第66話:大爆笑のボイストレーニング

大和バイリンガルトーストマスターズクラブでボイストレーニングを行いました。爆笑に次ぐ爆笑でとても楽しいトレーニングとなりましたので、報告いたします。皆さんが、ご自身のクラブでトレーニングを計画される際の参考になれば幸いです。

日時:2006年7月8日(土)14:00-14:30(30分間、通常例会の一部として実施)
場所:大和市生涯学習センター
講師:不肖 わたくしめでございます。
資料:「VoiceTrainingMaterial.pdf」をダウンロード
トレーニングの形式は、参加者からボランティアを募ってステージに来てもらい例文を様々に声を効かせて読み上げてもらうという形式を取りました。

下記は私がトレーニング中に使った資料の解説です。この資料はパソコンにあり、プロジェクターを使って投影して行いました。

以下、スライドごとにどのようにプレゼン、トレーニングをしたかの説明です。上のリンクから資料をダウンロードしてあわせてご覧ください。

Voice Training (声を豊かに) (スライド1)
楽しくトレーニングのタイトルを読み上げました。「楽しい」トレーニングを心がけましたので、すべてにおいて「楽しさ」を表現しました。

本日のトレーニングを受けると、、、 (スライド2)
トレーニングの効果を明確に宣言します。ここは楽しく大きく言うことが大事です。
「一ヵ月後に声が出ます。」よりも、「二ヵ月後にもっと声が出ます。」を大きな楽しい声で。
「一年後にもっともっと声が出ます。」はさらに大きく楽しい声でいいました。つまりだんだんクレッシェンドしていくのです。大げさに言ったので参加者にちょっとウケました。(ウケると嬉しい)

約束 (スライド3)
参加者に「小学生になること」を約束してもらいました。これでいっそうトレーニングが和やかな雰囲気になりました。「小学生になる」ということで、参加者の心のバリヤーがなくなったように思いました。

トレーニングの構成 (スライド4)
最初に全体を見せることは大事ですからね。

なぜ声が大事なのか? (スライド5)
アルバート・メラビアンが1971年に発表した論文からの引用です。私から参加者へのメッセージは、「スピーチを構成する①身振り手振り(55%)、②そして声(38%)が、③メッセージ(何を言うか?7%)とうまくシンクロしないと、自分が期待したようには聴衆にいいたいことが伝わらない。だから自分の声をコントロールすることは重要である」というものでした。更に追加で、この論文は「派手な身振りや声」を推奨しているものではないことも述べました。

練習:自分の声を知る (スライド6)
いよいよ練習が始まる開始宣言です。

1.つまらなさそうに話す (スライド7)
「さぁ、みんな!はじめるよ。だれか前に来てやってくれる人!」と小学校の先生の真似をすると、小学生になりきった参加者がいっせいに手を上げてくれました。これは嬉しかったです。「小学生になること」という約束を守ってくれたからです。ここからは、前に出て実演してくれる人を小学生のように「○○ちゃん」「○○くん」と呼んだのも楽しいムード作りに拍車がかかったと思います。さて、いちばんバッターは、じつにつまらなさそうに読み上げてくれました。参加者は大爆笑。

2.真ん中の床を向いて話す (スライド8)
これは視線を床におとして話すというものです。次にやってくれたメンバーは床を見ながらうまくこの英文を読み上げてくれました。いい感じです。

3.口を小さく開けて話す (スライド9)
次にやってくれたメンバーも、小さな口でぼそぼそと、「私たちはトーストマスターズの、、、」と元気なくやってくれました。そうそう、私の期待したとおり!

4.早口で話す (スライド10)
次は、アメリカ人のメンバーが前に来てくれて、ものすごいスピードで読んでくれました。拍手喝さいでした。

5.うつむいて原稿を読みながら話す (スライド11)
次は、日本人メンバーによるタイマーズレポート例ですが、私が狙ったとおり自信が無さそうにつっかえながら読んでくれました。グッドジョブ!

6.難しい文章を話す (スライド12)
スピーチコンテストルールの日本語訳です。かなり硬い訳文になっているので声に出して読むのにはなじみません。つぎの発表者もつっかえつっかえ私の狙ったとおりにやってくれました!ファンタスティック!

声を貧弱にする方法 (スライド13)
さて、ここで種明かしです。すでにここまでしつこく見てくると参加者も気がついているのですが、わざと声を貧弱にする方法をやってみたことをあらためて種明かしし、「こういう方法でやれば、スピーチでは豊かな声が出ない事」を自分自身の体験と照らし合わせて理解していただきました。

さまざまな技法 (スライド14)
ここでの私のメッセージは、「声を貧弱にする逆の方法をやれば声は出るようになる」というものです。ですから貧弱にする方法と対比させながら声を豊かにする方法を理由と共に提示しました。

1.楽しそうに話す (スライド15)
ここから、もういちどさっき出てきた発表者に同じ題材を、さっきとは逆のやり方でやってもらいました。さっきはわざとつまらなさそうでしたが、今度は実に生き生きとやってくださいました。この文章はThe Mission of the Club(クラブの使命)ですが、とかく無味乾燥になりがちな文章を情景が目に浮かぶような素晴らしい読み上げで参加者からも拍手喝さい。私もおもわず「皆さん、これがボーカルバラエティです」と叫んでしまいました。

2.聴衆の目を見て話す (スライド16)
さっきよりちょっと良い感じとなりました。ここでの私のメッセージは、「聴衆は皆さんの敵ではない。聴衆一人一人の目を見てスマイルを送れば必ずスマイルが返ってくる。だからスマイルを浮かべる事を恐れないでどんどんスマイルしてください。」です。これはトーストマスターズでの過去6年の私の経験からのメッセージです。

3.口を大きく開けて話す (スライド17)
これをやってくださった方もすばらしい声のコントロールで、文章の中にうたわれた「大樹が育っていき、さらにその下に人々が集う様」が目に浮かぶかのように読み上げてくださいました。発声法をちょっと変えるだけでこれほど変わるのかという良い例でした。

4.ゆっくり話す (スライド18)
ゆっくりと話すことで、この文章の構成がよりはっきりし生き生きとよみがえってきました。

5.顔をあげて原稿から離れる (スライド19)
タイマーズレポートは、原稿(メモ)を読み上げるため、喉を圧迫し詰まった声になりがちなのですが、この発表者は顔を上げることで声がよりよく通る事をうまく証明してくれました。ナイス!さらに、日本人が英語の数字を読み上げる際に間違いやすい、13と30、14と40、15と50、16と60、17と70、18と80、19と90についてもフォーカスしました。ここも自信がつくまできっちりと練習しておけば堂々と発声することができます。

6.簡単な文章を話す (スライド20)
スピーチコンテストルール日本語訳を、より口語に近い形で書き直しました。面白かったのは、この発表者はさっきよりも軽がると読んでいたことです。文章が難しいと、どうしても脳がその文、その単語を解析するためそちらに気を取られて声に対するエネルギーが失われます。
「スピーチの原稿を書き上げたら、なんともなんども実際に声に出して読んでみて、声に乗りにくい言葉はどんどん簡単な言葉に置き換えていく。簡単な言葉は発音しやすい。発音しやすいと、声をコントロールする余裕が生まれ、豊かな声でメッセージを届けることができる」という私が体験的に学んだ事を説明いたしました。

まとめ (スライド21)
ここは、これまでの総括です。声が出ない、声に幅がない人にとってのメッセージです。

「チャレンジ!」 (スライド22)と「答え」 (スライド23)
この意図はTMODになった際に発表者を呼び出す際のせりふを明るくはっきりと行うための練習です。
Please join me in welcoming ABC to the lectern.をきちんと覚えていない人は、「Please join me....... あれinだったかな? toだったかな?」と悩んでしまい自信がないためついぼそぼそとなってしまいます。このせりふをきちんと覚え、楽しそうに、急がず、はっきりと元気よくやるための例題です。

Monotonous?/無味乾燥? (スライド24)
私の持論は、「トーストマスターの例会は、どこをとってもトレーニングである」です。
ですから
- Secretary's Reportであっても、
- Treasurer's Reportであっても、
- Business Portionであっても
- Grammarian's Reportも
- さらにはTimer's Reportであっても
Vocal Varietyをフルに使って楽しくやる事を課題にすれば、自分の声の技術を向上させ、ひいては例会を楽しくすることができるということをメッセージとして伝えました。

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★企画の意図

最初は、「井上さんに学んだVoice Training」をやろうと思ったのですが、30分しかありません。「井上さんに学んだVoice Training」は、あえて恥ずかしい事をバカになってやることで、私たちのマインドセットの変革を起こし声を出なくしている障害を精神的にも物理的にも取り除く事を目的としています。ですから時間がかかります。30分でこれをやってもマインドセットの変革が起こらず不消化のまま終わってしまい、参加者には欲求不満だけが残ってしまいます。

30分という制約の中で行うには、参加者がすでに体験的に知っていることに焦点を当てそれを極端に誇張して見せることで、参加者自身に気づいてもらうしかないと思いました。そこで、わざと「声を貧弱にする方法」を最初にやってみて、共感していただいたところで、あらためて、その逆こそが「声を豊かにする方法」であることを見せることにしたのです。

いきなりスキルのトレーニングに入る前に、私たちの心の中にあるものが、障害になっている事にまず自分自身が気づくことが大事かと思い、このようなトレーニングとしました。滑舌の練習などはその後でも良いと思います。

同じことはテーブルトピックのトレーニングにも言えます。まずスキルではなく、「テーブルトピックスは知識を披露する場ではない」「テーブルトピックに失敗してもすぐに忘れよう。」というメンタルな部分に光をあてて参加者の武装解除することが大事と思っています。その後、「時系列展開」や「PREP」といったスキルトレーニングに移っても遅くはありません。

なにはともあれ、「健康的な笑い」に包まれて実に楽しいトレーニングでした。

なお、今回のワークショップの企画にあたりプロのコミュニケーショントレーニングのスペシャリストである「Breathtaking Beauty」小林さん(青山ランチTMCのVPE、2006年7月現在)に、大変お世話になりました。ありがとうございました。

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第62話:じわじわと効く「井上さんのVoice Training」

これから、この徒然草に折を見て、Voice Trainingについて書いていきたいと思います。

私のトーストマスターズでの経験の中で、Voice(発声)の問題が改善されたのは実は大きな意味を持っています。人の前で「話をする」ことの恐怖感が消えたのもVoice問題の改善が大きいです。もともとトーストマスターズに入った目的のひとつに、人前で話をする恐怖感を何とかしたいというのがあったので、その意味でもVoice問題の解決は大きかったのです。

厚木座間クラブに入った2000年。入会して1年くらいたったころRegular Meetingで、会員の前でPrepared Speechをしていた私の目に、下を向いて何か別のことをしている人やつまらなさそうな表情でどこかを見ている人の姿が飛び込んできて、話をしながらだんだんいやになって来ました。いやになってくると、だんだん声も弱弱しくなってくるのがわかりました。しかし、私のスピーチが終わって、ベテランメンバーのスピーチになると、出席者がみんなその人のほうを楽しそうに注目して楽しんで聞いている姿をみせ、私は二重にショックを受けました。
ベテランの人のスピーチを聞きながら、「声」にその鍵があることがわかりました。

その後、あるきっかけで青山ランチクラブ(当時はACCJ TMC)井上さんにVoice Trainingをやっていただき、自分の体を楽器のように共鳴させて鳴らす、自分の声を前に飛ばすということを体感したことの意味はとても大きかったのです。2002年6月9日のことでした。

もちろんトレーニングを受けてすぐに問題が解決されたわけではないのですが、このトレーニングで体感した「声を前に飛ばすイメージ。聴衆のところまで確実に届けるイメージ」を常に持ち続けたことが現在の私のスピーチのときの声につながっているのだなと思っています。まさに4年かけて「じわじわ」と効いてきて、そしてこれからも漢方薬のように効き続けるのでしょう。

井上さんは、「東洋の神秘」のような雰囲気をお持ちの不思議な方ですが、その井上さんに処方していただいたトレーニングの後に書いた議事録を井上さんに許可をいただきましたのでここに掲載します。

このトレーニングは、恥ずかしさをすてて馬鹿にならなければできません。馬鹿になるとは自分の殻をぶち破ることです。まず馬鹿になって自分の殻をぶち破らなければ、その後の発声の上達など見込めないことをあらかじめお断りしておきます。

それから、やるにあたっては一人でやってもむなしいので、クラブでゲームのようにワイワイとやるのがよいでしょう。何でもそうですが、楽しくなければ上達しないですからね。

みんなと一緒の楽しい雰囲気の中でやれば、きっと恥ずかしさも快感となり思い切り馬鹿ができ、本当に良い声が出せるようになるでしょう。

> 日時     : 2002年6月9日 14時から17時
> 場所     : 横浜開港記念会館二階9号室
> Workshop名: Voice Training
> 講師     : ACCJ 井上さん
> 参加者    : 厚木座間TMC, 横浜TMC 有志 9名
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> はじめに、出席者全員1分の持ち時間で「VoiceTrainingへの抱負、参加の動機」についてスピーチを行った。
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> 基本的なVoiceTraining項目
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> 以下のトレーニング項目を毎日3年続ける。
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> ★一人で行うVoiceTraining
> - 起床時に大きくあくびをする。
> - 起床時に伸びをしながら「あーよくねたー」「今日も良い一日にするぞ」をいう。
> - 積極的なため息をつく。
> - 1から10までゆっくりと数える。(鼻で息を吸い息を吐きながら数える。腹式呼吸)
> - おなかから息を吐きながらハ行で笑う「ははははははははー」「ひひひひひひひひひー」
> - 活舌(滑舌)の練習 「ア・エ・イ・ウ・エ・オ・ア・オ」「カ・ケ・キ・ク・ケ ・コ・カ・コ」
>
> ★二人一組、あるいは二人以上で行う。(ひとりで行っても良い)
> - 相手にめがけて飛ばすつもりで気合をいれて勢いよく「ハイ!」という。
> - 二人一組になり「あ行」で会話する。つぎは「か行」で会話する。以下「さ行」「た行」
>
> ここで休憩を取る前に各人1分の持ち時間で、前半学んだこと学んだ技法を使いながら具体的に説明する。(スピーチする)
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> VoiceTraining項目応用編
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> ★名前ゲーム(5人一組で行う。)
> ①その中の一人を4人が囲む。
> ②真ん中の一人は過去からの自分のニックネームを3つ思い浮かべる。
> ③4人組の中の一人が「なんて呼ばれたいですか?」と真ん中の人に聞く。
> ④真ん中の人はニックネームを答える。(たとえば「としちゃん」)
> ⑤すると囲んでいる4人は両手を上に挙げたままいったんしゃがみ「としちゃーん」
> と
>   叫びながら両手をひらひらさせながら立ち上がる。
> ⑥つぎに4人組の質問者をかえて「なんて呼ばれたいですか?」と質問し真ん中の
>  人は次のニックネームを答える。(上の④、⑤を行う。)
> ⑦ニックネームを3回答えたら、真ん中の人は次の人に交替。
>
> ★オオカミと少年(ナレーションおよびボーカルバラエティーの練習)
> 次の文章をできるだけ話中の登場人物になりきって読む。一人三役で
> ナレーター、オオカミ、少年の役を演じわける。
>
> ナレーター「オオカミがやってきました。」 (中立的な声で読む)
> オオカミ「オオカミだぞー。食べちゃうぞー」 (低いうなるような声で読む)
> ナレーター「オオカミはそういって少年に近づきました」 (中立的な声で読む)
> 少年「きゃー、オオカミだー。たーすけてー」(少年らしい高い声で万歳しながらさけぶ)
>
> ★すし屋ゲーム
>
> 二人一組で、すし屋の主人と客の役割を分担し、客と主人のテンポ良い会話を展開する。
>
> 会話例
> 主人「へい、いらっしゃい」
> 客「あついねー。ビールもらおうか」
> 主人「へい、ビールお待ち。なにか握りますか?」
> 客「そうだね。まずはしめ鯖もらおうか。しめ鯖ですし屋の実力がわかるからね」
> 主人「あいた、きびしいねぇ」
>
> ★舌を口からだして会話をする。(言葉は悪いが嘔吐する要領で声を出す)
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> そのほか
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> ★ Positiveな思考を心がける。嘘でも良いから「すべてうまくいく。自分はツいている」と思い込む。
>    思考が変わると行動が変わる。行動が変わると運命が開ける。
> ★ 鏡を見て笑顔を作る練習を継続して行う。
> ★ 馬鹿になりきることが大事。
> ★ 録画、録音は自分のパフォーマンスを客観化して見つめるのに大変有効。
>    顔の表情、BodyLanguageという「声」を補完するツールの有効性を点検できる。
>
> 最後に、出席者全員3分間の持ち時間で本日学んだことについて英語+日本語でスピーチを
> 行う。(準備時間は5分)
>
> 以上

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