかくがんばってよい点を3つ探して、改善点をかならず1つ述べて最後にもう一度ほめて終わる。そのやり方でやってみる。トーストマスターズに入ってスキルがないときはなかなか難しいかもしれないけれども、基本マニュアルの課題を10まで進めるとなんとなくできるようになってくる。
  • その際に、タイマーのカラーシグナルを利用して時間管理をするのもひとつの手です。黄色が出るまでに3つのよかった点を述べる。黄色から赤まで改善点を1つ。赤が出たら再びほめて終わり。
  • この「サンドイッチ方式」によって、まず「技」から論評に入る。
  • 次の段階は「知識」。基本マニュアルが終了したあたりから「知識」を意識してもよいかもしれない。基本マニュアルの論評ガイドをしっかり読み込んで知識を増やす。あるいは、「知識」から「考えること」に展開してみる。
  • 基本技法を踏まえて、たとえばスピーチがわからなかったときに、なぜわからなかったのかから考えてみて、そこに改善点の機会を見出すなど。
  • スピーチがわからないからといって恥じることはない。わからなかったのに、それを隠して相手をほめるよりも、素直にわからなかったことを伝えるほうが、トーストマスターズの例会が「そこで人が成長する場所」であることを考えるとよほど価値がある。
  • この「知識」の段階がいつ終わるのかわからないですが、その次に「心」の段階があります。自分の心から論評し、相手の心に届けるフェーズです。
  • 正直私もこの段階にはまだ到達していないので、どのようなものかはわからないのですが、すくなくともこの段階になると、相手のスピーチの改善点を、相手の立場に立って徹底的に考え抜いて、相手と同じ場所に立ってフィードバックができるようになる気がしています。
  • この「心」の段階まで来て論評というものが、本当の意味で相手をモチベートするように思います。

そんな話をさせていただきました。

この日の会場は決して広い会場ではありませんでした。狭いだけに窮屈といえば窮屈です。

その狭い部屋をスピーカーの皆さんの心の言葉が満たしていきます。狭い部屋に立ち見が出るほどの盛況振りでしたから、部屋の温度も上昇していきます。そのせいか、気分が高揚していきます。

でも高揚したのは室温のせいだけではなかったと思います。

ワークショップを始める前に、総合論評者として論評者の方々のスピーチを客席から見ていました。

そして会場も見回しました。

この会場で座っている人、立っている人みなの視線が論評者の一挙一投足に注がれています。

みなものすごい集中力です。この集中力こそが、「みなの心がひとつになった」一体感を生み、そのことで高揚感を生んだということが正解でしょう。

コンサートで、客席とステージが一体になったような、そんな幸せな一体感がありました。

その一体感を、ワークショップのプレゼンターとして感じることができました。一緒に論評について考えることができた。

プレゼンターとしてこんなに幸せなことはありません。

スピーチも論評も相手があって初めて成り立つコミュニケーションです。話し手と聞き手の両者がうまくコラボして作り上げていく共同作業ともいえます。

その意味で、1月19日の渋谷の夜は、忘れられないものになりました。

** おまけ **

当日参加者に配布した「Fantasista Tips 今日から使える「論評が “ちょっと” うまくなるアイデア」集」です。 (「Fantasista_Tips_For_Edo_TMC.pdf」をダウンロード

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第369話:Evaluationの深さを実感したファンタジスタ例会

昨日は、ファンタジスタTMCの例会でした。現在、5月までの予定で「Evaluationブートキャンプ」の真っ只中です。昨日も、14時から17時までEvaluationに対してさまざまな角度から学んだり議論をしたりでEvaluationに向き合う姿勢、技術を深めていきました。

テーマは一貫して「Evaluate to Motivate」

EvaluationするためにEvaluateするのではなく、MotivateするためにEvaluateするということです。

私の学び

  1. スピーカーは自分のメッセージがきちんと伝わったこと実感すると、うれしい。Motivationが高まる。(メッセージを受け止めるように聞く。ただし、いつも受け取られるとは限らない。)
  2. すでにやる気にあふれたモチベーションの高いスピーカーに対しては、無理にMotivationを高めようとする必要はない。

実は、スピーカーのMotivationが高まるのは、スピーカーが解決できなくて悩んでいる問題に対して、スピーカーの期待値以上の提案を行ったときだと思っていました。

それはそれで正しいのですが、シンプルにスピーカーのメッセージを受け止めるだけでも効果が高いということなのですね。

ある女性トーストマスターから以前こんな話を聞きました。

「男の人に相談すると、「こうしたらいいじゃない?」「あぁしたらいいんじゃない?」とすぐにソリューションを提案してくる。女は、ソリューションを求めているのではなくただ聞いてほしいと思っていることのほうが多い。」

ここと関連しているかもしれません。

まだまだEvaluationというコミュニケーションスキルの大きさも深さもわかっていない。それだけにやりがいのあるテーマだと思いました。

参考:ファンタジスタTMC 4月18日例会プログラム Evaluation boot camp/論評ブートキャンプ

Activity

Dur. (Min) 

Evaluation boot camp(EBC) / 論評ブートキャンプ 

1

Session#0 論評のフレームワーク」を学ぶ 

l         Language: 日本語 

l         Objectives:

Ø         全員で論評の構造、必要スキル、大枠の全体像をもう一度理解、共有する 

5

Session#1 "Assertiveness"ワークショップ 

l         Language: English

l         Objectives:

Ø         論評に対する Attitude、土台作り  

Ø         Assertiveness という考え方を深く知ることであらゆるシチュエーションで応用出来ること 

60

Session#1.5   モデルスピーチ

13

1st Prepared Speech: (日本語)

2nd Prepared Speech: (日本語)

Session#2 「論評プロセス」の実演「見える」化 

l         Language: 日本語 

l         Objectives:

Ø         2名のモデル論評者に、Session1.5アイスブレーキングスピーチに対する論評をして貰う。(時間: 230秒±30秒) 

Ø         チャートSession#0で使用)<どのようなプロセス(観察、分析、整理構成、発表、時間管理)でその論評をするに至ったか>プレゼン35分間)してもらい  論評のプロセスの「見える」化を試みる。 

Ø         「見える化」をベースにして、皆の知識経験の共有、疑問解決のディスカッションを行い、各々の論評スタイルを模索する 

70

Session#2 General Evaluation / 論評 

5

ファンタジスタの例会のプログラムは、「プロデューサー」という提案者が3ヶ月のプログラム終了時に達成したいゴールを明確にした上で各例会のプログラムを計画し実施します。プロデューサーは、毎回の例会に必要なセッションリーダーを決め、その人に各セッションの運営をお願いすることができます。(権限委譲)

今回は、さらにEvaluation Boot Camp第2回を取り仕切る「ファシリテーター」(TMOD/TMOEとほぼ同じだが、例会企画と達成責任がTMOD/TMOEよりもやや重く感じられたかもしれません。)を設け、実行しました。

ファンタジスタ例会も5回を数え、Evaluation Boot Campも2回目で、いちばん充実した内容となりました。

プロデューサー、ファシリテーター、セッションリーダー、モデルスピーカー、モデル論評者の皆様、本当にありがとうございます。

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第355話:「Evaluation/論評」を腑に落とした夕べ

3月31日(火)の19時30分から東京渋谷の勤労福祉会館で行われたファンタジスタクラブの勉強会に出席しました。

10日前に行われたEvaluation Boot Campで燃焼し切れなかった「Evaluationとは何か。」についてさらに深めるための会合です。

気合を入れるために、「餃子の王将」で餃子3人前と野菜炒めを平らげてから会に臨みました。

集まったのはファンタジスタクラブのアメリカ人、ロシア人、日本人メンバー計6人。勤労福祉会館の和室に座布団の上で日米露と仲良く日本語でディスカッションをしたわけです。欠席したメンバーの希望もあってこの例会の内容もビデオに録画しました。

会長から、当日の目的と流れの説明があり早速本題に入りました。Evaluationのプロセスの最初に来る「観察」(Observation)にフォーカスするのがこの日の狙いです。

まず、DVDで日本語のスピーチを一本鑑賞します。それを見ながら皆A3の紙のうえで論評用のメモを作るわけです。

スピーチを見終わると、メンバー一人ひとりが、論評メモを見せながら、

  1. どのようにスピーチを「観察」したか
  2. どのようにメモをとったか
  3. スピーカーのどんな点に注目したか。

を発表します。ほかのメンバーはどんどん質問をします。

これを6人分やると時計の針はすでに20時45分。1時間15分もやっていたのですね。

いろいろな学びがありました。

  1. あるメンバーはGLOVESをポイントに事実ベースのメモを取っていました。GLOVESとは、Gesture(身体表現), Language(言葉), Objectives(スピーチの目的), Vocal Variety(声による表現), Enthusiasm(熱意), Special(その他特記事項)の頭文字をとったもので、たとえばGestureならGestureで気がついたことをメモしていきます。さらに同じ紙に、スピーチの流れに沿ってポイントをメモしていきます。さらにステージ上の立ち位置のメモも取ってあり、大変びっくりしました。
  2. 人によって、メモを取る量がちがいました。論評経験の豊富な人ほどメモの量はすくなく、逆に論評経験の短い人は大量のメモを取っていました。理由は二つありそうでした。まず経験豊富な人は「必死になってメモを取ると、視線がメモ用紙にばかり行ってしまい、スピーカーを見る事ができなくなる。」ことのないように、あえてメモの手を止めてスピーカーを見ますので、メモ量は少なくなります。経験が少ない人は「メモを取らないととても不安」という心理が働いて一生懸命メモを取ります。これはどちらがよい、悪いではなく論評スキルをつけていくひとつの過程で誰しも通る道だということを確認しました。
  3. メモはまず良い悪いの先入観や判断なしで「観察」するためのツールです。一通りメモが終わってからその後取ったメモを見ながら、スピーチ・スピーカーの良い点、改善点を拾ってまとめていきます。つまり「観察」という工程があって、次に「分析」そして(発表を準備するための)「構成」ときます。
  4. メンバーの中にディベートの経験者がいましたが、この方のノート術は大変興味深かったです。「観察」と「分析」を頻繁に行っているメモです。したがってほかのメンバーがだれも気がつかなかったようなことをいくつも指摘しました。このノート術の背景をうかがうと、ディベートの勝負の最中はとにかく相手の言うことをメモして瞬時に相手のロジックの「穴」を探し攻撃、反撃するため、「観察」「分析」「構成」というサイクルを頻繁にまわさないと勝てないから、このノート術になったそうです。ただ、この方はトーストマスターズでもどうしてもディベートのモードでスピーチを聞いてしまうため、相手のモチベーションをあげる論評がなかなかできていない、そこを解決したいとおっしゃっていました。
  5. あるメンバーはノートをたくさん取ってしまう理由として、「自分の論評が的を得ているか自信がないため、ついメモを取ってしまう。」と正直なコメントをされました。そうですね。だれでも最初から論評がうまいわけではありません。多くの経験を通してだんだんと上手になり自信もついていくと思います。しかし、もしそこでEvaluationの基本である「もしあなたがその役を割り当てられた時、その目的は、自分の中に起こった正直な反応を、論評ガイドを使って建設的に発表することなのです。あなたはジャッジでもスピーチの権威でもありません。論評を行う際には、あなたはスピーカーの発表に対して自分自身の中に起こった反応を素直に伝えるのです。」という一文に触れることができれば、Evaluation/論評に悩む多くの方が救われるかもしれませんね。

ちなみに、私の自分の「観察」に対する気づきは

  1. 途中でメモに集中しすぎていることに気づき、メモの手を止めスピーチを見るようにした。
  2. メモを書きすぎたのは、おそらくDVDの音が良く聞こえずに不安になってメモを始めたように思う。(不安になると、ついメモを取る?)
  3. ただしFactのメモは不十分

ファンタジスタTMCは、毎月第三土曜日にメインの例会を行いそこで「練習」、「ディスカッション」、「ワークショップ」をみっちりと行い、それ以外の平日の夜に学びをもとに「スキルトレーニング」を実施します。

テーブルトピックスブートキャンプの時がまさにそうでした。しかしEvaluation・論評のときは、たんなるスキルよりも「論評とな何か?」「なぜ、何のために行うのか?」を腑に落としていることがベースになりますので、ここをたいへん念入りに行ったのは正解でした。

Evaluation・論評のスキルを伸ばすには、自分ひとりでできることと、このように同じスピーチを題材にお互いのノウハウと悩みを公開しあう勉強会を実施するなどいろいろなやり方があると思います。

今回の勉強会では6人いれば6通りのやり方がありますが、共通項も多く大変収穫の多い夕べとなりました。

すばらしい学びに満足しつつも、やはり餃子3人前は多すぎ、かつ野菜炒めは余計だったと反省しつつ家路を急ぐのでした。

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第352話:Evaluationで、ものすごく大事なこと

第350話:Evaluation Boot Camp / 論評ブートキャンプ で、「論評とは何か(WHAT)、なぜ論評をするか(WHY)をあらわしています。ひとことでいうと、EVALUATE TO MOTIVATEです。ToastmastersでのEvaluationはこれ以外にはあり得ません。相手をMotivateしないEvaluationはEvaluationではない。」と申し上げましたが、これは別に私の個人的な言葉ではありません。

トーストマスターズに入会すると、New Member KitとしてBasic Manual以外に①Effective Evaluation, ②Gestures: Your Body Speaks, そして③Your Speaking Voiceの3冊のBookletが送られてきます。

このEffective Evaluationにすごく大事な事が書かれています。

The Speech Evaluator's Role/論評者の役割

Every speaker is assigned an evaluator who provides a written and oral evaluation of the presentation. When you are assigned to evaluate a speaker, your purpose is to provide honest reaction in a constructive manner to a speaker's presentation, using the evaluation guide provided.

スピーカーには、そのスピーチに対して口頭と書面で論評を行う論評者が割り当てられます。もしあなたがその役を割り当てられた時、その目的は、自分の中に起こった正直な反応を、論評ガイドを使って建設的に発表することなのです。

You are not a judge or an auithority on speaking. When you evaluate, you are simply giving your own reaction to the speaker's presentation.

あなたはジャッジでもスピーチの権威でもありません。論評を行う際には、あなたはスピーカーの発表に対して自分自身の中に起こった反応を素直に伝えるのです。

An evaluation is an opinion, nothing more. This opinion should mention the presentation's effect on you, what the speaker did well, areas where the speaker could improve, and specific recommendations for improvement.

論評というのは、一意見であってそれ以上ではありません。この意見では、発表があなたにどのような影響を及ぼしたのか、スピーカーの何がよかったのか?どこを改善できるのか?そして改善のための具体的な提案を行います。

Keep in mind, you cannot change a speker's behavior or force a speaker to accept your ideas and suggested improvement. Nor can you demand that a speaker repeat a project if you believe the speaker did not accomplish project objectives or otherwise did not perform well.

あなたは、スピーカーの振る舞いを変えたり、あなたの考えや改善提案を押し付けてはならないということを肝に銘じてください。あるいは、スピーカーがプロジェクトの目的を達成できなかった、あるいは発表がうまくいかなかったからといって、スピーカーにそのプロジェクトをやり直すことを要求することはできません。

But through your evaluation you can provide the speaker with information that he or she may consider when preparing and delivering future speeches. The decision to accept your suggestions is the speaker's alone.

あなたの論評を通して、スピーカーに対して、スピーカーが将来スピーチを準備したり発表する際に考慮するための情報を提供するのでは。あなたの提案を受け入れるかどうかの決定はスピーカーにあります。

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私はToastmastersのEvaluationがAssertivenessそのものだと思うのはまさにこの上の部分に象徴されています。

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さて、When You Are the Vice President Education(2008-2009)の11ページ目のQuality Speechesには、こうあります。ちょっと厳し目ではあります。

As vice president education, you must encourage quality speeches – speeches that are well prepared and appropriate, and that fulfill project objectives. Poorly prepared
speeches do not benefit the speaker, the other club members, or the organization.

教育担当副会長として、質の高いスピーチを、よく準備され適切なプロジェクトの目的を満たすスピーチを推奨しなければなりません。準備不足のスピーチは、発表するスピーカーのためにならないばかりか、クラブの会員、あるいはクラブのためにもなりません。

When you see club members repeatedly giving poorly prepared speeches, speak up and explain the importance of quality speeches. Make your own speeches an example.

もしクラブの会員が準備不足のスピーチを繰り返すのを目にしたら、はっきりと声をあげ、質の高いスピーチの大切さを説明してください。あなた自身のスピーチが模範となるようにしてください。

It’s not recommended that you withhold manual credit to a speaker whose speech did not meet standards. Toastmasters is not a “pass-fail” program.

スピーカーのスピーチが基準に達していなかったからといって、スピーチマニュアルにサインすることを控えることは推奨しません。トーストマスターズは、「合格-不合格」というプログラムではありません。

When someone gives a speech that does not meet project objectives, the evaluator may gently and tactfully point out this fact privately and suggest that the speaker consider repeating the project.

あるメンバーのスピーチがプロジェクトの目的に達しなかった時は、論評者は公衆の面前ではない場所で優しくかつ旨くこの事実を指摘し、このプロジェクトに再挑戦することを提案してください。

This can be only a suggestion; the decision to repeat a project is made by the speaker.

これはあくまで単なる提案であって、プロジェクトを再度繰り返すかの決定はスピーカー自身が行います。

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私は、この点でトーストマスターズの教育プログラムが大好きです。しかし、今日ここに来るまでの道のりで、トーストマスター会員が犯した数々の過ちを見てきましたし、私自身も恥ずかしくなるくらいの間違いを犯しました。

Fantasista TMCで、Evaluation Boot Campをやるにあたり、「EvaluationのWhatとWhy」を考えている中で、この文章を振り返り、もう一度肝に銘じることにしました。

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第258話:論評チャンピオンによる論評ノート術ライブデモ

6月28日は大和バイリンガルクラブの役員就任式(Officer Installation Ceremony)でした。毎年、神奈川県大和市にある北京飯店という中華レストランで行います。

さて、昨日の目玉は「2007年D76日本語論評チャンピオン 小林美枝子さんによる論評ワークショップ」でした。

このワークショップの最大の見せ場は、モデルスピーカーのスピーチを聞きながら小林さんが取る論評用のメモをスクリーンにライブで投影していくところです。(写真は、掛川さん(右)のスピーチを聞きながら、メモを取っている小林さん。スクリーンには、小林さんのメモと小林さんの右手が映っています。小林さんは、二本のペンを同時に持ってメモをされていました。)
Eval_live



参加者は、チャンピオンがスピーチを聞きながらどのようにノートを取るのか、ライブで確認し学ぶことができました。さらに作成したメモをどのように論評スピーチにまとめ上げるのかのプロセスも実際に体感しながら学べました。

小林さんは、A4サイズのOHP用の透明なシート3枚いっぱいにメモをびっしりと取られ、それに基づいての論評をされたのですが、普段ベテランの論評者がどのようにメモをとるのか見る機会は滅多になく、「こんなにびっしりメモを取るのか!」と感嘆の声があがりました。

論評ワークショップは、次の構成で進行しました。
1、イントロ
2、モデルスピーチ(掛川さん、基本マニュアル プロジェクト10)&論評メモライブデモ
3、小林さんによる論評
4、出席者全員による論評(良い点を中心に)
5、事前に出席者から出された質問に小林さんが回答するセッション
6、「いいところ探し」論評ゲーム
7、クロージング

チャンピオンが惜しげもなくノウハウを公開して下さった実に豪勢なイベントでした。

小林さん、ありがとうございました!

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第237話:コメントシートのチカラ

私の所属する大和バイリンガルトーストマスターズクラブのパーキンスさんは、これまでクラブ例会やコンテストで聞き手の皆さんに書いてもらったコメントシートをすべて保管しています。彼の宝物なのだそうです。

私もベーシックマニュアルに取り組んでいるときは、プロジェクトが終わるたびにいただいたコメントシートをベーシックマニュアルに貼り付けていました。そういえば最近はやらなくなりました。初心を忘れてしまったようだと反省心が沸いてきます。

コメントシートに書かれた短いコメントに、これまで何度も助けられました。短く「Good speech!」「I was impressed!」とだけ書かれたものを見てはニンマリしたり、逆に「Your pronunciation was very bad」と書かれたものをみて正直ムカッと来たり。

でもやはりそうはっきり書かれたものは、あとからも気になって結局本屋で発音の本を買ったりそれまで以上に発音に気をつけたりと、結局役に立っています。

一般的に、論評の上手なメンバーは、コメントシートの書き方、コメントの仕方も同じように上手だと思います。論評の上手なメンバーは時間管理もうまい。決められた時間の中で何を伝え、何を言わないかの取捨選択もうまい。そのスキルがコメントシートを書く際にも反映されるのだと思います。

コンテストでコメントを書くのはスピーチとスピーチの間の一分間ですから、3つのよい点や改善点まで掘り下げて書く時間はなくエッセンスだけになってしまうのは仕方ないかもしれません。だから、ときとして本意でなくてもきつい一言になってしまうのでしょうね。

私は8年近くトーストマスターズをやっていてきついコメントに対する耐性もそれなりについています。しかしきついコメントをもらった新しいメンバーが二度とクラブに来なくなってしまったという話は、きつい論評をもらって来なくなってしまった事例とを同じようにたまに聞きます。

過去、私も心無い論評やコメントでメンバーを傷つけてしまったことが多々あります。今思い出しても心が痛みます。

その反省もあって、現在は私はどんな理由があってもきついコメントは書かないように心がけています。スピーチを聞いて心の中が泡立ったら落ち着くまで待ちます。それがトーストマスターズだと思うからです。しかし未熟さから知らないうちに人を傷つけているかもしれません。(そうならないように祈るばかりです。)

私のコメントの方針は、論評と同じです。良い点を認める。改善提案は①これならできる。②次回やってみたい と思えるようなものを書きたいと思っています。書ききれない分はなるべく本人に直接伝えるようにしています。こうすれば無用な誤解を避けることができます。

多くのメンバーのトーストマスターズの入会の動機は、スピーチができるようになりたい、英語がうまくなりたい、司会ができるようになりたい、と様々ですが、みな「○○になりたい」というスキルアップという点で一致していると思います。

それゆえ、何人たりともそのスキルアップの希望をつぶすようなことがあってはいけないと思います。

  • ベテラン(あるいはスキルの高い人)からすれば、入会したてのメンバーのスピーチは欠点だらけかもしれません。でもそのときこそベテランの腕の見せ所でしょう。コメントシートの短い一言でこの新人さんをどれだけ元気付け才能を開花させることができるのか?
  • あるいは、自分の嗜好とまったく異なるスピーチをした人がいたとしてコメントを書く場合は、自分の感情をそのままぶつけないように気をつける必要があります。
  • あるいは、パブリックスピーキングではまったくふさわしくないスピーチをした人がいた場合、その人が悪意でやっているのでなければ、その人が気づくような建設的にコメントを書くのが理想です。しかし短時間でそこまで書ききれないのが現実だと思いますので、落ち着いた環境で話ができるのがよいと思います。(悪意でやっている場合は、役員さん経由でしかるべき対応が必要でしょうね)
  • 武蔵小杉クラブの小野君と話していて気がついたのですが、自分の名前を署名するのは自分の言葉に責任をもつ意味でも大人としての最低限のしかし当然の「マナー」だと思います。

コメントシートという小さな紙には、実はその人のトーストマスターズのスキル、さらにいえば「人間力」が凝縮されているのですね。

そういうものが凝縮されているだけに、コメントシートのチカラは絶大です。

(本日の記事は、元祖公園スピーカーの小野君(武蔵小杉クラブ)の言葉にヒントをもらいました。小野君ありがとう。)

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第218話:あぁ論評、Ah Evaluation! (その2:もったいない!)

前回の「第217話:あぁ論評、Ah Evaluation!」で、過去の自分の論評の問題点を二つあげましたが、その2点目についてもう少し考えてみたいと思います。

2.スピーチの内容に踏み込みすぎて、そのスピーチに自分の意見を言っている。(こうなるとEvaluationを逸脱して、自分のスピーチを展開している。)

こんな論評の例はどうでしょうか?

論評者1:「●●さん、プロジェクト2の終了おめでとうございます。正直言いまして私はアメリカ人のネイティブスピーカーの方を論評できるほどの英語力がないため、今日どれだけ論評ができるかわかりません。実際、昨日からかなり緊張してしまいました。」 

その後、しばらく英語ができない言い訳をして、論評の本論に入りタイムオーバーしました。この論評者は経験がそれほどありません。

論評者2:「●●さん、プロジェクト5の終了おめでとうございます。今日の●●さんのスピーチはとてもよかったです。私も同じ失敗をしてしまったことがあります。実は3年ほど前にある会合で、(しばらく自分の経験談を披露。これがメインとなってしまった)。それだけに私には他人事のようには聞こえませんでした。その点が非常に良かったと思います。最後に改善点です。アイコンタクトがあればもっと良かったと思います。」 

この論評者もタイムオーバーしました。

トーストマスターの例会という「得がたい機会」

トーストマスターズ入会の動機は様々だと思います。英語が上手になりたい。スピーチができるようになりたい。私は司会ができるようになりたくてトーストマスターに入りました。

入ったからにはスキルを身につけたく思うのは当然のことです。時間を守るトーストマスターの例会には、ありがたいことに論評(Evaluation)の時間があります。この中だけで、自分のスピーチの良かった点、改善点、練習法が学べます。

こんなチャンスは世間を見渡してもあるようでなかなかありません。話し方教室はそれなりに高額らしいです。スピーチの訓練を受けている日本人は圧倒的に少なく、周りにはアドバイスしてくれる人もほとんどいません。してくれても「あそこが悪かった。ここが悪かった。」と気がめいるアドバイスだったりします。

トーストマスターの例会は、まさに「得がたい機会」です。その中の論評セッションはさらに「得がたい機会」です。

その「得がたい機会」で、スピーカーが「自分はどんな強みを持っていて、今後どこに力を入れていけばよいか」について腑に落ちて理解できれば、それは大変幸せです。

しかしその「得がたい機会」が、論評者の個人的な話に終始してしまうと、スピーカーの学びのチャンスは失われてしまいます。なんとももったいない話です。

スピーカーの話を聞いて、それに共感するような論評者の個人的な話は、例会が終わってからの二次会でたっぷりとすればよいと思います。

論評を「書いて」練習する

3分30秒しかない論評という「得がたい機会」を、英語ができない言い訳に使った論評者1、自分の失敗談を披露した論評者2はいずれも私です。トーストマスターズに入って1,2年目のことでした。

当時はまだ論評のスキルもなく、論評の意義もわからず、ただ何かをフィードバックすることだけに一生懸命でした。

前回の「第217話:あぁ論評、Ah Evaluation!」で、論評を「書いて」練習する効用を考えましたが、まさに書いてみて、自分の論評を読んで、上手な人の論評を聞いて、TOASTMASTERSのThe Effective Evaluationという小冊子を読んで、ようやく論評で何をしなければならないか、論評者が何を求められているかがわかりました。

そこからの旅が始まり、多くの発見をして、多くの失敗をして、いまもまだまだ続いています。

論評は「一期一会」

論評は「一期一会」だと思います。一期一会とは、「茶会に臨む際は、その機会を一生に一度のものと心得て、主客ともに互いに誠意を尽くせ」といった、茶会の心得です。(語源由来辞典より引用)

論評者が、スピーカーのスキルアップ、レベルアップを願ってフィードバックをできるのももしかしたら論評セッションで与えられた3分30秒が一生に一度の機会かもしれません。

  • 「例会が終わってからの二次会で詳しく話をしよう。」
  • 「帰宅してからゆっくりメールで伝えよう。」

しかし、なかなかままならないのが人生です。例会が終わっての二次会ではそれどころではないかもしれませんし、そもそもスピーカーは二次会に行かずに帰宅するかもしれない。ゆっくりメールができるとも限りません。失われた機会損失のコストは高くつきそうです。

論評は「一期一会」だと思ってこれからの論評のチャンスを大切にすることにします。

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第217話:あぁ論評、Ah Evaluation!

何年前でしょうか?当時の私はEvaluationが本当に苦手でした。(当時は厚木座間という英語クラブに在籍)

そもそも何を言えばよいのかわからない。先輩トーストマスターたちが、良い点を3つ、改善点を1つサマリーしてしかも3分30秒内に収めるのを見て「神業!」と崇め奉っておりました。

どうしてもタイムオーバーしてしまう。

あるとき、ふと思いつきました。Basic ManualのEvaluation Guideのページ(書面論評を記入するページです)にあるいろいろな単語を拾い出してストックしておいて、Evaluationに当たったときにその言葉を重点的に使うようにしよう。

ということで、せっせとBasic ManualのEvaluation Guideから関連する言葉を拾い出してはノートに書き出しました。Vocal Varietyとだけいうのではなく、RateとかPitchとか具体的な言葉を集めたのです。

これはそこそこうまくいきました。

しかし、まだタイムオーバーする。「うーん。そもそも自分のEvaluationのスピーチの組み立て方に根本的な問題があるかもしれない」と思って、あるプロジェクトに基づいて想像上のスピーチに対してそれにあうようなEvaluation Speechを書いてみました。

そこでわかったこと。

  1. 最初に、そのProjectのObjectivesをマニュアルに書いているとおりに述べている。(時間の無駄。マニュアルに書いてあることを繰り返している。述べるのならば短縮版にしたほうが良い)
  2. スピーチの内容に踏み込みすぎて、そのスピーチに自分の意見を言っている。(こうなるとEvaluationを逸脱して、自分のスピーチを展開している。)

この二つを冒頭で述べているから、3つの良い点、1つの改善点を述べ終わったらタイムオーバーするのか?よーく、わかりました。

論評やEvaluationで壁にぶち当たったら、まず「止めて見る」。つまりいちど論評を書いてみる。書いた論評を良く眺めて、上手な人の論評スピーチの構造と比較してみる。そうすると、どこを改善するのかが見えてきます。ひとつのソリューションとしてお勧めします。

(ただし、次回の例会で論評にあたっているからといって、「事前に論評を書いて準備すること」を推奨しているのではありません。事前に書面で準備した論評を例会で読みあげるというのは、自分のスキルアップにならないので私はやりません。失敗しても良いから例会で初めて聞いてその場で論評することを心がけています。)

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第216話:D76論評チャンピオンたちの手記

D76のWebサイトに掲載されている2007年12月14日発行のNewsletterの中に、昨年11月17日、18日に開催されたD76 論評コンテスト(日本語)/Evaluation Contest(英語)で優勝された二人のチャンピオン、小林美枝子さん(青山ランチ)、Marie-Josee Brassardさん(Sendai TMC)の手記が掲載されています。

Newsletter 2007 Extra Issue (2007/12/14)

チャンピオンたちの熱い言葉には情熱と経験と知恵が、そして静かな行間には深い洞察が刻まれています。

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